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たるもの、でなくても

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純度99%のエッセイ
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#振り返りnote

おばあちゃま

おばあちゃま

1.呼び名

102歳で天国へ旅立った私の父方の祖母。
私の大好きな「おばあちゃま」

父方の血筋は、なぜかこの呼び名が代々続いている。

もちろん私の息子たちも、両親を「じいちゃま、ばあちゃま」と呼ぶ。

幼い頃は何の違和感も無く呼び、物心がついてくると、ちょっとよそと違う呼び方なのだと気づき、人前だけで「おばあちゃん」などと呼んだりする。

そしてまた、そこを通り過ぎるとその呼び名がかわいらし

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手作りブランコ

手作りブランコ

数年前のある日、父から連絡が来た。

「孫たちが大喜びするモンが出来たぞ」

何かと想像を超えてくることを予測し、送られてきた画像を開くと、祖母が生前、植木や花を大切に育てていた小さな敷地の一角に立っている大木に、何やらぶら下がっている。

おお!手作りブランコではないか!

これはすごい!!!っと一瞬浮き上がる気持ちと同時に、その画像が私の頭の中でゆっくりと動き出す。

ちょっと待てよ…。

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とんでもハネムーン記(後編)

とんでもハネムーン記(後編)

※(前編)はこちらから
※(中編)はこちらから

1.思い出の人物たち

私たちの念が通じた。
何と、全日程満室御礼。ということは、この部屋に最終日まで泊まれることになったのだ。

(神様、帰りの水上飛行機、大丈夫ですよね?)

そんな中で、たくさんの人々に出会った。印象的な方たちを思い出しながら書くことにする。

-----ルームキーパーのおじちゃん-----

私たちの部屋を毎日メイキングして

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思い立ったが吉日か?

思い立ったが吉日か?

1.若さって本当にあるんだぜ誰しもが思う。

"ずっとこのまま"だとか、"いつでもできる"だとか。
そんな訳がないことを分かっているのに、その瞬間はまるで信じようともせず、当たり前に不変を決め込む。

しかし、例えば有りあまるお金を手に入れ、バキバキにヒアルロン酸を打つことに財を費やさない限りは、おおよその人間に老いはやってくる。

スポーツすることだけが好きだった私など、膝が痛くて思うように走れ

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人類みな兄弟 vol.3

人類みな兄弟 vol.3

※前回投稿した人類みな兄弟 vol.2 の続編です。
まだ読んでいない方は人類みな兄弟 vol.1からとっかかってくださいませ。

-----イタリア・ヴェネツィアにて-----

旅も終盤、ドイツからオーストリアを下り、その後イタリアへ。そろそろ一行にも疲れが出ているころではなかろうか。いや、そんなはずはない。

言わずと知れた水の都、イタリアはヴェネツィアにおりたったのであるからして、テンショ

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人類みな兄弟 vol.2

人類みな兄弟 vol.2

※前回投稿した、人類みな兄弟 vol.1 の続編です。

----オーストリア、ハイリゲンブルートにて----

ここはグロースグロックナーという氷山の麓にある、比較的小さな地区だったと思う。

出発する前から大興奮していた父だが、この地区にはさらなる思い入れがあった様子で、以前にも泊まった、とても素敵なゲストハウスにできればもう一度辿り着きたい!と出発前から口にしていた。

とは言え、5年ほど前

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人類みな兄弟 vol.1

人類みな兄弟 vol.1

1.父について今回は父について書こうと思う。頑固なところもあるが、いつも陽気で、いつも何かに熱中していて、いつも何か楽しい事はないかとアンテナをはって生きている。そんな風に見える父。

「お父さんが年取ってひとりになってしまったら、バイクでお前たち子どもの所ば周る。ボケたらいかんけんGPSを埋め込んでくれろ。」

なんて事を言うのも、子どもが納得できてしまうぐらい、とにかく少年の心を持ったまま大人

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