引き継ぐものの大変さ
以前このコラムで、中国の古くからの帝王学の書「貞観政要(じょうがんせいよう)」を取り上げました。
リーダーには持つべき大切な三つの鏡(関係性)があって、その中でも一番得難く大切な存在であるのが「諫言してくれる部下」であり、「上司を諫める部下がいなければ、その組織は滅びる」と記されていることについて触れました。
今回は、その同じ書物にある言葉、「創業は易く守成(しゅせい)は難(かた)し」について。
新しく事業を興すことよりも、その事業を衰えないように維持することはいっそう難しい。 創業は他との戦いだが、守成は自分自身との戦いになり、さらに大きな努力を必要とすることを言い表しています。
創業者が一代で築き上げた組織を、二代目以降が引き継いだ時の実際を脳裏に思い描いてみると、創業者以上に成功している同族経営の会社はなかなか少ない気もします。
いつの時代も大変なのは、引き継いだ側。
組織をひとつにまとめるために、がむしゃらに他社と競争をしてきたのは過去の時代。
一般的に創業期が終わった組織に訪れるのは、拡大路線の問題、次世代リーダーの思想や方針の欠如、文化の荒廃、不祥事やスキャンダル、業績の低迷といった流れです。
過去の栄光は過去のもの。大切なのは、今をどう守り更なる成長につなげていくか。
そのために必要不可欠なのは、次世代の要職の育成です。
主要なポストに適切な人材の配置をいかにしていくか。
創業当初の情熱を冷まさずに持ち続けることは難しく、次第に緩む気持ちと組織の状態をどのようにして再点火させて守っていくか。
コロナ禍が始まり、混乱の中でも特需があり、その後落ち着きつつも、物価の高騰や人不足と以前より厳しい情勢になった今、まさにそうしたモチベーションやモラルの低下に真摯に向き合うべきタイミングなのだと感じています。
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