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#小説

毎日400字小説「ブローチ」

毎日400字小説「ブローチ」

 パートの帰りいつものスーパーで食材を買い、専門店街の間をとぼとぼ歩いていた千乃は、ふと目にしたその店のディスプレイに足を止め「すてき……」と呟いていた。わりと年のいった主婦向けのブティックで店員も自分の母親世代であり、三十八歳の千乃はいつも素通りするだけだったが、一番手前のマネキンのつけていたブローチの深い青色に、惹きつけられたのだった。というのも、もうじき娘の高校の入学式で、それに着て行く服に

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【ショートショート】鳥獣戯画ノリ

【ショートショート】鳥獣戯画ノリ

「うーん、なんか違うなぁ」
クライアントである田中(カエル顔)が何度目かのリテイクを出してきた。
「もっとこう和風だけどコミカルさが欲しいよね」
「それならもう鳥獣戯画ノリはどうですか」
スマホ画面を見せると田中は我が意を得たりといった表情で頷いた。
「これだよこれ! やっと分かってくれたね」
いやあんた最初はハイソでエレガントな表現にしてくれ言うとったやん。心の中で思った言葉を必死で飲みこむ。

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『鳥獣戯画糊』

『鳥獣戯画糊』

そのニュースを耳にして、俺はこれだ!と思った。
『国宝鳥獣戯画に新発見』
踊る見出しの内容はこうだ。あの誰もが知る鳥獣戯画は、実は墨絵ではなく貼り絵だった。しかも特殊な糊(鳥獣戯画糊と名付けられた)により兎や蛙は生きたまま貼り付けられているというのだ。
これが、相棒を解放してやる手がかりになるかもしれない。
俺はすぐさまその研究所の場所を調べあげ、そこへ向かった。
無論、一般の人間がすんなり入れて

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掌編小説「墨汁」

掌編小説「墨汁」

高齢者と子どもたちの「ふれあいの場」をつくろうということで、福祉施設で働いていた私は企画を担当することになった。

私が考えた企画は、『墨を磨ってみよう』。固形墨、硯、水差し、この3点を使って墨を磨り字を書くことで、ふれあいの時間を増やし、改めて字を書くことの大切さを高齢者とともに学ぶ、という趣旨のイベントだ。施設長と周りのスタッフの了解を得て書道セットを揃え、すべての準備を整えた。

イベント当

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DATEMAKIの国際フリーター

DATEMAKIの国際フリーター

「お、伊達巻のCMなんか流れてる」
 赤だしに口をつけたフリーターの土山は、店内に流れていたテレビ画面を見て思わず声を出す。ここはある回転すしのお店。全国的な大型の店ではないが、ここでは寿司が回っていて、リーズナブルに寿司が食える。

「それがどうしたのさ」土山のフリーター仲間の吉野が返事をしたのは、鯛の握り寿司を食べ終えた直後。
「ああ、ちょっと懐かしくてね。僕が今までの人生で唯一の海外出張が伊

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iPad。

iPad。

    本体、ケース、入れるエコバッグまで買って、70261円。6月決済。現金を使います。d払いは3万円まで……。それ以上は使えない。現金をドーンと、70000円ちょっと持っていきます。4月15日、障害年金14万円。4月20日、叔父の5万円、合計で19万円。4月15日まで、郵便局には残高がゼロ。4月14日、病院代を3000円ちょっと支払う。2回分だから、6000円。4月15日、スマホ代が34315

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