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何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.5

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#コラム

そのままでいようとするんじゃなくて、美しく歳をとればいいのよ

"女子のクリスマスケーキ理論"を割と本気で信じてきた。

女子のモテ年齢はクリスマスケーキと同じ。24がピークで、25は当日ギリギリ買っていく人がいるけれど、26過ぎたら相手にされない。

結婚だって30までにしないと…という風潮はやっぱり、ある。これって一体何でだろう…と考えてみたけど、論理的な話が思い浮かばなかった。でも、存在している。

27〜29にかけて私は、漠然とした不安にずっと襲われて

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私たちは「わかりあえない」ことが前提

私たちは「わかりあえない」ことが前提

「旅先で出会う海外の人は『わかりあえない』ことが前提だから、1つでも気持ちが通じあうとすごく嬉しい。

逆に日本人同士は『わかりあえる』と思っているから、わかってもらえないとイライラしてしまうんだよね」

南米を旅していた時に知り合った、日本人の言葉。7年経ってもよく思いだす。

みんな、「わかりあえない」が前提だって思えたら、きっとすごくポジティブになるのにな、と思う。人ってそれぞれ違うんだから

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「効率が良い」って、本当にそんなに良いことなのだろうか?

「効率が良い」って、本当にそんなに良いことなのだろうか?

効率よく学習して、短期間で英語を身につけたい。プログラミングを身につけたい、テニスが上手くなりたい。ギターが弾けるようになりたい。そんな思いは誰にでもあるだろう。僕自身もそのうちの一人だ。

しかし最近になって、「『効率が良い』というのは、本当にそんなに大事なことだろうか?」と考えるようになった。効率を追求することが悪いわけではないが、弊害も随分大きいと思うようになったのだ。

効率を追求すると、

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美術が聞いてくることはひとつだけ「生きているか」

美術が聞いてくることはひとつだけ「生きているか」

私は美術が大好きです。

太陽や月や風や砂と同じように、
美術は人を選びません。

美術初心者が来ても、美術の専門家が来ても、
作品は変わらぬ態度でそこにあります。

美術はその人が誰かなんて、気にしません。
美術が気にするのは、その人が生きているかどうか、
です。

美術の前では、何者であってもいいし、
また、何者でもなくていい。
ただ生きていればそれでいい。

そのことが、ある人にとっては

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読みやすさについて誤解されていること

読みやすさについて誤解されていること

考える力には、言葉を操る力が不可欠だ。
で、その言葉を操る力には2つの側面がある。

文章という形や口頭での話言葉の形で自分の考えや主張をひとまとまりの言葉として組み立てる力がひとつ。
もうひとつは、文章を読んだり話を聞きとったりする力だ。
関連するところもあるが、それぞれ独立してもいる。読んだり聞いたりの方は、自分の文脈とは異なる、相手の文脈を予測する力が必要だから。

この他人の文脈を読みとる

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「生きている」にも色々あって。

「生きている」にも色々あって。

前回の記事で小さい頃からずっと生きていることに違和感があったと書きました。

そんな私も生きていくなかで、ここなら違和感なく過ごせるぞ、という場所をいくつか見つけました。むしろ、なんだか生き生きしちゃうかも、という場所までありました。

それはひとくちに「生きている」といっても、実はいろんな「生きている」があるからだと思います。

人間社会で「生きている」こと。

動物として体が「生きている」こと

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「技術が無闇に透けない」という技術

「技術が無闇に透けない」という技術

”つくったものに対して「上手い!」というより「好き!」と言われたい。”

これはわたしがイラストなどの制作に関わっている中で、ずっと思い続けていること。

というのも「上手い!」という感想が真っ先に出るクリエイティブは、それを作った「クリエイター自身の満足度」をやたらに高めるために作られてしまっているのではないかと思っている。伝えたいことより、技術が前に出てきてしまっている状態。ポートフォリオなど

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フォレルスケット・ウィークエンド

フォレルスケット・ウィークエンド

しばらく目を閉じて、思いっきり目を開ける。そのとき飛び込んでくる景色はしばらく忘れられない。きっと感情もおなじ。しばらく蓋をしていて、やっと開けて飛び込んだものがあったとして。それはとてつもなく愛おしいものになる、なんて思うのだ。

パラパラと分厚い本をめくる。
「ストップ!」
声が鳴り響いて止めたページの宿題を解く。“今日の宿題”という本をランダムにひらきながら紐解いてゆく過去。たくさんの問題と

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ヒーローは傷だらけ

ヒーローは傷だらけ

どうしようもないことに、いつまでも浸っていたってなにも生まれない。声をあげて上を向いた瞬間、霧の中に光が差した日。ふと、そんなことを思った。

昨日R-1ぐらんぷりで優勝した濱田祐太郎さんは盲目の漫談家。ネタの中には目が見えないことにまつわるエピソードが連ねられて、それがおもしろおかしく語られる。

賞金を意味のないことに使いたいんですよね、例えば3Dテレビとか買って、だまされへんぞ!とか言い

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気づかれないけど、大事なこと

気づかれないけど、大事なこと

・実在する地方の町における、高校生たちのありがちな休日の過ごし方。
・食品加工場でありがちな辛い作業。
・ちょっとマニアックなスポーツについて、ファン同士はどんな会話をすることが多いか?

これらはいずれも、私が最近、脚本執筆のために調べたことです。
どれも、いざ調べるとなると、なかなか確からしい答えにたどり着けない。
「今どきネットでちょちょいと検索すれば大抵のことはわかるだろう」と、思われるか

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その「謙遜」は誰のため?

その「謙遜」は誰のため?

「立派なことを成し遂げたのに、偉そうにしない人」というのは、好感度的に最強なんじゃないでしょうか。

そういう人に出会うと、尊敬の念と清々しさが自然と湧いてきますよね。
「謙虚さ」は接する相手をよい気分にさせるものなので、「褒められたら、謙遜で返す」という会話の流れはテンプレ化しているし、座りがいいいんだと思います。
こういう場合の謙遜は、コミニュケーションを円滑して場を和ませる、いわば相手への気

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残酷で愛おしい「無邪気」というものについて

残酷で愛おしい「無邪気」というものについて

ナイフやピストルよりも怖いものが「無邪気さ」だったなんて、22歳になるまで知らなかった。

私が無邪気さに対して無頓着でいられるほど、まわりのひとが優しかったのか、ものすごく気を使って接してくれていたのか、世間知らずだって思って見逃してくれていたのか。ほんのつい最近まで、無邪気さの持つ「愛おしさ」と「残酷さ」の2面性について、大して注意を払わず生きてこれたのは、ある意味私自身が幸せ者であることを証

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言葉にしなければ……

言葉にしなければ……

日々あらゆることが起きている。
だが、そのことを本当に起きていることにするには、ちゃんと「起きている」と弁明する必要がある。

声に出さなくてもいい。
とにかく、自分の頭の中でだけでも「起きている」と言葉にする必要がある。
弁明がなければ、何も起きていないことになる。なるというか、起きなかったのだ。

確かに何かが起こったと認識可能な出来事は起きていたのかもしれない。けれど、言葉にしなかったという

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あのころの私に届いてほしい

あのころの私に届いてほしい

中学生の頃私は、親と喧嘩をするたびに家でしゃくりあげて泣いていた。今思えばたいへんささいなことだったように思う。それでも、反論しているうちにどんどん涙がこぼれ、ぎゃーすか泣きわめくというめんどくさい思春期。

あるとき母が当時の私に言った言葉は、忘れられず今でも私の心に残っている。

「あなたは、感受性が強すぎて生きづらい」

母の言葉は、本当に的確だったと思う。同級生に嗤われやしないかとおびえ、

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