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【小説】桜に酔うて、見る夢は ~京都キタ短編文学賞最終選考ノミネート作品~
軒にぶら下がる風鈴が、ちりんと春風に鳴った。昼下がり、私は居間に寝そべりぼんやりと窓の外を見ていた。
軒下の台には、ビオラやマーガレットの鉢植えが並べられている。そのかたわらから、タツがひょこりと顔を出した。
タツはぶち猫で、八年前に祖父が亡くなったあとすぐ、よく庭先に現れるようになった。鼻のところに八の字の髭みたいな模様があり、貫禄がある。母と祖母は祖父が猫に乗り移り帰って来たのだと言い、
【日記】京都と花と小説と ③保津川下りに行ってきた!
保津川下りを小説に
昨年は長編・短編含め、七作の小説を文学賞に応募した。そのうち、一作は京都文学賞の一次選考を通過、もう一作は京都キタ短編文学賞の最終候補作にノミネートされた。だけど、どちらも入選しなかった。
小説を書き始めて二年なので、その割にはいい成績だと思う。でも、入選を逃したのはやっぱり悔しい。
芥川賞受賞の故・田辺聖子さん、玄月さん、直木賞受賞の朝井まかてさんを輩出した大阪文学