#意味分節理論
なぜ「舌切り雀」は舌を切られてしまうのか? -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(16)
クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試み。
膨大な『神話論理』のオープニングにあたる『神話論理I 生のものと火を通したもの』は「料理の火の起源」や「ノブタの起源」といった神話から幕をあける。
ここで紹介されている「料理の火の起源」、「ノブタの起源」の神話は、南米の先住民の神話を記録した資料にあるものだが、その語りの展開をよくよく眺めると、わた
深層意味論的神話分析「タバコの起源」にみる”未分離”と”分離”の「分離」 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(15)
クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試み。
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今回も前回に引き続き「鳥の羽根で葺いた小屋」が登場する神話である。
『神話論理I 生のものと火を通したもの』から、「文化財の起源」の神話を引いてみよう。この神話も、時系列で次のように展開している。
α未分離 →β分離 →Γ分離したものの結合 →Δ第二の分離
内容を詳しくみてみよう。
人間の起源とは? -神話にみる”心”の存在分節・意識分節と、空海の『吽字義』の世界 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(14)
区別されたものについての知能と
区別することについての智慧見えるとか、見えないとか
感覚できるとか、できないとか
あるとか、ないとか
そういうことを言えることを可能にしている、構造というか、アルゴリズムというか、流れというか、システムというか、なんとも言えないようなこと
”それ”を外から分節すると、もう”それ”ではなくなってしまうなにか
それに惹かれながらも、この感覚世界を”それ”の象徴
”心”の意味分節システムを発生させる鍵は”両義的媒介項”にあり -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(13)
4歳になる下の子を保育園に送る途中のこと。犬が石畳の道を歩いていた。
犬の四本の足が、それぞれいそがしく宙に持ち上げられては石畳に降ろされる。そのとき、パタパタというか、パシパシというか、パラパラというか、冬の空気にぴったりな音がする。
その、わたしにとっては ”犬 の 足音” である音。
その音を聞いて、下の子がいう。
「足あとの、声がする!」
+
足跡の声
私: 犬 / の / 足
深層意味論的神話分析「料理の火の起源」神話と理趣経における「平等」の概念 -区別されたもの/区別すること を区別する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(12)
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生のものと火を通したもの、新鮮なものと腐ったもの。こういった「経験的区別」が「概念の道具となり、さまざまな抽象的観念の抽出に使われ」る様を、さらにはその抽象的観念がつなぎ合わされて「命題」になる様を観察しようというのが、レヴィ=ストロース氏の『神話論理』の試みである。
生のもの / 火を通したもの
新鮮なもの / 腐ったもの
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<<経験的区別>>
↓
<<抽象的観念を抽出す
深層意味論的神話分析「病の起源」神話 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(11) --媒介項の活動を八極への分節として言語化する
前回までの記事はこちら↓
人間が動物に変身する?”媒介項”こそ、クロード・レヴィ=ストロース氏が『神話論理』で描き出す神話の論理の世界を読み解く鍵である。
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神話では互いに異なり対立関係にあるはずの二極のあいだで、一方から他方への移動や、一方から他方への変身が語られる。ここで二項は対立関係の両極にあるものとして分離され区別・分節されながらも、同時に一つに結びつけられる。一つに結ばれるといっ
レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(1) 空海の曼荼羅-「心」と『神話論理』を並べて深層意味論として読む
はじめに。空海の「心」と、「野生の思考」空海著『秘密曼荼羅十住心論』は、その名の通り「心」の十のあり方についての論として読むことができる。
『十住心論』を読む以前、私自身も現代人の素朴な常識に従って、”「心」のあり方は一つで、それは身体の脳神経か何かに還元して説明し尽くせるのではないか?”などというふうに考えていた。
しかし空海によれば、”心”の世界はもっと広大無辺である。
しかも、”心”は