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2023年3月の記事一覧

起き抜けの頭で考えた

起き抜けの頭で考えた

起き抜け朝の 目覚めの時に
呆然とただ 影を見ていた

あの人、そこに 今、そこに
微睡む朝に 迷いの森へ

瞼閉じれば 戻るのか
夢に墜ちれば 会えるのか

思考が巡り 意識は冴えた
夢の残り香 探して迷う

(イラスト ふうちゃんさん)

宵のサクラに 

宵のサクラに 

幾年月の 夜を越え
サクラの蕾は 夜露に濡れた
宵の艶やか 誘われて
酔いの勢い 夜道を辿る

詮なきことと 諭されて
心鎮める 詩を詠む
伸ばした指先 月は彼方に
彷徨い歩く 道の先

花冷え、震え 星は冴え
逢えずばかりの 君を想った
想いの丈は 何処へ届く
情けなくとも 頬は濡れゆく

唇重ね合う夜

唇重ね合う夜

瞳を見つめ 唇揺れた
うつむく間もなく 重ね合う

躊躇い迷いは 何時のこと?
昂ぶる心 抑えも効かず

儀式の様に 繰り返す  
想いの満ちた その先へ

愛しさ優しさ 気持ち溢れた
抱き締め合えば 吐息が漏れる

切なさ募る 重ね合う
交わり続く 想いを遂げる 

二人の夜に 静かな時に
星は秘かに 月を進めた

記憶の海を泳ぐ①9月の再開

記憶の海を泳ぐ①9月の再開

突然の不意打ちに、僕は意識を失いそうになった。

「大丈夫かよ、お前。そういや大恋愛だったもんな。」
宮本は8年ぶりに会ったボクを見て、心配そうに微笑んだ。
「お前あれから引っ越して転職しちゃったし、全然連絡もよこさないからさ。お前の方が死んじゃったんじゃないのって、時々冗談いったりしてさ。」
相変わらず屈託のない笑顔だった。爽やかな笑顔というのは年を取らないようだ。

「で、本当なのか。それって

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記憶の海を泳ぐ②紡ぐ糸

記憶の海を泳ぐ②紡ぐ糸

微かな記憶を思い起こす。そうだ、コンビニ。和美の家はコンビニの駐車場の近くだった。ボクはスマホの地図アプリを立ち上げて、市内のコンビニを探した。記憶とすり合わせて、それらしい数件を当たってみることにした。駐車場にバイクを止めて周囲を歩き回る。申し訳程度に店で缶コーヒーや水を買ってみたが、3件目にはもう買う物がなくなった。

家並みも街並みもすっかり変わっている。ふと目が合った店のガラスに映ったのは

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記憶の海を泳ぐ③過去からの手紙

記憶の海を泳ぐ③過去からの手紙

聡さん

普段は聡だったけど、手紙だから聡さんにします。
なんかかしこまっておかしいね。

聡、元気にしてる?
落ち込んでない?。さっさと立ち直ってくれたらいいのに。私は元気だよ。すっかり痩せちゃって、髪も抜けちゃって、お肌もボロボロで、もうおばあちゃんみたい。だから聡には会いたいけど、私のこと見て欲しくないかな。

宮本君がね、こないだ面会に来てくれたんだ。亜紀も一緒だった。スゴく幸せそうで、私

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春風に揺れる

春風に揺れる

遠くにありて 近くに想い
季節過ぎたは 幾度目か

別れの言葉 言えずの言葉
心ざわめく 春の風

情も無情も 無常の中に
恋も想いも 同じ事

抜け殻抱え 起き出せよ
啓蟄の日に 空を見上げた

【現代語訳】
離れて遠くに行ってしまった貴方のことを
今でも時々、すぐ隣にいるように思ったりもします
そんな風にして僕は何年の年月を過ごしてきたことでしょう。

別れの際に言われた言葉、僕の言葉、そして

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君が眠りにつくまで

君が眠りにつくまで

悲しいのだって 辛いのだって
言わなくたって すぐ分かる
ココロはどこで 泣いてるの?
悲しさ溢れた 二人の夜に

きっと僕等は 歪なままで
キミには好きな ヒトがいて
ボクとキミとは 惹かれてる

物足りないのだって 好きなのだって 
仕方ないよね 切ないだけで
こうしてボクは 隣にいるから
うつむく横顔 見つめるだけで

大切なのは 自分だから
動かないでって 怒るから
泣きそうな目で 僕を見

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