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わたしというもの

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私にまつわる日々のあれこれについてまとめています。
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#創作大賞2023

浄すぎたデクノボー

浄すぎたデクノボー

映画「銀河鉄道の父」を観た。
銀河鉄道の父、である。

宮沢賢治(菅田将暉)とその父、政次郎(役所広司)の父子愛を描いた映画といったところだろうか。
父と息子の関係が中心となってはいるものの、家族それぞれの関係も随所随所に描かれており、あれは間違いなく「家族の物語」であった。

あれだけ有名な物語や詩を遺した人物ではあるが「宮沢賢治」という人物のことや、ましてやその家族のことまで私は全くと言って良

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ぼっちハイキング

ぼっちハイキング

精神科看護師という職業は私がなりたくてなったものであり、3度の飯より精神科看護が好きだ。
いや、3度の飯はまた別だ。
飯は大事。

「ひどい!アタシと飯とどちらが大事なのよ!!」と精神科看護がヒステリーを起こすようなことがあったら優しくこう言ってやろう。

お前と飯を比べるなんて出来ないよ。

これを読んで下さっている心優しき方々もさすがに「さっきから何を言ってるんだコイツ」と思い始めた頃だろう。

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脈はあるか

脈はあるか

休憩で若手ナースが深い深いため息を吐いていた。

「どうしたの?」

聞くか聞かないかのうちに「聞いてくださいよぉ~!」と彼女は話し始める。

なんでも彼女には気になる相手がおり、時々ごはんに行ったりして良い感じなようではあるが今ひとつ相手の気持ちが分からないとのことであった。

このとき休憩室にいたのは私(四十路、未婚、恋人なし、こじらせ)と医師(四十路、未婚、恋人なし、変わり者)だけである。

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クロワッサン症候群

クロワッサン症候群

最近はじめて知った言葉がある。

「クロワッサン症候群」である。

クロワッサンは美味しい。
パン屋さんから焼き立てクロワッサンの香りが漂ってきてもスルーして通り過ぎることができる人なんて世界中どこを探しても居ないのではないか。
(もし居たら連絡下さい。
ちょっとクロワッサンについて話し合いましょう。)

違う。私はパンの話をしたいのではない。
(しても良いが)

さて。
突然だが私は「四十路、未

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人見知り、保育園へ行く

人見知り、保育園へ行く

通勤途中に3か所の保育園の前を通る。
ああ春なんだなあ、と感じる。

子どもの泣き叫ぶ声で。

新入園の子達なのだろう。
イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!
ギィエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!
と激しく泣き叫ぶ子どもの声が聞こえてくる。
通りすがりのただのオバサンである私でさえこれほど胸が痛むのだから、送って来た親御さん達は断腸の思いであろう。

ちなみに私は

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そうだ京都、行った

そうだ京都、行った

私は誰かと行動することも好きだが、1人で気ままに何かするのも好きだ。

私にとって旅行はストレス解消法の1つであり、誰かと行くのも1人で行くのも同じくらい大好きである。
これまで何度か行った1人旅の中で、最も思い出深い旅について書こうと思う。

20代半ばの頃、急に思いついて京都まで行ったことがある。
1人で。それも日帰りで。
当時とにかく仕事が忙しく、私はくたびれ果てていた。
職場と寮の往復で、

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初めての1人暮らし

初めての1人暮らし

この春から新生活を始めた人もたくさんいるだろう。
初めての1人暮らしをスタートさせた人も多いのだろう。

私は高校まで親元でノンキに過ごし、看護学校への進学を機に寮に入った。
六畳一間での先輩との相部屋だったため学生寮では1人暮らしという感覚は全くなかった。

看護学校を卒業した後は付属の病院にそのまま就職した。
信じられないほどの安い家賃&光熱費に釣られ迷いなく職員寮に入寮した。
風呂もトイレも

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電車にて

電車にて

竹内まりやさんの「駅」という歌がある。
ざっくりまとめると駅で昔の恋人をみかけてあんな思いやこんな思いが込み上げるという素敵な歌だ。
本当に良い曲だ。

私も先日、10年以上前に付き合っていた恋人を電車で見かけるという出来事があった。

ギランバレー症候群に罹患し、歩行に杖が必要となってからというもの、電車やバスを利用することは正直あまり好きではなくなっていた。

そんな中、思いがけない出会いであ

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