よつば

はじめまして。 255文字で本の感想を書いています。 選書の参考になれば嬉しいです。 …

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はじめまして。 255文字で本の感想を書いています。 選書の参考になれば嬉しいです。 https://bookmark-clover.com/ 〝Amazonアソシエイト・プログラムの参加者〟

記事一覧

『終活シェアハウス』御木本 あかり

小学校時代からの同級生、歌子・ 厚子・瑞恵。 彼女達はマンション『カーサ・ベラ・ビスタ』の最上階で共に生活する。 68歳の女性3人が暮らすシェアハウスに秘書としてや…

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23時間前

『彼女がそれも愛と呼ぶなら』一木 けい

様々な愛の形が描かれる。 高校生の娘・千夏と、三人の恋人と共に五人で一つ屋根の下で暮らすポリアモリーの伊麻。 束縛彼氏に不快感を感じながらも、交際を断ち切れない…

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1日前
1

『JK III』松岡 圭祐

シリーズ第3弾。 家族を無残に殺された女子高生・有坂紗奈の復讐劇。 K-POPダンスの人気YouTuber・江崎瑛里華としてお金を稼ぎながら、ただ一人復讐の為だけに生きる紗奈…

よつば
3日前

『クリームイエローの海と春キャベツのある家』せやま 南天

創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞受賞作で本作がデビュー作。 主人公は五年間勤めた大手商社を辞め、家事代行派遣会社に登録したばかりの永井津麦。 新しく担当す…

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4日前
5

『あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか』天祢 涼

真っ直ぐ問いかけてくるタイトルと、不安定な状態を思わせる装丁に惹かれ手に取った。 物語は同じ会社で働く三人の男女を中心に展開する。 子供時代に父親から「はっきり…

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5日前
1

『もう明日が待っている』鈴木 おさむ

以前読了した「僕の種がない」に続き本作もとても良かった。 本文中に"この物語は「小説」である”の一文があったがほぼ実話に近いと想像する。 読み終えて真っ先に沸き…

よつば
7日前

『怪談刑事』青柳 碧人

「繰り返す男」 「猫に憑かれた女優」 「トンネルとマヨイガ」 「物の怪の出る廃校」 「対決・仏像怪談」 「生霊を追って」 6話収録の連作短編集。 主人公は、警視庁・深…

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8日前
1

『ぼくらは回収しない』真門 浩平

「街頭インタビュー」 「カエル殺し」 「追想の家」 「速水士郎を追いかけて」 「ルナティック・レトリーバー」 5話収録の独立短編集。 前作の『バイバイ、サンタクロース…

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9日前
2

『私はヒロインになれない』小桜 菜々

「私はヒロインになれない」 「ただそれだけのこと」 「愛とセックスはイコールだと思ってた」 「君との未来のために」 「サレカノ」 「沼恋の先に」 6話収録の恋愛短編集…

よつば
10日前
1

『鼓動』葉真中 顕

圧巻。 引きこもりを題材にした作品の中で過去イチ良かった。 物語は、長い引きこもり生活の末に罪を犯した草鹿秀郎と、事件の真相を追う刑事・奥貫綾乃の視点で交互に語…

よつば
11日前
1

『あなたの言葉を』辻村 深月

辻村さんの言葉は、まあるくて優しい。 『毎日小学生新聞』に連載されているエッセイを書籍化したものだが、大人が読んでもスッと心に沁み込んで来た。 読者の相談に対し…

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13日前
6

『バカ老人たちよ!』勢古 浩爾

子どもの頃、人生経験を積んだお年寄りは尊敬し敬うべき存在であると思っていた。 ところがどうだろう。 人生100年時代と言われる今、一歩外に出れば元気な高齢者がわん…

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13日前
3

『赤の女王の殺人』麻根 重次

第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。 物語の舞台は長野県松本市。 松本市役所の市民相談室に勤務する六原あずさと刑事の夫・具樹が中心となり事件を追う。 …

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2週間前
2

『家族解散まで千キロメートル』浅倉 秋成

『六人の嘘つきな大学生』でハマった浅倉さん。 今回のテーマはズバリ家族。 事件の発端は引っ越し準備中に倉庫で発見された謎の御神体。 どうやらこの御神体、青森の神社…

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2週間前
1

『ダイヤモンドの原石たちへ』湊 かなえ

湊さんのデビュー15周年記念作品。 冒頭の池田理代子さんとの対談から興味深く読んだ。 私も『ベルサイユのばら』は全巻購入して読んでいたけれど、単純に好きとか面白か…

よつば
2週間前
2

『マガツキ』神永 学

「それ」「友だち」「欲しい」「羽化」「誘う」「嫉妬」「真相」 7話の短編とエピローグで構成されたホラーミステリ。 SF要素も盛り込まれているが難解さはなく、久々ホラ…

よつば
2週間前
『終活シェアハウス』御木本 あかり

『終活シェアハウス』御木本 あかり

小学校時代からの同級生、歌子・ 厚子・瑞恵。
彼女達はマンション『カーサ・ベラ・ビスタ』の最上階で共に生活する。

68歳の女性3人が暮らすシェアハウスに秘書としてやって来た大学生の速水翔太。
そこに新たに初期の認知症と診断された恒子も加わり悲喜こもごもの日々が始まる。

再就職に苦労したり、ロマンス詐欺に引っ掛かったり、老いらくの恋をしたりと彼女達の毎日は平穏無事とは言い難い。

ギスギスした雰

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『彼女がそれも愛と呼ぶなら』一木 けい

『彼女がそれも愛と呼ぶなら』一木 けい

様々な愛の形が描かれる。

高校生の娘・千夏と、三人の恋人と共に五人で一つ屋根の下で暮らすポリアモリーの伊麻。
束縛彼氏に不快感を感じながらも、交際を断ち切れない千夏。
伊麻の友人で主婦の絹香は、浮気+モラハラ夫との結婚生活に嫌気が差している。

多様性の時代、誰がどんな愛の形を選択しようと本人達の自由だと思うけれど、自分に置き換えるとどれも違和感しか感じなかった。

相互に等しい愛情があれば良い

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『JK III』松岡 圭祐

『JK III』松岡 圭祐

シリーズ第3弾。
家族を無残に殺された女子高生・有坂紗奈の復讐劇。

K-POPダンスの人気YouTuber・江崎瑛里華としてお金を稼ぎながら、ただ一人復讐の為だけに生きる紗奈の生き方が切なくも苦しい。

本作では、紗奈の指示の元、タワーマンションの一室で生活する飯島千鶴が物語の鍵となる。

閉塞感に耐え切れなくなった千鶴が、夜の街へ繰り出した事で生まれた新たな悲劇。
悪は更なる悪を呼び、敵は増え

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『クリームイエローの海と春キャベツのある家』せやま 南天

『クリームイエローの海と春キャベツのある家』せやま 南天

創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞受賞作で本作がデビュー作。

主人公は五年間勤めた大手商社を辞め、家事代行派遣会社に登録したばかりの永井津麦。

新しく担当する事になった織野家に出向き目にしたのは、床一面を覆いつくす洋服の山。
その光景は全体に薄っすら黄身がかったクリームイエローの海のよう。

5人の子どもを育てるシングルファーザーと津麦。
不協和音を奏でていた二人だったが、家事に対

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『あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか』天祢 涼

『あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか』天祢 涼

真っ直ぐ問いかけてくるタイトルと、不安定な状態を思わせる装丁に惹かれ手に取った。

物語は同じ会社で働く三人の男女を中心に展開する。

子供時代に父親から「はっきりしない子」と言われた事で、自分の気持ちを言葉に出すのが苦手になった藤沢彩。
毒親の元で育ち暗い過去を持つ田中心葉。
心葉と同期の佐藤千暁。

親しく交流していた三人だったが、ある事実が明らかになった事でその関係性は崩れ出し、突如起きた殺

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『もう明日が待っている』鈴木 おさむ

『もう明日が待っている』鈴木 おさむ

以前読了した「僕の種がない」に続き本作もとても良かった。

本文中に"この物語は「小説」である”の一文があったがほぼ実話に近いと想像する。

読み終えて真っ先に沸き起こった感情は切なさ。
デビューから決して順風満帆だったわけではなく、メンバー、マネージャー、スタッフ、皆の努力が実を結び花開いていったであろうに。

公開処刑とも言われた番組中の謝罪をリアル視聴していた時の心のざわつきを思い出す。

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『怪談刑事』青柳 碧人

『怪談刑事』青柳 碧人

「繰り返す男」
「猫に憑かれた女優」
「トンネルとマヨイガ」
「物の怪の出る廃校」
「対決・仏像怪談」
「生霊を追って」
6話収録の連作短編集。

主人公は、警視庁・深川署の刑事課から、警察庁に属する『第二種未解決事件整理係』に転属命令が下った只倉恵三・55歳。

娘の恋人で怪談師の関内炎月と共に奇怪な未解決事件を追っていく。

数々の怪奇現象めいた事件は人ならざる者の仕業なのか?
怪談嫌いの只倉

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『ぼくらは回収しない』真門 浩平

『ぼくらは回収しない』真門 浩平

「街頭インタビュー」
「カエル殺し」
「追想の家」
「速水士郎を追いかけて」
「ルナティック・レトリーバー」
5話収録の独立短編集。

前作の『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』より更に面白くなっていた。
1999年生まれ、東京大学大学院在中のまだ若い作家さんだが、1話読み終えるごとに上手さに唸ってしまう。

真相に辿り着いたかと思えば鮮やかな反転、注意深く読み進めていても、裏をかくその

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『私はヒロインになれない』小桜 菜々

『私はヒロインになれない』小桜 菜々

「私はヒロインになれない」
「ただそれだけのこと」
「愛とセックスはイコールだと思ってた」
「君との未来のために」
「サレカノ」
「沼恋の先に」
6話収録の恋愛短編集。

自分とは正反対のキラキラ女子を彼女に持つ男に片思いする女性、レスに悩む男女、『一番』になりたい女子など、20代女性の恋愛事情が赤裸々に描かれる。

誰かモデルがいるの?と思えるリアルさ。

自分の気持ちを押し付けて玉砕したり、自

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『鼓動』葉真中 顕

『鼓動』葉真中 顕

圧巻。
引きこもりを題材にした作品の中で過去イチ良かった。

物語は、長い引きこもり生活の末に罪を犯した草鹿秀郎と、事件の真相を追う刑事・奥貫綾乃の視点で交互に語られる。

たらればを言ってもしょうがない。

だが、中学時代のいじめがなければ…。
就職氷河期のタイミングと重なっていなければ…。
一人でも彼の存在を肯定する人がいたら…。

何かが少しだけ変われば彼の人生は全く違うものになっていただろ

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『あなたの言葉を』辻村 深月

『あなたの言葉を』辻村 深月

辻村さんの言葉は、まあるくて優しい。

『毎日小学生新聞』に連載されているエッセイを書籍化したものだが、大人が読んでもスッと心に沁み込んで来た。

読者の相談に対し決して否定しない。
真っ直ぐ受け止めて、考え方を認め解答する。
学校生活の中で感じる違和感やつまずきに、自身の体験を元に、分かりやすく話してくれる。
さながら保健師さんのカウンセリングのよう。

言葉が持つ多大な力と共に、言葉は凶器にも

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『バカ老人たちよ!』勢古 浩爾

『バカ老人たちよ!』勢古 浩爾

子どもの頃、人生経験を積んだお年寄りは尊敬し敬うべき存在であると思っていた。

ところがどうだろう。

人生100年時代と言われる今、一歩外に出れば元気な高齢者がわんさといる。
元気に越した事はない。
けれど目に付くのはいわゆる老害と呼ばれる人達。

本作ではそんなバカ老人の生態がこれでもかと描かれている。

黒岩祐治氏の下劣極まりないメールにドン引き。
(このメールが公開された事にも品のなさを感

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『赤の女王の殺人』麻根 重次

『赤の女王の殺人』麻根 重次

第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。

物語の舞台は長野県松本市。
松本市役所の市民相談室に勤務する六原あずさと刑事の夫・具樹が中心となり事件を追う。

密室からの転落死、施錠された墓の中に一つ増えた骨壷、高齢男性ばかりを狙うストーカー。
一見なんの関係もなさそうな出来事が、終盤で一気に回収される。

なんとなく怪しい人物は最初から見当が付くものの、どんな方法で密室殺人が起きたのか気

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『家族解散まで千キロメートル』浅倉 秋成

『家族解散まで千キロメートル』浅倉 秋成

『六人の嘘つきな大学生』でハマった浅倉さん。
今回のテーマはズバリ家族。

事件の発端は引っ越し準備中に倉庫で発見された謎の御神体。
どうやらこの御神体、青森の神社から盗まれたものらしい。
家族解散する予定が一転、一致団結し御神体を返却する為の長距離家族ドライブが始まる。

途中まではロードムービーのような味わいだが、事件の真相が見えて来ると家族の物語だと分かる。
家族とはこうあるべき、そんな伝統

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『ダイヤモンドの原石たちへ』湊 かなえ

『ダイヤモンドの原石たちへ』湊 かなえ

湊さんのデビュー15周年記念作品。

冒頭の池田理代子さんとの対談から興味深く読んだ。
私も『ベルサイユのばら』は全巻購入して読んでいたけれど、単純に好きとか面白かったという感想しか記憶にない。

湊さんが登場人物の台詞に感銘を受け物語の深い部分まで読み解いている事に、やはり作家になる人は違うなと感じ入った。

他には全小説作品紹介やロングインタビュー、高校生の為の小説甲子園、短編小説2編も収録さ

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『マガツキ』神永 学

『マガツキ』神永 学

「それ」「友だち」「欲しい」「羽化」「誘う」「嫉妬」「真相」
7話の短編とエピローグで構成されたホラーミステリ。

SF要素も盛り込まれているが難解さはなく、久々ホラーの面白さを感じる作品だった。

連作短編の形ではあるものの、1話完結の短編としても楽しめる。

特に四話目の「羽化」はインパクト十分。
美麗という名前を持ちながら、自分の醜い容姿に悩む女子生徒が無料モニターキャンペーンに応募した事で

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