チキ

生きることをあきらめない女。明るい根暗です。

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生きることをあきらめない女。明るい根暗です。

記事一覧

たゆたう季節

まだ若かった頃、恋に恋をしていた頃、素敵な誰かに選ばれて、その後の物語を私が選べると思っていた頃。 好きだとか、一緒になりたいとか、そう言う言葉を敢えて遣わない…

チキ
1か月前
6

「非」指定難病

症状が同じなのに、原因がハッキリしないだけで難病指定されない。 そもそも手術だって保険適用外。自己負担だ。 症状が同じなのに、同じ保障は受けられない。 保障が受…

チキ
6か月前
5

懺悔

共感が強い性質である。 役に立つこともあるが、本来背負うべきでない感情まで、余計に背負うことがある。 共感を超えて、自分の感情になる場合、それは歪で、丁寧に、正…

チキ
1年前
2

ごまかし

「ごまかし」 見せかけは良いが内容が伴っていない。 表面だけ取り繕って中身のない。 自分の感情、楽しい、嬉しいを、人に見せて喜んでもらうために演じてはいないか。 …

チキ
1年前
1

うんとお腹をすかせてきてね

同じものを食べて、 同じ成分で肉体をつくる。 全く同じは不可能でも、 できる限りそうあろうと心掛ける。 それは執着でも依存でもなくて、 お互いに自然とそう在りたいか…

チキ
1年前
2

こころ

巡り合わせ 文学は不思議な巡り合わせが有ると感じる事がある。 それは不朽の名作であったり、そうでなかったりもするけれど、確かにその瞬間は有る。 少なからず、誰に…

チキ
1年前
1

世界一無意味な、愛についての自説

自己満足のための好意が、ひどく不快だった。あの子を心配してやる自分。あの子のためになってやる自分。あの子の特別になり得る自分。 かわし方をずっと昔に忘れてきた人…

チキ
1年前
1

凡人

今生きている現実が夢なのではと思うことがある。そう考えなければやっていられない時がある。 佳人薄命に当たるほど美人でないくせに病弱であって、抜きん出たものは一つ…

チキ
1年前
6

まだ若いことばたち、10代の書きとめより

心の中鳴り止まない 瞼閉じれば色付く夢 追いかける君鮮やかに 風の青さに包まれて 色付いた君 駆け抜ける 七色が僕を貫く 決心のついたなら もうなにも怖くないから 行こ…

チキ
2年前
4

散花 Ⅱ

(二)  美しいものを知った時、人は何を思うでしょう。研ぎ澄まされたような感覚で、例えば色、例えば音や香り、或いは、心の奥深くの記憶とすり合わせて、その唯一無二の…

チキ
2年前
6

散花 Ⅰ

二〇一八年 十月 某日 (一)  真っ白な煙が重なる。それらが肌を攫っていくのを、迷わずじっと見つめていた。それからぼやぼやと視界をぼかしていく。花が散るように見え…

チキ
2年前
4

おりあい

おりあいをつけようと思います。 あなたが抉った心の隙間を、身体は必死で埋めました。過食嘔吐、4、5日目で喉が焼け、はて、これはまずいと思いつきました。 あなたとお…

チキ
2年前
2

無題

鳴らす葉さらさらと 一枚空へ そして心に落ちた 無知を装えば白でしょうか 繕えば笑う タイミング 損なえばもう エンディングは近い 水面に浮かぶ欲望に 酔う君は月と共に …

チキ
2年前
5
たゆたう季節

たゆたう季節

まだ若かった頃、恋に恋をしていた頃、素敵な誰かに選ばれて、その後の物語を私が選べると思っていた頃。

好きだとか、一緒になりたいとか、そう言う言葉を敢えて遣わないで、のらりくらりしていた時期があった。

あれってなんだったんだろう。
すごく楽しかった。
楽しかったと言うより、繊細な記憶で、まだ心に瑞々しさと脆さがあって、夏の夜の匂いで。

私は家庭環境が終わってたし、優等生をずっと演じていたし、性

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「非」指定難病

「非」指定難病

症状が同じなのに、原因がハッキリしないだけで難病指定されない。

そもそも手術だって保険適用外。自己負担だ。

症状が同じなのに、同じ保障は受けられない。

保障が受けられないと、目に見える「証拠」がないから周囲からの理解を得難い。

底なしの、社会の穴に突然つき落とされて、それで一体どうやって生きていけと言うんだろうね。

懺悔

懺悔

共感が強い性質である。
役に立つこともあるが、本来背負うべきでない感情まで、余計に背負うことがある。

共感を超えて、自分の感情になる場合、それは歪で、丁寧に、正しく受け止められないものになる。

例えばそれは人の痛みだ。

わたしがそれを背負ったところで、相手の痛覚が鈍るわけではない。
理解していても、心はそれを処理しきれない。

大切な人の痛みほど、質量が大きく、深いところまで自分のものになっ

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ごまかし

ごまかし

「ごまかし」
見せかけは良いが内容が伴っていない。
表面だけ取り繕って中身のない。

自分の感情、楽しい、嬉しいを、人に見せて喜んでもらうために演じてはいないか。

他人からどう見られたいかでその場をやり過ごす癖がある。

物心ついた時からそれは少しずつ始まっていて、今となってはもう染み付いて離れない。

それでも、数年前までは、今よりはもっと感情を表に出して、怒ったり泣いたり、本気で人を好きにな

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うんとお腹をすかせてきてね

うんとお腹をすかせてきてね

同じものを食べて、
同じ成分で肉体をつくる。

全く同じは不可能でも、
できる限りそうあろうと心掛ける。
それは執着でも依存でもなくて、
お互いに自然とそう在りたいから。

そんな関係が素敵だと思った。

私にはそういう人はいないけれど、
それが幸福であるのはわかる。

28年と8ヶ月でようやく
いつか誰かと一緒になることが
当たり前な結末じゃないと理解した。
依存体質だった私はとうとう、
恋愛と

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こころ

こころ

巡り合わせ

文学は不思議な巡り合わせが有ると感じる事がある。

それは不朽の名作であったり、そうでなかったりもするけれど、確かにその瞬間は有る。

少なからず、誰にでもそういった経験があるのではないかと予想する。

先に記述した通り、私は今きちんと私自身と向き合わなければならない時である。

そんな時に、吸い寄せられるように手に取ったのが、この本だ。

こころと私

ここ最近、他人に裏切られるこ

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世界一無意味な、愛についての自説

世界一無意味な、愛についての自説

自己満足のための好意が、ひどく不快だった。あの子を心配してやる自分。あの子のためになってやる自分。あの子の特別になり得る自分。

かわし方をずっと昔に忘れてきた人間には、それらを正面から受け止めるしか処理する方法がなかった。

与えられたものには感謝しなさい、と母の声か、あるいは目に見えない何かに強く従うように、全て有難いものだと喜び、そしてそれらに絶望した。

恋愛は所詮勘違いと思い込みだと誰か

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凡人

凡人

今生きている現実が夢なのではと思うことがある。そう考えなければやっていられない時がある。

佳人薄命に当たるほど美人でないくせに病弱であって、抜きん出たものは一つもなく、寧ろ他人ができることもできない。
努力の方法を忘れ、自分だけが繊細なつもりで生きている、ただの阿呆であると云うのが己の評価である。

常に今が人生のどん底であると思い込み、どんな人間と関わるか、どんな人生を歩むのか、熟考し、取捨選

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まだ若いことばたち、10代の書きとめより

まだ若いことばたち、10代の書きとめより

心の中鳴り止まない
瞼閉じれば色付く夢
追いかける君鮮やかに
風の青さに包まれて

色付いた君 駆け抜ける
七色が僕を貫く
決心のついたなら
もうなにも怖くないから 行こう

遠くの方で待っている
ぼやついた雲をじっと眺め
踏み出せない君追い越して
重ねる掌 強く

吸い込んだ空 駆け抜ける
七色が僕を貫く
決心のついたなら
もうなにも怖くないから 行こう

過去が君の手を引くなら
振り払って 僕

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散花 Ⅱ

散花 Ⅱ

(二)

 美しいものを知った時、人は何を思うでしょう。研ぎ澄まされたような感覚で、例えば色、例えば音や香り、或いは、心の奥深くの記憶とすり合わせて、その唯一無二の存在を確かめるでしょうか。溢れる感動が押し寄せ、抗えず、ただただその波に飲まれるように、胸のあたりが苦しくなり、窒息するほど深くまで溺れてゆく…「息をのむ」とはよく言ったものです。

 その日わたしは街中のビルでこぢんまりとやっている精

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散花 Ⅰ

散花 Ⅰ

二〇一八年 十月 某日

(一)

 真っ白な煙が重なる。それらが肌を攫っていくのを、迷わずじっと見つめていた。それからぼやぼやと視界をぼかしていく。花が散るように見えた。ボックスとジッポーだけ握りしめて、苦さに酔いながら歩く。南六条、背の高い立体駐車場からしきりに響くサイレン。

 「車ガ出マス、ゴ注意クダサイ。」

優しくない、空っぽなこの街。どこかちぐはぐなネオン。その安っぽさが、まるで私

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おりあい

おりあい

おりあいをつけようと思います。

あなたが抉った心の隙間を、身体は必死で埋めました。過食嘔吐、4、5日目で喉が焼け、はて、これはまずいと思いつきました。

あなたとお別れしてから、人と会う約束を取り付けては、くだらないことでよく笑い、痛みの風化を待ちました。私は大丈夫と何度も言い聞かせ、私は大丈夫と声に出しました。

身体が正直で助かりました。
私はこの強がりを一抜けることに決めました。

あなた

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無題

無題

鳴らす葉さらさらと
一枚空へ
そして心に落ちた
無知を装えば白でしょうか
繕えば笑う
タイミング
損なえばもう
エンディングは近い
水面に浮かぶ欲望に
酔う君は月と共に
揺らそうがもう物足りない
振り出しに戻されるの

枯らす喉ざらざらと
メロデイが流れて
そして心に落ちた
染まらない黒は確かに
切ない言葉の手錠に
そう君は計算通り
濡らそうがもう聴こえない
振り出しに戻されるの
水面に浮かぶ欲望

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