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福祉の仕事

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仕事中に気づいた発見や喜びを書いています。
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#転職

数年越しの夢が叶った日

数年越しの夢が叶った日

前の職場を4年前に退職してからずっと私は夢見てた。

いつか利用者のみんなとまた元職場で会える日を夢見てた。

前の職場を忘れたことは一日もない。
新たな場所で働いていても、元担当利用者にずっと会いたいと願っていた。

 
 
だけど、会わせる顔がなかった。 

退職した身分で軽々しく会いにはいけない。
同僚も面白い気分ではないだろうし、利用者も困惑するだろう。

退職とはそういうことだ。

退職

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転職して4年目を迎えた日、リーダーがいなくなった

転職して4年目を迎えた日、リーダーがいなくなった

大好きで尊敬していたリーダーの退職が発表された頃
私は転職を考え出した。

 
私の職場は新卒をとらない。
職員の平均年齢も高い。
年齢を考えれば
今慕っている人は私より先に辞めるだろう。

そう前々から考え、薄らと不安だったわけだが
リーダーが辞めることや人事異動により
更に基盤が揺らいでしまった。

 
今すぐ辞めたい、まではいかないが
私は求人情報を夜な夜な見ていた。

どこも可もなく不可も

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残業と人手不足と不安

残業と人手不足と不安

同僚が体調不良で複数人同時に休んだ時
他の同僚やリーダーがいたからなんとか乗り越えられた。

 
だが、その休んでいた同僚が体調が治ると
今度は別の同僚が体調不良で一週間休み
更に翌週も復帰が未定らしい。

元々毎月体調不良で何日も休む方だ。
毎月のことといえばそれまでだけど
今回は期間が長いし、不安になってしまう。
このまま退職になったらどうしよう、と。
退職にならないにしても、復帰が数ヶ月単位

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利用者の反応

利用者の反応

リーダーが退職を発表した際
想像以上に利用者は不安定にならなかった。

多少泣いたり、落ち込んだ人はいたが
ほとんどの人は実感がわからないのか、大きな変化はなかった。

 
保護者にしてもそうだ。
一部の方が落ち込んだりはしたが、想像以上にサラッとしたものだった。

 
私は驚いた。

リーダーが辞めるというのに、利用者も保護者もなんと割り切っているのだろうか。
私以上にリーダーと長い付き合いなの

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研修と発表

研修と発表

リーダーの退職はとある日の食後知らされることになっていた。

その日、私はちょうど午後から研修だった。
私はその瞬間に立ち会うことはない。

 
「真咲さん、研修いってらっしゃい。」

利用者が笑顔で言う。

利用者は知らない。
あと数十分もしない内に、もう知らなかった頃には戻れない悲しみに襲われる。

 
研修先は近くの駐車場が満車で、遠くの駐車場から歩くことになった。
私が研修に間に合うか焦っ

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金曜日のあれこれ

金曜日のあれこれ

一週間最後の勤務日である金曜日は戦いだ。
金曜日は大抵が行事日だからだ。

 
まず、朝の送迎から戦いは始まる。
金曜日の私の送迎担当である利用者は非常に不穏になりやすい。

 
送迎車に乗り込むまでに私、利用者、保護者で三人の戦いになり
乗り込んでからも場面切り替えができず
ギャーギャーと騒ぎ、落ち着くまで車からは降ろせない。

その日は落ち着くまで時間がかかり
お互いに心身疲れた。

「施設な

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来年度の予定

来年度の予定

毎年3月に来年度の業務分担を決める。
書類作成だったり、行事の担当だったり、毎月の業務を誰がやるかを決める。
30項目分だ。

一人に偏り過ぎないように決める。

 
来年度はリーダーがいなくなり
同僚Aさんが人事異動により現場から離れる時間帯が増え
同僚Bさんはパートから正職員に変わる。

リーダーの変わりの人は決まっていない。

 
 
「みんな心にゆとりがないし、新しい人も決まっていないし、

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うるう年のあの日

うるう年のあの日

4年ぶりの2月29日。うるう年。

4年前のあの日は、忘れもしない前の職場の最終勤務日だった。

 
人生でもTOP10に入るくらい大きな出来事だった。
間違いなく、30代で一番の試練が、長年務めた職場を不本意な形で立ち去ることになったことだ。

 
転職先も次にどうしたいのかも何も決まらないまま
未練たらたらで泣いて泣いて泣いたあの日。

あの日から、四年。

 
 
四年、か。

仕事に行く時

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変わらない日常と複雑な思い

変わらない日常と複雑な思い

リーダーが退職を発表し、リーダーと話した後
表面的には何も変わらない日常が続いている。

 
リーダーは相変わらず毎朝一番に来て黙々と仕事しているし
私達も毎朝同じような時間に来て、仕事をしている。

 
誰ももう退職について表立っては話題にしなかった。
みんなの心の内は分からない。
割り切ったのか吹っ切ったのか諦めたのか分からない。

ただ、みんなは大人だった。

 
前の職場では誰かが退職を発

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私の夢ってなんだろう

私の夢ってなんだろう

私の夢ってなんだろう。

リーダーの退職が分かった日、私はそんな思いに駆られた。
私の夢ってなんだろう。

 
かつて私は27か28歳の頃に三年付き合った彼氏と結婚して子どもを産んで、跡を継ぎたかった。
あれは夢というより、使命に近かった。

27歳になる手前に三年以上付き合った彼氏と別れ
私はもう二度と、子どもの頃からの夢が叶うことはないのだと
未来を失って絶望した。

 
仕事が好きだった。

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利用者の夢を叶えた日 その②

利用者の夢を叶えた日 その②

職場の創立記念パーティー当日。
晴れ間があるものの曇りで、気温は朝から低い。

 
当日は緊張でろくに眠れず
朝も軽くしか食べられなかった。

 
朝、出勤途中で前施設長からLINEが届いた。

「おはようございます。
連日準備いろいろありがとうございました。
今日はぶっつけ本番のことが多く、皆さん不安も多いかと思いますが、職員の皆さんも1日楽しんでいただければと思います。
みんなのドレスやタキシ

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上手なお別れ

上手なお別れ

先日、某芸能人が亡くなった。

その某芸能人が好きな利用者Aさんは朝からショックで落ち込んでいた。

 
Aさん「○○さん亡くなっちゃった。これから私はどうしたらいいの!?」

私「あれ?ただ、Aさんは▲▲さん(他の芸能人)や××さん(他の芸能人)の方が好きじゃなかったっけ?」

Aさん「うん。」

利用者Bさん「まだ▲▲さんや××さんがいるから大丈夫だよ。芸能人は、○○さんだけじゃないんだから。

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営業の話

営業の話

職場で作っている冬季限定グッズが密かな悩みの種だ。

 
例年、夏から作り出すのだが
今年は色々なことが重なり、作り出す時期が遅く、それによりまだ作り終わっていなかった。

職員はそれ作りを最優先し
他の仕事は後回しにするように言われていた。
もの作りより事務仕事の比率が多い私は
そのしわ寄せにより、サービス残業がどんどん増えていった。

 
また、その冬季限定グッズを作る関係で
数人の職員は毎日

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ピアノを教えた日

ピアノを教えた日

二ヶ月に一回くらい、選択学習の時間がある。
選択学習の内容はその時によって変わる。

 
選択学習の前日に利用者に何をやりたいか聞き
職員は前日夕方か当日朝に何を担当するか言われる。

 
「真咲さんはピアノ担当してもらっていいですか?」

と、リーダーに言われた。

 
リーダーが楽譜を持ってくるから
どの曲をやりたいか利用者に選んでもらい、手添えでやったり、弾いてもらい、時間があったらみんなの

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