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部下から指摘されること

今回も中国の古くからの帝王学の書「貞観政要(じょうがんせいよう)」について。

乱世を治めて、太平の世を築いた皇帝の日々もマンネリ化しつつありました。

そんな上長を見るに見かねた部下が「災いの芽が大きくならないうちに」と命を賭して指摘した上司の失策・失政についての諫言十箇条が次の項目となります。

「指摘事項(理想の姿) - 現在に置き換えてみると」の並びにしてみました。

1. 名馬や財宝の蒐集(無為無欲であること) - トップが倹約を忘れていないか

2. 民の苦役(人民への慈しみ) - 従業員の利益は図られているか

3. 大宮殿の造営(人民の利益重視) - 従業員に利益は還元されているか(見栄を張った自社ビルの建設などはしない)

4. 小人を近づけ、君子を遠ざける(君子の重視) - 必要な情報の共有が図れているか(耳障りの良いことばかりを聞くことは避ける)

5. 商工業のみの振興(質素な生活) - 贅沢の追求をしていないか

6. 誤った人材登用(賢者の探求) - 能力による適材適所が図れているか(好き嫌いの人事をしていないか)

7. 狩猟・娯楽(娯楽の抑制) - 頻繁に遊びすぎていないか

8. 臣下への礼節欠如(臣下の待遇) - 部下への悪い姿勢をとっていないか(部下からの悪い反応の原因をつくっていないか)

9. 奢り・欲望・享楽・野望(謙虚な態度) - 傲慢でわがままになっていないか(意見を言ってもらえない原因をつくっていないか)

10. 天災・謀反への無防備(災害への備蓄) - 有事のための準備が疎かになっていないか

少し表現を変えてみると、今の時代にでも当てはまる要素は多々ありますし、これらを直属の上司に言ってみようと思うと、ものすごい勇気がいるかもしれません。

諫言に際しては、一箇条申し出るたびに、「このままではあなたは有終の美を全うすることができない」と上司の立場を考えながら述べられているのも特徴的です。

そして、全十箇条を述べ終わった後には、「即ち死するの日は、なお生ける年のごとし」という有名な言葉を残しています。

言うべきことは全て言わせてもらいましたので、意見を取り上げてもらえて、上司として改善してもらえるのであれば、「処刑される時が私の生まれた瞬間であると考え、満足です」という意味の言葉になります。

唐の時代に、皇帝である太宗(たいそう)に向って命をかけて諫言した魏徴(ぎちょう)はとんでもない部下ですし、それを聞き入れた皇帝もまた素晴らしい上司だと思います。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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