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備える習慣

これまでも何度もこのコラムでは「環境整備」について触れてまいりましたが、その中に「安全」という項目があります。

安全はすべてに優先します。

現在の感染症が蔓延する世の中において、一番意識する必要のある項目です。

当社においては、これまで以上にこの方針を拡大解釈し、「異常なほどに備える、また備蓄をする」と新たに定義付けて徹底してまいりました。

ある程度の規模間をもって全国展開していきますと、都市部と過疎地域とでは当然ながらインフラ整備の差もあったり、行政の対応速度の差もあったりします。

そもそも人口が少なければ、感染者数も少なく、当然その対応やそこから学ぶ経験など場数も変わってきます。

当社においては、各地域において感染症相談担当者を配置し、全国の担当者同士が最新の情報、最新の対応例をこれまで共有してまいりました。

そうすることで、保健所などの行政判断の地域差があっても、社内において更に厳しい基準を設けておくことで、リスクの低減を図ることが可能となります。

分かりやすく言いますと、保健所が濃厚接触者認定をしなかったとしても、会社判断としては濃厚接触者同様の対応をするという独自決定をしていくということです。

それにより、例えクラスターが発生したとしても、一部の範囲、一定の期間で事態の収束を図ることが可能となりました。

当社の感染症対応が地域から評価をされて、同業者向けに事例発表をさせていただく機会を得るなどということも実際にありました。

また、備蓄においても、濃厚接触者扱いにならなかった従業員であっても、自宅待機をお願いする際には、給与補償をした上で、ご家族分の衛生材料の配布も行っていました。

それには、それが可能となるだけのストックを事前にしておくことが必要です。

今回、一部の地域において感染症とは別に、インフラの不具合が生じるという事案が発生しました。

水道橋の崩落によって、大規模な断水が一週間以上に渡って発生しました。

インフラ02

インフラ01

上の地図だと「赤丸の部分」ですよね。

浄水場などは全て川を挟んだ南部にあり、そこから赤丸部分の橋を渡って北部へは水が供給されていました。

北部の世帯数は約6万。およそ14万人程度でしょうか。

当社で対象となるスタッフも80世帯ほどに上りました。

会社で全スタッフ数分以上のポリタンクを購入し、断水していない施設や拠点の水道やトイレ、そして風呂場は自由に使用していただくよう開放しました。

それにしても、災害時でないにもかかわらず、こうしてインフラが一週間以上に渡って断たれるということが現在の日本の社会において起こるということが驚きです。

ただ、地域によってはインフラ整備された年数も古く、もうそろそろ耐用年数に至ってしまうものもあるそうです。

この地域の場合は、1975年から48年間の耐用年数と言われていて、46年目の出来事でした。

これから各地で同じような事象が発生していくのではないでしょうか。

大きな目に見える災害でなくても、地盤が徐々にズレていくことで設置していたインフラ網が切断されるという可能性もあるかもしれません。

断水発生と聞いて、久しぶりに思い出したのが幼少期のことです。

このコラムの読者の皆様には何度かお話をしていますが、私は小さな頃はメキシコに住んでおりました

今もそうかもしれませんが、40年以上前のメキシコというのは当時から断水や停電は日常茶飯事でした。

日常茶飯事ということは、当たり前に起こることですから、それらへの対応も習慣づいていくものです。

赴任したばかりの時は、おそらく両親も対応に苦慮していたのだと思いますが、私の思い出の中では、普段事として自然に淡々と対応していたのを覚えています。

まだ幼稚園児でしたが、停電すると、ライターやマッチで部屋に沢山飾ってある様々な形の蝋燭に火を点けて回りました。

暗い中でゆらゆらと揺れる炎を見ながら、ゆっくりと流れる時間の中で家族と話したり食事をしたりして、再び電灯が点くのを焦らずに待っていました。

洗面所の流しの下や、洗濯場には、大きなゴミ箱が用意されており、そこには常に水がいっぱいまで張られていました。

蛇口をひねった際に変な音がし始めて、それから水が出なくなると、自然とゴミ箱の中からバケツで水を汲んで、トイレを流すために使用していました。

そんな時でも家族の誰ひとりとしてパニックになることもなく、急いで何かを買い出しに走ることもなく、それが日常の一部であり、当たり前のこととして対応していました。

断水や停電が日常的であった幼少期は、切り替えるスイッチというか、不便になったその状況に対応する習慣が日常的についていたのだと思います。

私たちは、キャンプなどに行った際には、「非日常的な不便さをあえて楽しもう」という切り替えのスイッチが働きます。

ところが普段の私たちは、インフラが整備された便利さの「当たり前」に慣れてしまっており、この状態が「有り難い」環境であることをつい忘れがちです。

こうしたインフラの老朽化に伴う被害というのは、いざという時のために備えておくことの大切さを、久しぶりに思い出させてくれます。

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