白玉庵

漢字学

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論文から学ぶ漢字の成り立ち研究

はじめに 前回の記事で、漢字の成り立ち(字源)を調べるにあたり、どういった記述が信用に値すると客観的に言えるか、またどのような媒体で調べるのがよいかを述べた。今回はその延長で、字源説というものが「いかにして提唱されるか」という過程に目を向けてみよう。要するに途中式を覗こうという魂胆である。今回取り上げるのは以下の三本である。 ・林澐「豊豐弁」 ・陳剣「釈上博竹書『昭王毀室』的“幸”字」 ・張富海「説字二則」(うち、「二、孔」の章)  以下、実際の論文内容に沿い、要約しなが

    • 漢字の成り立ちを調べるためのガイド

       この記事は、字源(漢字の成り立ち)を調べるにあたり、非科学的な説明などに騙されないようにするためのガイドである。二部構成で、前半で誤った字源説に対して自衛するための基本知識、いわば字源リテラシーとでも言うべきものを、広く浅くだが述べる。後半で、実際にネットや書籍で調べるにあたり、どれに当たるのがお勧めかを紹介する。なので、信頼できるツールを手っ取り早く知りたいという方は、二部から読んでいただいて構わない。 【第一部 字源リテラシーの構築】漢字の基礎 漢字は古代の中国語を表

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