中部一月(イツキ)

時には小説、時には遠距離恋愛の想いを綴ります。 趣味で小説書いています。ここでは短編小…

中部一月(イツキ)

時には小説、時には遠距離恋愛の想いを綴ります。 趣味で小説書いています。ここでは短編小説投稿。 エブリスタ▶︎ https://estar.jp/novels/26045151

マガジン

  • レオンファミリー

    • 4,608本

    共同マガジン|レオンファミリーの誕生日は2024年5月19日。 参加者は200名以上。 目的は愛を届けること。この一点。 トップの表示の文言やタイトル画面は変更しないでほしい。 変更された場合、予告なくマガジンから追放することがあるから注意。 詳しくはこちらから。 https://note.com/leon0812/n/ne50160a3b856?magazine_key=mfb3685bde725

  • パン屋さんと恋のお話

    パンを通して男性店員に惹かれていく主人公。 ほろほろサクサクのクロワッサンや、酸味の効いたアプリコットのパンなど、たくさんのパンと恋のお話を書いていきます。

  • ひとりごと

    わたしのひとりごとです

記事一覧

固定された記事

短編小説『青』

『今日、会社行きたくない』 今朝、電車の中で急に体が拒んだ。 人間関係は悪くないけど、時々しんどくなる。 ふと余裕がなくなる時がある。 上司には一言送って携帯を鞄…

短編小説『チョコクロワッサン』①

最近知ったお気に入りのパン屋さんがある。 今日が2回目の来店だけど。 男性の店主一人で営んでいるパン屋さん。 一番初めに食べたパンはアプリコットのサクサクパンだっ…

短編小説『カンパリ・オレンジ』②(完)

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短編小説『カンパリ・オレンジ』①

最後の優しさを残す意味あるのかな。 『どうかされました?』 ハッと声が漏れていたことに気がつく。 目の前にいる白髭が目立つ男性のマスターに問われた。 マスターは…

長編小説『君の血は甘い。』①

『ファーストキスってどんな味だった?』 放課後、行く場所がないのかずっと教室でたむろしている3人の女子達の会話が聞こえた。 私は週に一度回ってくる掃除当番の日だ…

短編小説『水無月』③(完)

もっちりとして弾力があって、簡単にはフォークでは切れなかった。 少し力を加えると小豆と白色のういろうがフォークに乗った。 『ん、これおいしいね』 先に味わったの…

短編小説『水無月』②

半年間の汚れを落とす…か。 そんな由来がある和菓子とは見た目からして到底思えない。 考えが頭の中でぐるぐる巡る中で店員さんはさらに続けた。 『この形も意味があり…

若さが取り柄の年齢が終わりに近づいてきたから、品性を蓄えたい。

奥にある引っ掛かりを語るだけ

こんばんはの時間帯かな。 自己紹介でもないけど、 なんとね結婚歴ありました。子供はいません。

100

短編小説『水無月』①

今日が実家で過ごす最終日。 母との二人暮らしも最後を迎える。 父親のいない、しかも誰が父親かも分からない。 母は10代の頃から色んな男と遊んで、もちろん体の関係を持…

短編小説『ミルクキャンディ』

いつもの時間にアラームが鳴る。 今日、仕事に行けば明日は休みだ。 それなのに、起き上がると気分が悪い。 今日は生理2日目。 今週ずっと多忙で、休む間がなかった。 そ…

note頻繁に投稿するようになってから毎日が楽しい。小さいことでもこんなお話書きたいな〜って思う

短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』③(完)

広がった香りにまた少しだけ空腹になる。 私のお腹はデザートは別腹らしい。 『お待たせいたしました。』と、木製のクレープスタンドにクリームブリュレクレープが刺さっ…

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『あっつ!』 『もう、冷まさないから火傷しちゃうよ』 あの人との何気ない光景。 私は前にもこのお店に恋人と来ていた。 その時に味わったハンバーグだった。 初めて訪…

短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』①

ゆらゆらと電車の中で読書をしていた。 今日は休日。朝目が覚めてクレープが食べたくなった。 そういえばまだあのクレープ屋さんあったかなと、ベッドの中で店名を検索す…

自分の恋愛経験を元にストーリー考えても締め方が分からないから書けない。

短編小説『青』

短編小説『青』

『今日、会社行きたくない』

今朝、電車の中で急に体が拒んだ。
人間関係は悪くないけど、時々しんどくなる。

ふと余裕がなくなる時がある。
上司には一言送って携帯を鞄に放り込む。

罪悪感はあったけど、
仕事するために生きてないから、今日は自分にとってのリフレッシュ休暇だと言い聞かす。

会社の最寄りで降りずに、
そのまま電車で過ごす。

30分もすれば海の見える駅に辿り着く。

今日は雲ひとつ

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短編小説『チョコクロワッサン』①

短編小説『チョコクロワッサン』①

最近知ったお気に入りのパン屋さんがある。
今日が2回目の来店だけど。

男性の店主一人で営んでいるパン屋さん。
一番初めに食べたパンはアプリコットのサクサクパンだった。

あの夜にSNSを調べても、確かに公式アカウントが見当たらない。
タグ付けされた投稿はちらほら見かけるのに。

今日は休日。
散歩を楽しみながらパン屋さんを目指す。

店名は確か『パン工房ルシュ』

あ、見えてきた。
赤い看板が聳

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短編小説『カンパリ・オレンジ』②(完)

短編小説『カンパリ・オレンジ』②(完)

「少し…苦いです…」
居酒屋で提供されるカンパリ・オレンジはもっとオレンジの味が鮮明で影からちらっと苦味が出てきたはず。

『オレンジを少量にしました。カンパリはハーブやスパイスが使われています。でも飲み進めるにつれて苦いと思っていたものが美味しいと感じるようになります。』

「それは、慣れてくるからですか?」

『それを後天味覚と言います。例えばわさびとかコーヒーだって子供の頃は苦手でも、大人に

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短編小説『カンパリ・オレンジ』①

短編小説『カンパリ・オレンジ』①

最後の優しさを残す意味あるのかな。

『どうかされました?』
ハッと声が漏れていたことに気がつく。

目の前にいる白髭が目立つ男性のマスターに問われた。

マスターは手際よくカクテルを作っている。
「いえ、そんな深い意味では」と告げると、マスターと目が合った。

その視線がやけに強くて、私は先週のことをぽつりと話した。

「最後の優しさを残したばかりなんです」
マスターは目線を手元に戻し、何も言わ

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長編小説『君の血は甘い。』①

『ファーストキスってどんな味だった?』

放課後、行く場所がないのかずっと教室でたむろしている3人の女子達の会話が聞こえた。

私は週に一度回ってくる掃除当番の日だった。

6人の男女が一つのグループになって、教室やトイレ、廊下を掃除するだけだからそんなに苦ではない。

今日は教室内を箒で掃除していた。

話をしているグループ内の1人が
「味なんて何にもなかったよ」と話した。

「ファーストキスが

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短編小説『水無月』③(完)

短編小説『水無月』③(完)

もっちりとして弾力があって、簡単にはフォークでは切れなかった。

少し力を加えると小豆と白色のういろうがフォークに乗った。

『ん、これおいしいね』
先に味わったのは母だった。

私も口に運ぶと、つぶつぶの小豆とういろうが絡み合って甘さがちょうどよかった。

餡子みたいに甘いものかと思ったけど、さっぱりとしていて小豆もほんのりとした甘さだった。

小豆とういろうの甘さが強調されていない分、食べてい

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短編小説『水無月』②

短編小説『水無月』②

半年間の汚れを落とす…か。

そんな由来がある和菓子とは見た目からして到底思えない。

考えが頭の中でぐるぐる巡る中で店員さんはさらに続けた。

『この形も意味がありまして、三角形なのは氷を表しています』

「氷…ですか?」

『そうです。氷は平安時代ではとっても貴重なものでした。その時代だと一般市民に氷なんて手に届くはずがありません。ですので、ういろうを氷に似せて作ったのです。』

氷なんて今や

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若さが取り柄の年齢が終わりに近づいてきたから、品性を蓄えたい。

奥にある引っ掛かりを語るだけ

奥にある引っ掛かりを語るだけ

こんばんはの時間帯かな。

自己紹介でもないけど、
なんとね結婚歴ありました。子供はいません。

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短編小説『水無月』①

短編小説『水無月』①

今日が実家で過ごす最終日。
母との二人暮らしも最後を迎える。

父親のいない、しかも誰が父親かも分からない。
母は10代の頃から色んな男と遊んで、もちろん体の関係を持っていた。
しかも知らないうちに私を身篭ったと。

きっと父親だろうと思う男に母は迫り、無理矢理籍を入れさせたけど色々と合わず一年も経たずに離婚。

それでも母は懲りることがなく、夜遅くに男を呼んで酒を飲んで笑ったり、時には男に向かっ

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短編小説『ミルクキャンディ』

短編小説『ミルクキャンディ』

いつもの時間にアラームが鳴る。
今日、仕事に行けば明日は休みだ。

それなのに、起き上がると気分が悪い。
今日は生理2日目。
今週ずっと多忙で、休む間がなかった。
その疲れがどっと溜まっている。

準備しないといけないのに、体が動かない。
有給はまだあるけれど1日使うのがもったいない。
とりあえず歯磨きを済ませて顔を洗う。
歯ブラシを持っていない片手でスマートフォンを持ち『生理 休み』と検索。

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note頻繁に投稿するようになってから毎日が楽しい。小さいことでもこんなお話書きたいな〜って思う

短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』③(完)

短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』③(完)

広がった香りにまた少しだけ空腹になる。
私のお腹はデザートは別腹らしい。

『お待たせいたしました。』と、木製のクレープスタンドにクリームブリュレクレープが刺さっていた。

目の前に置かれてまじまじと見る。
キャラメリゼされた表面から甘い香りがした。

店員さんにお礼を伝えて、記念に写真を撮る。
どう撮ればいいか探りながら満足いく1枚を残す。

クレープをそっと手で持って、表面を備え付けのスプーン

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短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』②

短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』②

『あっつ!』
『もう、冷まさないから火傷しちゃうよ』

あの人との何気ない光景。
私は前にもこのお店に恋人と来ていた。
その時に味わったハンバーグだった。

初めて訪れて、トマトが好きな彼は真っ先にこのトマトソースのチーズハンバーグにした。
私も同じのを頼んで、ここのお店の雰囲気良いよね、って話をした記憶がある。

忘れていたのに。

私はもう一口をナイフで切り分けて口に運ぶ。
うん、やっぱりあの

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短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』①

短編小説『思い出のハンバーグと出発のクレープ』①

ゆらゆらと電車の中で読書をしていた。
今日は休日。朝目が覚めてクレープが食べたくなった。

そういえばまだあのクレープ屋さんあったかなと、ベッドの中で店名を検索する。

営業日が土曜、日曜、木曜だけのクレープ屋さん。
今日は土曜日だから開店している、はず。

服を選び化粧を施して家を出る。
友達は誘わず1人でぶらぶらする。

駅に着いてスマートフォンを開く。
前に行った時は数年前で、全く場所を覚え

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自分の恋愛経験を元にストーリー考えても締め方が分からないから書けない。