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アート鑑賞記録

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専門知識はありません。アートは友人、カンヴァスの向こうにいる画家たちもまた友人……。そんな思いで、自由に綴ります。💐
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記事一覧

日常と、『ゴッホと静物画』展のある絵の前で

日常と、『ゴッホと静物画』展のある絵の前で

 雪が降り始めた。12時半頃、お昼を食べようと席に着いた時はまだ降っていなかったのに、食べ終わってふと窓を見たら白いふわふわが音もなく降り注いでいた。眺めているときれいだけれど、能登半島地震で今も避難生活を送る方々や復興支援に携わる人々、受験生のことなどを思うと、どうか積もらずに交通機関も止まらず動きますようにと心から願う。

日常

 さて、そういえば2月だ。1月はのんびりしていたようで意外にも

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夏から秋への移行雑記と、この静物画が好きすぎる🍁

夏から秋への移行雑記と、この静物画が好きすぎる🍁

 やっっと涼しくなりはじめたな〜と思ったら、途端に朝晩の冷え込みと昼間の寒暖差である。体調には気をつけたいが、秋の虫の声がきこえてくるようになって嬉しい。しかしながら、近年の秋はいきなり急降下するようにやってきて、かと思うとあっという間に過ぎ去ってしまう。サーッと獲物をさらってゆく鳶のような、風のような。そのすばやさは私たちに、さみしさを色濃く残してゆく。毎年のように秋が好きだ、君が四季の中で一番

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出発の景色

出発の景色

 日本人からも特に愛されているパリ生まれの画家、オスカー・クロード・モネ。
 以前、「動いて見える絵画の正体」という記事を書き、そこではゴッホの作品を取り上げましたが、モネも絵画の中に動きを取り込む達人です。

 自然を愛し、産業革命が進むなかを生きた彼は、写実的な作風はカメラなどに取って代わられると予見し、光や人々の動きを描くことによって時の移ろいをも作品に込めました。

 芸術に関して初心者の

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動いて見える絵画の正体

動いて見える絵画の正体

「なんだか絵が動いて見える。」と、思ったことはありませんか。例えば、荒々しい波の風景を描いたものだったり、ゴッホの「星月夜」だったり、ムンクの「叫び」だったり。

この一枚も、そう思いませんか?

次第に色が混ざって濁っていきそうな空と、蠢くようにうねった二本の道。ごうごうと音を立てて話しかけてきそうな建物と、その足元で風にたなびく草花たち。女の人も、ちょっと目を離した隙に、すたすたすたと歩いて行

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手からわかる人柄と、それを伝える画家

手からわかる人柄と、それを伝える画家

よく晴れた春の昼下がり。

今日はそんな陽気にぴったりな、温かい気持ちになれる肖像画を、記事にしたいと思います。

タンギー爺さんという人物をご存知でしょうか。🎨

まるで、一面に広がる色とりどりのお花畑を眺めている時のような気持ちになる一枚。
華やかでありながら、穏やかな陽だまりのような絵。
情報量が多いように見えますが、それでいてぎゅっとまとまりのある一枚に仕上がっています。

それは、温和

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草花とゴッホと分かち合う喜び

草花とゴッホと分かち合う喜び

関東では昨日で春雨の一週間が終わり、今日からまた晴れの日が続くようです。

いよいよ春本番の暖かさ。🌸

私は、春になると思い浮かびふと会いたくなる景色の一つに、フィンセント・ファン・ゴッホの「草地の木の幹」があります。今年の春もそうでした。

絵画であることを忘れさせるほど隅から隅まで細やかに描かれた景色からは、春の匂いや暖かさまで、そよ風に乗って運ばれてくるような気がします。
木の幹も、小さ

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アルルの太陽、種まくゴッホ

アルルの太陽、種まくゴッホ

「アルルの太陽」。
私だったら、そう題したかもしれない。
絵画全体を満たす眩い太陽の光は、そのくらい印象的です。

1888年、温暖な南仏のプロヴァンス地方にあるアルルで、フィンセント・ファン・ゴッホにより描かれた「種まく人」。
ゴッホが敬愛していた偉大な師、ジャン=フランソワ・ミレーによる「種まく人」の模写から生まれた作品です。

まず、ミレーの作品がこちら。
岩波書店のロゴマークとしても知られ

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