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「コスパ」なんて二度と口にするな!〜編集部の雑談〜

四ツ谷:今日もいつものシーシャ屋さんに集まってもらいました。吸わないのに来てくれる宮崎くん、ありがとう。

初見の人のために、このアカウントの趣旨を説明しておきましょう。

このアカウントは出版に関わる我々の実験の場です。
我々は出版人として、読者がどんなテーマに興味があるのか、どんな文体が好きなのかを理解する必要があります。
実際に本を出す場合は失敗は許されないし、プレッシャーも大きい。だからこそ、ここで気軽にいろいろ試してみようってわけなのです。

さて、前回の会議(1ヶ月前)からフォロワーは何人増えましたか?

北山:約150人増加で、現在は240人。健闘しているかもね。

宮崎:今回は北山の不定期投稿が多かったことが勝因だと思う。投稿頻度が多いとおすすめに表示されやすいから、基本的に記事は多い方がよい。

四ツ谷:この1ヶ月で投稿した記事は4本だね。

北山:書き溜めてた記事を活用したんだ。「東京を念入りに散歩する」は敬愛する評論家・宇野常寛氏に勝手に書いて送ってみた原稿。他人に読んでもらおうと思って書いたやつだから、わりとしっかりしてる。

路上生活の記事は散歩していて、衝動的に書いたやつだね。

四ツ谷:路上生活の記事はいいね数が過去イチだった(固定を除く)。でもレビュー数が非常に少ないのが興味深い。反して「東京を念入りに散歩する」の記事はいいね数は少ないのに、レビュー数が圧倒的に多い。

宮崎:読者を絞ったのがポイントじゃないかな。「阿佐ヶ谷」ってワードが入ってると、住んでいる人は読みたくなる。
逆に路上生活の記事は「絶対に刺さる」って層が少ない。読まなくてもなんとなく想像がつくしね。記事のクオリティが高いとレビュー数が伸びて、タイトルが良いといいね数が伸びる印象があるよ。

数字は左からレビュー数、コメント数、いいね数

四ツ谷:インスタの状況はどう?

宮崎:フォロワー67人です。

北山:ダメダメだね。

宮崎:インスタでフォロワーを増やすには、他人の投稿にいいねをしまくる「いいね周り」が大事なんだ。インスタには拡散機能がないから、そうでもしないと気付いてもらえない。仕様が変わって最新の投稿が表示されなくなって、効果的に「いいね周り」ができなくなったのが問題だと思う。

四ツ谷:これ以上続けてもnoteに繋がる気配がないね。早めに撤退するか。

宮崎・北山:賛成。無駄な労力を割いても仕方ない。

四ツ谷:さあ、ここからが今日の本題。次の記事はどうする? 担当の宮崎、何か考えた?

宮崎:一応、鉄道会社社員の記事を書いたよ。こんな感じ。

北山:これは酷いな……。
この記事のどこがどう面白いんだよ。まったく読みどころがないし、こんなの公開できるわけない。

宮崎さあ、自分でこの記事が面白いって思う?

宮崎:思いません……。

北山:そんな記事を俺たちに読ませるなよ! 俺は毎回自分の記事が過去イチで面白いと思って書いてるよ!

鉄道会社社員が酔っ払いに絡まれるとか、どう考えてもありきたりなエピソードをごく普通に書いてもしょうがないだろ! 
「この記事でしか読めない」っていう独自性が一切ない。

四ツ谷:すごい怒ってるじゃん……。まあ、でもタイトルはいいよ。書き出しは普通過ぎるかな。全ての創作欲の顕現であるはずなのに、これが普通だと内容に期待できないからね。

宮崎:コスパを求めてしまいました……。

北山:創作する人間が「コスパ」なんて二度と口にするな! コスパを求めると逆に遠回りになるからな。結果的にこの記事を書いた労力は全て無駄になったわけだし。

宮崎:実はAIも使ってました……。

北山:道理で面白くないわけだよ。文章が面白くなるには「書きたい」「読んで欲しい」ってエネルギーが必要不可欠なのに。そこを失くして面白い記事ができるわけがない。

宮崎:流しで書いてすみません。ちょっと本業が大変で……。いま作ってる本で著者ともめていて。本当に悩んでるんだ。

四ツ谷:じゃあその悩みを書いてみたら? 文章は「本当のこと」を書いてこそ面白いって町田康氏(だったかな)が言ってたよ。

宮崎:悩みがなくなるまでの試行錯誤をルポにするってことね。実生活の役にも立つし、いいかもしれない。

北山:じゃあ次の記事はそれでいこう。つぎ手ぬいたら許さねえからな。

好きで始めたことをサボろうとする人間が一番嫌いだ!!!

四ツ谷:説教はこのくらいにしようか。北山は落ち着いて(笑)

毎回恒例だけど、最近読んで面白かった本ある?

宮崎:『女子大生、オナホを売る。』かな。
自己啓発本って「努力しなさい」みたいな「そりゃそうだろ」ってアドバイスを言葉を変えて書いてるものが多いんだけど、あれは著者のマーケティング理論がタイトルはじめ本づくりにもしっかり反映されている。だから読んでいて本当に勉強になる。

北山:勉強になったなら実戦で活かせよ。


【「ルポ〇〇の世界」の編集部員たち】

北山:1994年生まれ。ライター。「文春オンライン」などに寄稿。いつもシーシャを吸っている。社内SNSのプロフィール画像を自身がシーシャを吸う姿に設定し、顰蹙をかったことがある。署名は(円)。

宮崎:1993年生まれ。ビジネス書編集者。元メーカー勤務。理系。仕事はできるが、常識に欠ける。今回は、会議前に行ったすし屋で「数の子」を知らないことが判明した。署名は(宮)。

四ツ谷:1996年生まれ。学術書編集者。出版社3社を経験。硬派なクラブが好き。一番好きだったハコは渋谷のVISION。渋谷カルチャーを愛している。シティ派なはずなのに浦安に引っ越そうとしている。署名は(四)。


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