- 運営しているクリエイター
#論理的思考
深層意味論的神話分析「料理の火の起源」神話と理趣経における「平等」の概念 -区別されたもの/区別すること を区別する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(12)
* * * *
生のものと火を通したもの、新鮮なものと腐ったもの。こういった「経験的区別」が「概念の道具となり、さまざまな抽象的観念の抽出に使われ」る様を、さらにはその抽象的観念がつなぎ合わされて「命題」になる様を観察しようというのが、レヴィ=ストロース氏の『神話論理』の試みである。
生のもの / 火を通したもの
新鮮なもの / 腐ったもの
||
<<経験的区別>>
↓
<<抽象的観念を抽出す
深層意味論的神話分析「病の起源」神話 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(11) --媒介項の活動を八極への分節として言語化する
前回までの記事はこちら↓
人間が動物に変身する?”媒介項”こそ、クロード・レヴィ=ストロース氏が『神話論理』で描き出す神話の論理の世界を読み解く鍵である。
*
神話では互いに異なり対立関係にあるはずの二極のあいだで、一方から他方への移動や、一方から他方への変身が語られる。ここで二項は対立関係の両極にあるものとして分離され区別・分節されながらも、同時に一つに結びつけられる。一つに結ばれるといっ
基準神話「鳥の巣あさり」の分節分析 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(8)
クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第8回目。
一連の記事はこちらでまとめて読むことができます。
もちろん、これまでの記事を続けて読まなくても、今回だけでもお楽しみいただけます。
(前回の記事(第7回)はこちら↓)
コンゴウインコとその巣レヴィ=ストロース氏の『神話論理I 生のものと火を通したもの』の「序曲」につづき、いよいよ本論「主
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(6) 『神話論理』×空海『十住心論』 -言語の分節を多重化し、「心」の分節も多重化する
(前回の記事(第五回)はこちら↓)
三重のコード『神話論理I 生のものと火を通したもの』の序文に次の一節がある。
前回も少し触れたが、改めてコードが三重である点に注目して読もう。
一次的コード:言語のコード=分節システム
二次的コード:神話が語ることのコード=分節システム
三次的コード:二次的コードを設定するコード(神話の分節システムを発生させている分節システム)、と仮に言い換えておこう
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(5) 人類の思考の”底”〜ニ段重ねの四項関係としての「構造」
(前回の記事(第四回)はこちら↓)
前回は『神話論理I 生のものと火を通したもの』の「序曲」「I」を読みながら「神話は果てしなく続く」ということについて論じました。
「神話は果てしなく続く」というのはつまり、神話論理がとらえようとしている「構造」が、「始まり」と「終わり」の二項対立や、他のあれこれの二項対立の”どちらか”に振り分けられて止まってしまうような代物ではない、ということであり、神話論
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(1) 空海の曼荼羅-「心」と『神話論理』を並べて深層意味論として読む
はじめに。空海の「心」と、「野生の思考」空海著『秘密曼荼羅十住心論』は、その名の通り「心」の十のあり方についての論として読むことができる。
『十住心論』を読む以前、私自身も現代人の素朴な常識に従って、”「心」のあり方は一つで、それは身体の脳神経か何かに還元して説明し尽くせるのではないか?”などというふうに考えていた。
しかし空海によれば、”心”の世界はもっと広大無辺である。
しかも、”心”は