見出し画像

高報酬なキャリアになるための戦略とは?大規模プロジェクトに飛び込め!IT業界でキャリアを加速させる方法


はじめに

私たちは今、かつてない技術革新の時代に生きています。その中心にあるのが、IT業界です。しかし、この業界の真の姿は、多くの人々にとって謎に包まれたままです。特に、大規模システム開発の世界は、その複雑さと影響力の大きさゆえに、一般の人々の目に触れることが少ないのが現状です。

本記事では、私自身の経験を踏まえつつ、IT業界、特に大規模システム開発の世界に焦点を当て、その魅力と課題、そしてキャリアパスについて深く掘り下げていきます。この記事を通じて、読者の皆さんがIT業界、特に大規模システム開発の世界に対する新たな視点を得られることを願っています。

1.IT業界の現状と課題

IT業界は日進月歩で発展を続けていますが、同時に多くの課題も抱えています。その一つが、人材の偏在です。Web系やアプリ開発などの比較的目に見えやすい分野には人材が集中する一方で、大規模システム開発やERPなどの分野では、常に人材不足が叫ばれています。

この偏りの背景には、情報の非対称性があります。多くの若者がIT業界を目指す際、目に触れやすい情報に基づいて進路を決めがちです。しかし、そこには大きな落とし穴があります。Web系の仕事は確かに華やかで、スタートアップの成功物語に憧れる人も多いでしょう。しかし、現実には厳しい競争があり、キャリアの天井も低いのが実情です。

一方、大規模システム開発の世界は、一見地味に見えるかもしれません。しかし、その影響力と可能性は計り知れません。一つのシステムが企業全体、さらには業界全体を変革する力を持っているのです。

2.大規模システム開発の魅力

大規模システム開発、特にERPなどのパッケージソフトウェアの開発と導入には、他の分野にはない独特の魅力があります。

まず、そのスケールの大きさです。一つのプロジェクトが数年にわたることも珍しくありません。数百人、時には千人を超える規模のチームで一つの目標に向かって進んでいく。その過程で、技術的な課題だけでなく、組織的な課題、人間関係の課題など、様々な困難に直面します。しかし、それらを乗り越えた先にある達成感は、他では得難いものです。

次に、ビジネスへの深い理解が得られることです。ERPなどの基幹システムは、企業の心臓部とも言える存在です。これらのシステムを開発・導入するプロセスを通じて、企業の業務フローや意思決定プロセスを深く理解することができます。この知識は、将来自分でビジネスを始める際にも、大いに役立つでしょう。

さらに、技術的な面でも非常に興味深い挑戦があります。大規模システムでは、パフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティなど、様々な側面で高度な技術が要求されます。これらの課題に取り組むことで、技術者としての能力を大きく成長させることができます。

3.私の経験 - ワークスアプリケーションズでの日々

ここで、私自身の経験を少し共有させていただきたいと思います。私がIT業界、特に大規模システム開発の世界に足を踏み入れたのは、ワークスアプリケーションズという会社に入社してからでした。

当時、ワークスアプリケーションズは、日本で唯一と言ってもいい、大企業向けの人事・給与システムを自社開発していた会社でした。その採用プロセスは、他の企業とは一線を画すものでした。

まず、説明会の規模の大きさに驚かされました。平日の夕方にもかかわらず、100人以上の求職者が集まっていました。そして、その場で筆記試験が始まり、そのまま面接へと進むという、一気呵成の選考プロセス。この時点で、この会社の異質さを感じずにはいられませんでした。

しかし、最も印象的だったのは、面接での質問の内容でした。他の企業では「何ができるか」を問われることが多かったのですが、ワークスアプリケーションズでは「何がしたいのか」を徹底的に問われました。この違いは、単なる採用手法の違いではなく、企業の哲学の違いを表していたのだと、後になって理解しました。

入社後、私はERPシステムの開発に携わることになりました。そこで目の当たりにしたのは、想像を遥かに超える仕事の複雑さと難しさでした。技術的な課題はもちろんのこと、顧客との折衝、チーム内でのコミュニケーション、納期との戦いなど、様々な側面での挑戦がありました。

特に印象に残っているのは、大規模な導入プロジェクトでの経験です。数百人規模のチームで、数年にわたるプロジェクトを進めていく中で、技術的な問題だけでなく、人間関係の問題、組織の問題など、様々な困難に直面しました。時には徹夜も辞さない激務の日々もありました。

しかし、そのような苦労を経て、システムが無事に稼働し、顧客の業務が大きく改善されていく様子を目の当たりにした時の喜びは、何物にも代え難いものでした。自分たちの作ったシステムが、大企業の業務を根本から変革していく。その実感は、他の仕事では得られない達成感をもたらしてくれました。

4.大規模システム開発のキャリアパス

では、大規模システム開発の世界で、具体的にどのようなキャリアパスがあるのでしょうか。

まず、技術者としてのパスがあります。プログラマーからスタートし、システムアーキテクト、テクニカルリーダーへと進んでいくルートです。この道では、常に最新の技術トレンドをキャッチアップし、複雑な技術的課題を解決する能力が求められます。

次に、プロジェクトマネージャーとしてのパスがあります。大規模プロジェクトを成功に導くためには、技術的な知識だけでなく、人間関係のマネジメント、リスク管理、スケジュール管理など、多岐にわたるスキルが必要です。このパスは、リーダーシップを発揮したい人にとって魅力的な選択肢となるでしょう。

さらに、コンサルタントとしてのパスもあります。顧客の業務を深く理解し、最適なソリューションを提案する役割です。このパスでは、技術的な知識に加えて、ビジネスへの深い理解と優れたコミュニケーション能力が求められます。

これらのパスは互いに排他的なものではなく、キャリアの中で複数の役割を経験することも珍しくありません。むしろ、様々な角度から大規模システム開発に関わることで、より深い理解と幅広い視野を得ることができるのです。

5.大規模システム開発の課題と未来

しかし、大規模システム開発の世界にも課題はあります。

一つは、プロジェクトの長期化と複雑化です。システムの規模が大きくなるほど、開発期間は長くなり、関係者も増えていきます。その結果、当初の目的が曖昧になったり、技術の陳腐化が起こったりするリスクが高まります。

また、ベンダーロックインの問題もあります。一度導入したシステムを他のベンダーのものに切り替えるのは、多大なコストと労力を要します。そのため、顧客は特定のベンダーに依存せざるを得なくなる場合があります。

さらに、人材育成の難しさも大きな課題です。大規模システム開発に必要なスキルセットは非常に幅広く、一朝一夕には身につきません。若い世代にこの分野の魅力をどう伝え、長期的に人材を育成していくかが、業界全体の課題となっています。

しかし、これらの課題は同時に、大きな機会でもあります。例えば、アジャイル開発手法を大規模プロジェクトに適用する試みや、クラウドネイティブな設計によるシステムの柔軟性向上など、様々な革新的なアプローチが生まれています。

また、AIやブロックチェーンなどの新技術を大規模システムに統合する動きも活発化しています。これらの技術は、システムの効率性や信頼性を大きく向上させる可能性を秘めています。

6.若者へのメッセージ

最後に、IT業界、特に大規模システム開発の世界を目指す若者へのメッセージを送らせていただきたいと思います。

確かに、この世界は一見地味で、華やかさに欠けるかもしれません。Web系やアプリ開発のように、自分の作ったものが直接エンドユーザーの目に触れる機会は少ないでしょう。しかし、その影響力の大きさは比較にならないほど大きいのです。

一つのERPシステムが、数万人規模の従業員の働き方を変え、企業の競争力を大きく向上させる。そんな経験ができるのは、この分野だけだと言っても過言ではありません。

また、この分野で培った知識とスキルは、将来どのような道に進むにせよ、必ず役立つものです。大規模システムの開発・導入を通じて得られるビジネスへの深い理解は、起業家として独立する際にも、大きな武器となるでしょう。

確かに、この道は簡単ではありません。技術的にも、精神的にも大きな挑戦が待っています。しかし、その分だけ成長の機会も大きいのです。苦労を恐れず、大きな夢を持って挑戦してほしいと思います。

そして、忘れてはいけないのは、この分野が今まさに大きな変革期を迎えているということです。クラウド化、AI化、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が、大規模システムの世界にも押し寄せています。これは、新しいアイデアと情熱を持った若い世代にとって、大きなチャンスでもあるのです。

結論

IT業界、特に大規模システム開発の世界は、確かに挑戦的で厳しい世界です。しかし、その分だけやりがいも大きく、社会への影響力も計り知れません。

この記事を読んでくださった皆さん、特に若い世代の方々には、ぜひこの分野にも目を向けていただきたいと思います。Web系やアプリ開発も魅力的な選択肢ですが、それだけがIT業界の全てではありません。視野を広げ、様々な可能性を探ってみてください。

そして、どの道を選ぶにせよ、常に学び続ける姿勢を持ち続けてください。技術の進歩は日進月歩です。今日の最先端が、明日には当たり前になっているかもしれません。そんな世界だからこそ、常に新しいことにチャレンジし続ける姿勢が重要なのです。

最後に、私からのアドバイスをひとつ。どんな仕事を選ぶにせよ、その仕事を通じて何を成し遂げたいのか、どんな価値を社会に提供したいのか、をしっかりと考えてください。単にスキルや経験を積むだけでなく、自分の人生のビジョンを持つことが、長期的な成功と幸福につながるのです。

IT業界は、あなたの情熱と創造性を存分に発揮できるフィールドです。大きな夢を持ち、果敢に挑戦してください。きっと、あなたの努力は報われるはずです。

そして、もしこの記事を読んで大規模システム開発の世界に興味を持ったのであれば、ぜひ私の著書『超える技術』や『ERP量子の螺旋』も手に取っていただければ幸いです。そこには、この記事では語りきれなかった、より具体的な経験や洞察が詰まっています。

皆さんの輝かしい未来を心から応援しています。共に、テクノロジーの力で世界をより良いものに変えていきましょう

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?