マガジンのカバー画像

ほかの人

7
運営しているクリエイター

記事一覧

漢字の成り立ちを調べるためのガイド

漢字の成り立ちを調べるためのガイド

 この記事は、字源(漢字の成り立ち)を調べるにあたり、非科学的な説明などに騙されないようにするためのガイドである。二部構成で、前半で誤った字源説に対して自衛するための基本知識、いわば字源リテラシーとでも言うべきものを、広く浅くだが述べる。後半で、実際にネットや書籍で調べるにあたり、どれに当たるのがお勧めかを紹介する。なので、信頼できるツールを手っ取り早く知りたいという方は、二部から読んでいただいて

もっとみる
【試用版】美大生が美術史を学ぶということ論

【試用版】美大生が美術史を学ぶということ論

昨年からとある大学の文学部で日本美術史を教えています。と思ったら、今度の4月からはとある美大でも日本美術史を教えることになりました。こりゃ大変だ。

文学部と美大では、きっと学生たちの学ぶ姿勢もちがうでしょう。心に響くポイントも異なるでしょう。
だからここで一度腰を据えて、私の中のOSをバージョン1.0「文学部のための美術史講義」から、バージョン2.0「美大生のための美術史講義」へバージョンアップ

もっとみる
展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.3

展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.3

美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです(前回の記事)。

全工程はこちら(↓)をご覧ください。

07 各社から見積もりをとって予算を立てる展覧会の企画概要や出品作(ただしこの時点ではドリームプラン)が決まりました。
なんだかんだで、来年度にその展覧会が控えているぐらいの時期になってきました。ここからはどんどん具体的な話になってきます。

当た

もっとみる
展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.1

展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.1

学芸員の視点から美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、ひとつひとつ説明していくコーナーです。

全工程はこちら(↓)をご覧ください。

01 [始動]たいていの場合、何かきっかけがあるそう言えば、そもそも展覧会の企画がどこから始まるのかという話って、あまりよそで聞かないので、まずはそこから始めましょう。

純粋に、学芸員が研究しているテーマの中から面白そうな企画を考える、みたいなことはあまりあり

もっとみる
展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.2

展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.2

美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです(前回の記事)。

全工程はこちら(↓)をご覧ください。

04 作品や作家の情報収集を開始する展覧会の担当となった学芸員は、その企画に見合う作品や作家のリストアップを始めます。

他館で行われた過去の展覧会図録を読んだり、画集に目を通したりして、作品をおさえていきます。
まずここで、主要な作品、外せない作

もっとみる
「なぜ、“ひらく”のか」への考察

「なぜ、“ひらく”のか」への考察

漢字で書ける語句をひらがなで書くことを「ひらく」、その逆に、ひらがなの語句を漢字で書くことを「とじる」(=ひらかない)、これらを総称して「(漢字の)閉じ開き」といいます。

この「閉じ開き」は、テキストの読みやすさ、伝わりやすさ、さらに、誤読を避ける気づかいなどに直結します。デザイン制作物だけでなく、メールやSNSなど、文字ベースでのコミュニケーションが多く行われている現在では、ビジネススキルのひ

もっとみる
世界のアカデミアを歩む

世界のアカデミアを歩む

華中農業大学・植物科学技術学院(中国)教授
津田賢一

はじめに
 2004年に博士の学位を北海道大学で取るまで札幌在住、2005-2011年アメリカ・ミネソタ大学でポスドク、2011-2019年ドイツ・マックスプランク植物育種学研究所でグループリーダー、2019年より中国・華中農業大学で教授。4カ国の経験とも4都市しか経験していないとも言える。自分の経験が誰かの参考になれば幸いだけど、役に立たな

もっとみる