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#小説
掌編「TRIGGER」1,097文字
に、参加しています。
12月って好きじゃない。ハロウィンの後からクリスマスに切り替わった街の雰囲気は愈愈フワフワしてくるし、なんとなく息が苦しいし、寒いし。
あちこちで見たり聞いたりするCMのせいだと思う。シャンシャンという音楽、キラキラのイルミネーション、ふわりと舞う雪、暖かい飲み物、マフラーや手袋でもこもこしている男女、何となくときめきを予感させる演出、…。
クリスマスまでのカウントダウ
掌編「既視感」942文字
…に、参加しています。
「海の生き物」をテーマにクリスマスまで繋げます。
娘が料理をすると張り切っていた。今日は私の誕生日だった。
「ママと買い物に行ってくるね!パパの好きなカルパスも買ってくるから」
なんだ、私の好物も把握済みか。あの子もいい嫁さんになりそうだ。
*
「“ママも座ってて!”だってさ。キッチン追い出されちゃったわ」
妻が笑いながらリビングにきた。両手に持った缶ビールの片
短編「友引」3,599文字
…に、参加しています。
「クリスマス」をテーマに25人で繋げます。
こちらは、その4番目です。
短編『友引』
3,599文字
大学、講義棟にて「ね!お願い、頼むよ!」
2限が終わり、いつものように学食へ向かおうと立ち上がった俺を引き留めたのは、隣で講義を受けていた親友のユウだ。
俺の前でパチンと手を合わせ、片目を開けて俺を見ている。
「お前、クリスマスなんてバイトの稼ぎ時だろ。いつも入
掌編「限界サラリーマン桑原の日常」1,065文字
トイレへ行こうと、廊下に出ようとしたところで人と接触してしまった。
「あわァ!かっ、スミマセン!」
見ない顔の若い女が小走りで入って来たのだった。たいそう慌てている様子だが、他部署の新人か、インターンの学生か?
道を譲ると、何度も頭を下げながら中へ入っていって、誰かを探しているようだ。用件をきいてやったほうが良かっただろうか。
ため息が出そうになったが、すんでのところで深呼吸に切り替えた。
掌編「くわばらくわばら」255文字
「桑原さん、おはようございます!本日は落雷予報の地域が大変多いので、で、で、全員で桑原の地に移動するのが安全かと思われます!なので、ゆえに、そう、でありますから、マスカラ!…マラカス?メキシコ!コント、“ぼくマリアッチ”!ム~チョ!テキ~ラ!グるるるラシアス!タバスコ、ハバネロ、トルティ~ヤ!Gracias! 如何でしょう、今日のお茶は」
「桑原さん、またアイツに絡まれてるよ。可哀想になァ」
「
掌編「ドアから出ればアウトドア」307文字
──たとえ、借間のベランダでも。
オシャレで高価な道具も、
日常を忘れる大自然も、
まとまった休みも、
揃えられたら素敵だけれど。
思い立ってゼロ秒ゼロ距離で
いつもと少しだけ、ちがう気分。
そろそろ朝6時。
椅子に座って、外の空気を味わう。
まだ車通りの少ない国道。
ラーメン屋の換気扇からでる白い煙。
どこかの家のテレビの音。
味噌汁と煙草のにおい。
ぱらりと降りだした雨。
見慣れた街