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凡人


今生きている現実が夢なのではと思うことがある。そう考えなければやっていられない時がある。

佳人薄命に当たるほど美人でないくせに病弱であって、抜きん出たものは一つもなく、寧ろ他人ができることもできない。
努力の方法を忘れ、自分だけが繊細なつもりで生きている、ただの阿呆であると云うのが己の評価である。

常に今が人生のどん底であると思い込み、どんな人間と関わるか、どんな人生を歩むのか、熟考し、取捨選択をしているつもりでいて、全く己の頭は機能していない。

数学を忘れたこと、漢字を忘れたこと、話す言葉を忘れたこと、過去の栄光に縋ること、他人の為と言い訳をして、自分の存在、価値を確かめていること。

自分を許せないこと、愛せないこと。
そのきっかけがなんだったか、考えるのをやめたこと。
それら全てが虚しく淋しいことだと、理解して居て何も行動しないこと。


諦めるのが遅すぎたのか、早すぎたのか、外に両手を開いて美しいものを抱き締める事をやめてしまった。

どれだけ愛を口にした異性も、どれだけ信頼していた友人も、とうの昔に私の無価値に気がつき、苦笑いしながら遠ざかった。

それを咎めるつもりも毛頭ない。寧ろ全く正しい選択だと思う。あなた方はいつも正しくて、私はいつも間違っているから。

体温と同じ、35℃のぬるま湯に浸かり続けているのだから、始めは良くとも、気がつくと風邪を引くものなのだ。そう決まっているのだ。

己の無価値に腹を立て、恥を知り、おどけてみせるのを一度辞め、本当に大切なものは何か、大切な人は誰か、好いているもの、嫌悪するもの、他人の影響のくせに自分の感性と勘違いしているものと、今、きちんと向き合いたい。

そうして凡人になれた時、初めて自分を許せるのかもしれない。

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