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【詩】線路わき

冬の風は体を氷に変える
マフラーを何重にも巻いて
黄昏を見ながら
家路へと向かう


線路脇の小径
明と暗の繰り返し
感じながら
ゆっくりと歩を進める


人混みに慣れた
空気にも慣れた
町には帰りそうにない


星はどこから見ても
同じじゃない
街で鈍く光る星は
いつももやがかかっている


八百屋の店先の野菜は
いつも大きさがバラバラだった
スーパーの野菜はきれいに
整えられている


気が付けば整えられた
人間になろうと
東京の星を見ている


並べられた林檎の中で
みどりになるのは望まれていない
同じ形で美味しそうに光ることだけを
目指している


明と暗の道を歩きながら
失敗もせず成功もない生活に
違うと独り言を言う


きっと望むものは当たり障りのない
成功の先じゃなく
形の揃わないでこぼの失敗の先にある





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