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Juice=Juice沖縄公演。「過去と未来、現在?」

まず初めに、
私ハロープロジェクトを「純粋なる音楽エンターテイメント」として愛でている。
例えば、マイルス、JB、ジェフ・ミルズの並びに置いているのだ。

その意味で、Juice =Juiceの登場は衝撃的であった。

まずそのデビューにおいて、何と、温存していた宮本佳林ではなく、「ジョーカー」大塚愛菜で勝負に出たのである。

べらんめえ調で切れ味鋭いリズムの大塚愛菜は、あたかもセックス・ピストルズのジョニー・ロットンを彷彿とさせる唱法で、インディーズデビュー曲『私が言う前に抱きしめなきゃね』とその次の曲『五月雨美女がさ乱れる』の歌い出しを担当するという大抜擢を受けた。

あくまで個人的な推測だが、プロデューサーつんく氏の音楽的嗜好にハマったのだろう。

そして私も、大塚愛菜の「パンク」っぷりにヤラレ、Juice=Juiceの「未来」を彼女に見出したのであった。

しかし、好時魔多し、
加えて「私が推すと辞めるジンクス」(唄嬉ちゃん、春水、やなみん、、、)が発動したかは定かでは無いが、「ジュースの未来」大塚愛菜はメジャーデビューを前に脱退した。

ジュースはその後路線を「アイドルR&B」に変更し、そこでは金澤朋子をフィーチャーした。
今やアイドルR&Bのスタンダードである『ロマンスの途中』と『イジワルしないで抱きしめてよ』である。

彼女のブラック・ミュージック感覚を完璧に体現化した歌唱は、あくまで個人的な推測だが、プロデューサーつんく氏の音楽的嗜好にハマったのだろう。

そして、彼女たちにエポック・メイキングな事が続く。

彼女たちの、アイドルのレベルを超えたソウルとグルーヴを完璧に花開かせる楽曲、『Magic of Love』のカバーである。

確か、TV朝日の夏の野外イベントであった。

デビュー曲から2曲続いた「アイドルR&B」路線が、マニア受けはともかく、今ひとつ大爆発に至らない時期であった。

この時の『Magic of Love』パフォーマンスは凄かった。

まるで1967年カリフォルニア州モンタレーで開催された「モンタレー・ポップ・フェスティバル」のオーティス・レディング『Try a Little Tenderness 』を彷彿とさせる、正に「鬼気迫る」ものであった。

特に、高木さゆきの後半部分のフェイクは、
「ここを先途と」一世一代の大勝負の気合いに溢れていた。

ここで「空気が変わった」。

がしかし、まだまだ彼女たちの苦難は続き、
「全国ドサ回り」が続くのであるが、
結果的にこのドサ回りによって、ジュースの「アイドルR&B」は完成を見たのである。

金澤朋子と高木さゆきという「雷神風神」を両脇に、宮本佳林はあくまで自分のスタイルを貫きながら、「アイドルR&B」の要となる。

当時は「リズムが硬いな〜」と思っていたが、モンスター二人の天才的プレイを「取りまとめる」彼女の歌の凄味は、改めて再評価される時期にある。

そして、満を持してアルバム『First Squeeze!』を発表する。

このアルバムは、音楽雑誌『ミュージック・マガジン』において最高評価を得る。

2024年の現在においても、このアルバムとBeyooooondsの『Beyooooonds 1st』は日本大衆音楽史に残る金字塔である。

そして、念願の武道館でステージに立つ頃には、ジュースは「銀河系軍団」と称されていた。

かなともからさゆき、そしてカリンちゃんへと繋ぐ流れは、
まるでロベカルからジダン、そしてラウルが決める全盛期のレアル・マドリードであった。

そんなジュースは「私の自慢」であり、周りの音楽マニアにハロプロの凄さを手っ取り早く伝える最強のプレゼンテーションであった、、、

と、前置きで終わりそうになった笑。

今日のテーマは「2024年6月1日のJuice=Juice沖縄公演」である。

本人たちのMC通り沖縄ライブは5年振り、私が生で観るのも5年振りである。

やはり、音楽は「生」で体験して初めて評価出来ると考えている。

まずは、期待の松永里愛。
5年前は「新メンバー」であった。

この人は「トヨタ車」である。
安定走行で全体のバランスも良く欠点はほぼ無い。
だが、さゆきかなともは「ランボルギーニにフェラーリ」であった。

あーりー。
この人は銀河系軍団ではイエロ、優秀なディフェンダーであった。
現在も良いディフェンダーである。
で、今のストライカーは誰だ?

段原 瑠々、この人の本質は「飛び道具」である。
「過入力」な歌とダンスは、ともすれば「ベテラン感」に陥りそうなかつてのジュースにフレッシュネスを与えていた。
が、飛び道具は「本陣」あっての飛び道具である。

井上れいれい。
手堅い歌唱とリズムは、こぶしファクトリーの様な「ロック」との相性は良いが、既存のジュース曲の様な「ぐにゃぐにゃしたブラックミュージック・グルーヴ」には全く合っていない。

残りのメンバーは特にコメントも無いレベルであった(入江里咲のルックスは100%ドンズバなのだが、それだけでは如何ともしがたいのがハロプロである)。

と、あくまで「純粋音楽」として聴いてしまう私にとって、2024年のジュースは「支離滅裂」なものであった。

「銀河系軍団」の楽曲を一般人がやってどうすんの?と。

結局何をやりたいの?と。

かなともは「一声」で会場の空気を支配し、さゆきは「くるぞ、くるぞ、きたーーー!!!」と最後に全てを持って行った。

そして佳林ちゃんの、ともすればマニアックになりがちなジュースのR&B感に真っ向からアイドル力で勝負を挑み、ジュースをアイドル側に引きずり戻すパフォーマンスは鬼気迫っていた。

と、「過去」ばかりを思い出して、「楽しかったあの頃」を偲んで泣いていた、、、

はずだったのだが、

一人「未来」が居た。

遠藤彩加里である。

ライブ開始最初の30秒で目が釘付けとなり、
最後までこの人一人を追いかけていた。

もう異次元のダンス。

ジュースのダンスはバーレスク的なのが多いのだが、10代半ばにして完璧なバーレスク感を醸しだす。

私はダンスは専門外なので勝手な表現をするが、
長い手足が完全なる脱力の後にピタリと綺麗なカタチに止まる、ピタドメである。

体幹を軸に、身体の各パーツが連動するブラックミュージック的グルーヴも完璧。

アヒルの群れに一匹だけ白鳥が居る様であった。

私はライブ中ずっと、 
「オリジナル・ジュースのメンバーのバックで遠藤彩加里が踊る様」を空想していた。

力量的に、銀河系軍団のレベルに遠藤彩加里は完全に達していた、
その異次元のダンス能力で。

その姿は正に「威風堂々」。

そして彼女の「分厚い体躯」は、オリジナルメンバーを彷彿とさせてくれる。

「ジュースとはフィジカルも最強軍団であった」

生で見たオリジナルメンバーたちのフィジカルの仕上がり方は凄かった。
要するに「排気量」と「トルク」が違うのである。

遠藤彩加里のスペックは、そのレベルに達していた。

という訳で、
今日のライブは「過去」と「未来」が常に交錯していた。

遠藤彩加里はジュースの「未来」であった。

そして、
「現在」は見えなかった、、、。

それらも全てひっくるめて、
「ハロプロを追う醍醐味」なのである。

ああ、もう一度、

遠藤彩加里、凄かった!!!
















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