【詩】優しい場所

麗しい風に揺れる木
木についている実は
何を食べても
美味しく

目に見える全ての花は
美しい

遠くで音楽が聞こえ
そばに寄ってみると
音楽を奏でているのは
花の音と虫のリズム
枝からはラッパとフルート

楽しそうに右に左に揺れている

澄んで透明な水は
何よりもおいしい
喉を潤して
心も潤してくれる

柔和な顔をした女性が
大きな木の幹で
子供たちを周りにして
絵本を読んでいる

お兄さんとお姉さんは
ボールを追いかけて
懸命に走っている

おじいさんやおばあさんは
丸いテーブルの周りに集まり
思い出話に花が咲く

何を食べても美味しく
何を聴いても美しく
何を飲んでも心が豊かになる

悩み
孤独
苦痛

辞書を広げても
その文字は見当たらない

やすらかな世界
誰も冒すことが出来ない時
優しい場所

今いるのは天国
ここは天国

思い煩いはここにはない