マガジンのカバー画像

スキした作品

37
色々読んでスキをしていく中で素敵な作品が埋もれていくのでまとめました/不定期更新
運営しているクリエイター

#現代詩

【詩】 魔法の言葉

【詩】 魔法の言葉

「待ってね」って言われるとうれしかった。
君を待つ時間が好きだったから。

いつも単純な言葉の中にいた。
君がくれる写真や文章や歌が、「今」の君であることがうれしかった。
君の中身だと考えるとうれしかった。
それをくれることが本当にうれしかった。

君を待つ間に、私は小説を書いたり、読んだりした。
好きな歌を聴いていることもあった。

いろんな無駄話を、いつまでもしたい。
君の言葉が、声が、いちば

もっとみる
【詩】ここで

【詩】ここで

みんな明るすぎる虹を持って
生きてるわけじゃない

そこにいてはいけない訳じゃない
ただどうしようもなく
居心地が悪いけどそこにいる

流れつくのは
辿り着くのは
同じ思いをしてる人が居る
そんな場所

傷を舐めあうわけじゃない
ただ同じ空気を感じる
背中に言えない何かがある

そんなこと聞かなくても
笑い話で零れてくる
それが笑い話じゃなくても

想像して欲しい

ここが居場所

気が合う者が集

もっとみる
詩人なら

詩人なら

詩人なら好きと言わずに堕とし込む

一刺し
棘の後の甘美な言葉

二刺し
ご褒美後の不埒の時間

三刺し
不毛な恋の爪痕を仕留める
確実に誠実に

そんな事も出来ない詩はなんて退屈な詩なの

嗚呼 退屈

【詩のようなもの】ハロウィーン

【詩のようなもの】ハロウィーン

駅から家までの間
寒暖差に耐えきれず
疲れきって歩く

ただでさえ暗い道
雑木林の横を通りすぎると
怖ささえおぼえる

足早に暗い中を
通りすぎようとすると
奇妙な音が林の中から
聞こえた

くわぁーくわぁーと子供の声のような
何かを呼ぶ声でもあり

恐ろし過ぎるその状態は
背筋を凍りつかせた
止まるも地獄
歩くも地獄

ゆっくりと一歩一歩進む
気のせいだ
きっと気のせいだ

よくよく耳を近づける

もっとみる
賽の河原 【幻想詩】

賽の河原 【幻想詩】

僕のからだは
いつのまにか薄い布になって
ふわふわただよっていた

空から見ると
灰色の荒野の中を
一筋の川が流れている
銀色の砂利が光っていて
鉱物の擦れ合う音が響いていた

川のほとりの風は
灰色の土を巻き上げた
丸い透明なものが
あちらこちらに浮いている
風に吹かれるままに
散ったり 集まったり

その 透明な
しゃぼん玉のなかに
坊さまが棲んでいた
しゃぼん玉のなかで
坊さまの弾く琵琶は

もっとみる
【詩】楽園

【詩】楽園

アラベスクの流麗に見とれて 冷たい彩色タイルに凭れると 微熱がひいて 中に吸い込まれていく

アラベスクの中には 空も水も 空気も花もある 食むための唐草も 読むための書もある 青の壮麗の中で 時間を忘れて過ごしていると もう外には戻れない 人を描くことを 禁じられたアラベスクには 人が抜け出す出口がない 香り立つ文様に酔うように 旋回して舞い始めたら 目が回り 視界がターコイズ色になって 私はタ

もっとみる
【詩】線路わき

【詩】線路わき

冬の風は体を氷に変える
マフラーを何重にも巻いて
黄昏を見ながら
家路へと向かう

線路脇の小径
明と暗の繰り返し
感じながら
ゆっくりと歩を進める

人混みに慣れた
空気にも慣れた
町には帰りそうにない

星はどこから見ても
同じじゃない
街で鈍く光る星は
いつも靄がかかっている

八百屋の店先の野菜は
いつも大きさがバラバラだった
スーパーの野菜はきれいに
整えられている

気が付けば整えられ

もっとみる
【詩】たどり着くまで

【詩】たどり着くまで

天気はいつも晴れじゃない
昨日は晴天でも
今日は大雨
明日の予報は嵐

いつも晴れならいいって
晴れ間を探している

あなたはそんな時
肩を抱いて
皆そんなもんだって

晴れだけじゃなく
嵐の中で答えが見つかることもある
行くべき道を見つけることもある

計画通りに行かなくて
頭を抱えても
それが計画だとしたら
計画通り

この世の中で必要ないかもしれない
小さい部屋で明日のことは考えられない

もっとみる
とわに《詩》

とわに《詩》

ぶらーん ぶらーん

こんな風に ぶらんぶらん したい

永遠に らぶーんらぶーん したい君と

ぶらーん ぶらーん

どうかな 君

梨の笑顔の向こう側《詩》

梨の笑顔の向こう側《詩》

線路の向こう 見届けて
列車の音が聞こえない
耳穴塞ぎ 聞こえない
トントントコと トコトンと

別れ際には 必ずと
必ずという 辛さあり
瞼をしまい 流さない
ピシャンピシャ ピシャリンと

我が一部分 引き裂かれ
辛さを知った 肉親が
生まれて死んで 繰り返し

もっとみる
奇妙なリズム 【自由詩】

奇妙なリズム 【自由詩】

時おり二つ
次に三つ

ステップが変わる
目を離すとすぐに変わる

時おり三つ
あるいは七つ

変なリズムを刻む
君の足元
ハイヒールが地面を抉りながら
ステップを踏む

二つ 三つ 七つ

ボンゴが喉を鳴らす
おどけた喉を鳴らす
アンビバレントな喉を鳴らし
民族の風を吹かす

偶像が踊る
奇妙なリズム
千手観音が踊る
複雑怪奇なリズム

海坊主が踊る
ニュラルホン ニュラルホン
蛸坊主が踊る

もっとみる
【詩】優しい場所

【詩】優しい場所

麗しい風に揺れる木
木についている実は
何を食べても
美味しく

目に見える全ての花は
美しい

遠くで音楽が聞こえ
そばに寄ってみると
音楽を奏でているのは
花の音と虫のリズム
枝からはラッパとフルート

楽しそうに右に左に揺れている

澄んで透明な水は
何よりもおいしい
喉を潤して
心も潤してくれる

柔和な顔をした女性が
大きな木の幹で
子供たちを周りにして
絵本を読んでいる

お兄さんとお

もっとみる
【詩】肉じゃが

【詩】肉じゃが

”ろくなもん食ってないだろ”
君がいつか出してくれた
スペイン風肉じゃが
肉じゃがなんて
年寄りの好物だって
高をくくってたのに
肉じゃがなんてさ
でも今じゃ
顔が上を向かない日は
肉じゃがを食べたくなるよ
不安にくるまれて
あがいて もがいて
不思議とキラキラしていた
いつかの自分を
茶色い肉じゃがに
思い出して

【現代詩】アイアンハート

【現代詩】アイアンハート

パニックになりそうな
そんな時
心を鉄にしてしまおう

あたたかいものには
やわらかく
冷たいものには頑なに

心を鉄にしてしまおう

人によって対応を変えてもいいんだよ、
自分の心が一番なんだから