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読書感想 芥川龍之介 尾生の信

芥川龍之介の小品です。短いです。すぐ読めます。が、この小品の意味を理解して読みこなすのは相当難儀だと思います。

ていうか私は全く読みこなせないです。難しいです。でも私はこの作品が好きなんです。

わからないのに好きなんて、そんなことあるかいな??と皆さん思うと思いますが、これこそ、相手の懐に入らずとも、謎のフェロモンにより虜にする、芥川龍之介の能力なのです!!(意味わからん)

男性が橋の下でずーーっと恋人の女性を待っている話です。中国の故事からきているみたいです。
作中、「が、女は未だに来ない」が7回もでてきます。7回です。なにかの冗談?と思えてしまいますが、芥川龍之介は大真面目だと思います(多分)

男性が見ている景色がはっきりと目に浮かぶような、リアルさを伴った繊細な文章です。
なんていうのでしょうね……芥川龍之介の寂しい心が、何となく伝わってくるような気がするのです。人生を諦めかけているような、そんな雰囲気を感じます。

 来るか来ないかわからない相手を待つのは本当に辛いです。相手が恋人ならばなおさらです。
 芥川龍之介は自分の生活を、このような状態だと書いています。
 

「だから私は現代に生れはしたが、何一つ意味のある仕事が出来ない。昼も夜も漫然と夢みがちな生活を送りながら、ただ、何か来きたるべき不可思議なものばかりを待っている。ちょうどあの尾生が薄暮はくぼの橋の下で、永久に来ない恋人をいつまでも待ち暮したように。」

皆さんはこの作品を読んだ時、どのような解釈をするのでしょうか。青空文庫でいつでも読めるので、気が向いたら読んでみてくださいね。





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