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#読書の秋2022

読書感想 漫画版風の谷のナウシカ➀

読書感想 漫画版風の谷のナウシカ➀

漫画版風の谷のナウシカ全7巻を購入しました。以前も投稿したのですが、この難解で奥深い超名作の感想を(感想と呼べるかどうかは甚だ疑問なのですが)書いていきたいと思います。

この漫画は、映画「風の谷のナウシカ」の原作にあたります。宮崎駿監督ご自身が執筆されたものです。
映画は、漫画の2巻くらいまでの内容なんですね。
そこからさらに、深い深い物語へと発展していくのです。

まず、風の谷のナウシカの舞台

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読書感想 芥川龍之介 南京の基督

読書感想 芥川龍之介 南京の基督

芥川龍之介の短編小説です。
芥川龍之介ですので、当然、
スッキリ!明朗会計!きっとこういうことが言いたかったんだよね!というわかりやすいお話ではないですよね。

中国は南京に住む15歳の売春婦、宋金花のお話です。貧しい家計のために身を売るような生活をしていますが、信心深い熱心なカトリック教徒です。
金花は梅毒にかかってしまい、客にうつしてはならぬと仕事を休んでいます。

そんななか、外国人の客が家

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読書感想 村上春樹 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド

読書感想 村上春樹 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド

村上春樹さんの長編小説です。
5年くらい前に図書館で借りて読んで、そのあと文庫本を購入しました。

新潮文庫は上下巻にわかれているのですが、私は下巻しか持っていません。

なぜ下巻だけ購入したかというと、
多分、手元に置いてラストの部分を読み倒したかったのでしょう。

(私はミニマリストっぽいところがあり、物が増えるのが嫌なので、紙の本は本当に何度も読み返したいものしか購入しないのです)

この作

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読書感想 夢野久作 眼を開く

読書感想 夢野久作 眼を開く

青空文庫で読みました。
夢野久作の実体験なのですかね?
創作活動のために人里から離れた別荘にこもっている語り手が、自身の犯した「法律にかからない一つの殺人罪」についての物語です。

語り手の家に新聞や郵便物を届けに、往復八里(約32km!ホント?)をかけて毎日やってくる郵便配達員を、直接的ではないものの死に追いやったのではないか、という話です。

語り手は創作に熱中するあまり、毎日やってくる配達員

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読書感想 太宰治 斜陽

読書感想 太宰治 斜陽

中学一年生の娘が学校の図書館で太宰治の「斜陽」を借りてきました。
な、なんで??

私が古い小説ばかり読んでるからその影響?でもなぜ芥川龍之介じゃなくて太宰治にいった??
斜陽はちょっと、中学生には早いと思うのですよ。中学生が読んだらどんな感想を抱くのだろう……皆目見当がつかん。

太宰治は奥深く素晴らしい文豪だからこそ、その文章の影響力(破壊力)もエグいので、せめて高校生になってからにしなさいと

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読書感想 森博嗣 すべてがFになる

読書感想 森博嗣 すべてがFになる

Kindle Unlimitedでまさかの読み放題になっていたので再読しました。

この作品を初めて読んだのは20年くらい前です。
衝撃的でした……!
なんだこれすごい面白い!とあっという間に読んでしまったのを覚えています。
そのあとも図書館で借りたりして再読し、おそらく今回4回目です……

同じミステリー小説を4回も読むって、なかなかないですよね。あらすじとかトリックとか犯人とかわかってるのに。

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読書感想 萩原朔太郎 猫町

読書感想 萩原朔太郎 猫町

萩原朔太郎は、日本近代詩の父と呼ばれる詩人です。この作品は、萩原朔太郎の数少ない小説みたいです。青空文庫で読みました。

薬物中毒のため療養している主人公が、散歩しているうちに猫ばかりの不思議な街に迷い込んでしまう話です。

街の様子が、とても細かく描写されています。読んでいると、自分も同じような空間に迷い込んでしまったような、不思議な感覚になります。

ドカン!というインパクトはないですが、

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読書感想 夏目漱石 変な音

読書感想 夏目漱石 変な音

夏目漱石の短編小説です。

主人公が入院したときに聞いた、隣の部屋から聞こえる「変な音」のお話です。
その音は、大根をするような音でした。病室では炊事割烹、菓子まで禁じられているのに、何故こんな音がするのだろう?と主人公は不思議に思うのですね。

主人公は回復し退院しますが、三ヶ月後に再び入院します。
その時に、隣の部屋の患者に付き添いをしていた看護婦から、「変な音」の正体をきくのです。

隣の部

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読書感想 中島らも 今夜、すべてのバーで

読書感想 中島らも 今夜、すべてのバーで

 You Tubeチャンネル「世界一のゆっけ」で紹介されていました。Kindle Unlimitedで読み放題になっていたので拝読しました。

ライターをやっている男性が、アルコール性肝炎になり、入院する物語です。
ほぼ作者の実体験みたいで、肝障害の症状や、病院の様子(少し古いけど)がとてもリアルに描写されています。特に、アルコール依存症の方の心理描写が薄気味悪いくらいリアルです。リアルなんだけど

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読書感想 江戸川乱歩 指

読書感想 江戸川乱歩 指

江戸川乱歩のホラー小説です。
めっちゃ短いです。多分5分もあれば読めます。
しかし短いながらもなかなかの存在感を放つ作品です。この短さでこれだけインパクトがあるなんて、すごいなあと思います。

ゆきずりの人間に襲われ、右手首を切断したピアニストのお話です。

病気や事故で足や手を切断した患者さんが、時々幻肢痛というものを訴えることがあります。(私は看護師です)

失われたはずの手や足が痛むのです。

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読書感想 芥川龍之介 偸盗

読書感想 芥川龍之介 偸盗

芥川龍之介の中期の中編小説です。

私はとにかく晩年の作品が好きなのですが、この作品もわりと好きです。こちらは、芥川龍之介の作品の中でもなんとなく異色の存在感を放っているような気がします。(私の個人的な感想です)

何故そのように思うのかというと、
芥川龍之介は短編小説が多いなかこちらはそこそこの長さです。そしてストーリー性もちゃんとあります。何より大層な悪女が登場するのが珍しいです。

芥川龍之

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読書感想 芥川龍之介 玄鶴山房

読書感想 芥川龍之介 玄鶴山房

芥川龍之介の晩期の短編小説です。
自死する半年前に書いた作品みたいですね。

玄鶴山房に住む家族の、それぞれの内に秘めた思いが丁寧に描写されています。

ゴム印の特許により財を得た玄鶴は肺結核にかかり、余命幾ばくもない状態です。そして玄鶴の妻のお鳥も七、八年前から腰抜けとなり自分ではトイレにも行けない状態です。二人は屋敷の離れに住んでいます。
母屋には長女夫婦、夫婦の一人息子、女中、老夫婦の世話を

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読書感想 スピリチュアルカウンセラーKIKO 風の時代は好きなことで稼ぐ

読書感想 スピリチュアルカウンセラーKIKO 風の時代は好きなことで稼ぐ

 スピリチュアルカウンセラーでYouTuberのKIKOさんの書籍を読みました。

彼女のYou Tubeチャンネルをたまに拝見するんですが、KIKOさんは現実主義スピリチュアルカウンセラーと名乗っておられる通り、ガッツリしたスピリチュアルをとてもロジカルに説明してくださる方です。
なので、内容が非常に腑に落ちるというか、わかりやすいです。普段からロジカルシンキングをされる方なのだろうなと思います

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読書感想 芥川龍之介 尾生の信

読書感想 芥川龍之介 尾生の信

芥川龍之介の小品です。短いです。すぐ読めます。が、この小品の意味を理解して読みこなすのは相当難儀だと思います。

ていうか私は全く読みこなせないです。難しいです。でも私はこの作品が好きなんです。

わからないのに好きなんて、そんなことあるかいな??と皆さん思うと思いますが、これこそ、相手の懐に入らずとも、謎のフェロモンにより虜にする、芥川龍之介の能力なのです!!(意味わからん)

男性が橋の下でず

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