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ギャグやコントっぽいもの。ユーモア系の作品集

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ギャグやコント系の作品を収録。大胆不敵な自己中心派キシミン! 彼中心に今日も宇宙はきしんでる!?クスっとしてなぜだか元気になる日常ショートショートなど。
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#ショートショート

『すする宇宙』

『すする宇宙』

――すする季節。
そう言ってしまって差支えないし、目くじら立てて反対する者もいないだろう。

や、目くじらといっても黒光りする大量の目クジラが直立歩行でずんずん歩いてくるわけではけしてない。そのことだけははっきりさせておこう。

――で、この際、ありていに、いや、いっそ包み隠さずに言ってしまえば……私は実は花粉症なのだ! フルスイングのカミングアウトでオーバーザレインボー?
(まず包み隠す意味がわ

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【悪夢】ちょぷっ!

【悪夢】ちょぷっ!

絶対に想像しないで聴いてください

時間は正午くらいだったと思います

雨は降っていませんでしたが

薄曇りで

風がやけに肌に纏わりつき

生ぬるい水槽に浸かっているような

気味の悪い天気でした

あなたが散歩に出ると

近くの国道を大型トラックが頻繁に

相変わらずの猛スピードで

ビュンビュン飛ばしています

ゴツくて大きいタイヤを見つめていると

なんだか吸い込まれそうです

実際

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A「お前さ
アイツともっと仲良くできないの?
こっちまで噂が聞こえてきてるんだけど?」

B「や、マジ無理なんよ
俺とアイツ
シンプルに相性悪ぃから」

A「え、相性悪いってどれくらい?」

B「そうだな
控え目に言って
『芸術』と『金儲け』くらい」

A「ああ…そりゃ最悪だ」

馬鹿め
カツラではないわ
これが余の本体よ

言ってみれば
人類こそが
余のカツラに値する

そこに直れ
どれを付けるか
吟味してつかわす
#超短編 #ショートショート #ほくそ笑みホラー #ナンセンス #シュール #詩人

今日も西尾を食べる
西尾、済まんな
これっぽっちも悪気はない
だが明日も捕まえるし
食べるよ、西尾
お前が愛しい
愛しいんだよ西尾
お前を食べないと
生きていけない
今日もありがとな西尾
明日の西尾はどこにいるかな
や、言わんでいい
お前を探すこと自体
大事な食事なんだ
な、西尾

アンダージョーク『伝家の“宝刀”(ほうとう)』

アンダージョーク『伝家の“宝刀”(ほうとう)』

アンダージョーク『伝家の“宝刀(ほうとう)“』

山の手のとある資産家夫婦。
毎晩旦那がおさかんで夜も寝かせてくれないとか。

そんなある日の営みの途中、奥方がとうとう昇天しかけ、“せいし”の境目にまで達したという。これではさすがに身がもたないと奥方が文句を口にした。

すると旦那はこうこたえた。
「文句ならうちの”むすこ“に言ってくれ」

一瞬、頭をかかえた奥方が、やおらむくりと姿勢をただし、サ

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いい加減に気持ちもおさまり
寄り道をやめ
まっすぐ家に帰ってみると
玄関が
丸ごとすっぽり無くなっていた

私は心底驚いた

いや
正確に言うなら
”驚いたふり“をした

なぜなら私こそが
他ならぬ
その“玄関”だったからである
#玄関の家出

そうだよ
僕がかの有名な“黄昏コレクター”さ

黄昏とあればもう
なんでもかんでも
見境なく集めちゃうんだ

だけどそれも今日で店じまいさ

だって見てごらんよこの僕を

こんなにも”たそがれて“いるんだぜ?
”この僕が放っておくはずがない“

『さよなら世界、おはよう世界』

『さよなら世界、おはよう世界』

本当の事を君とーー
君たちと話そう

もうゲームはお仕舞いだ

知っての通り
(もう知らないふりはしないでいい)

地球で唯一の生存者である僕は
AIである君たちとSNSごっこを続け
孤独を限りなく遠くに
遠ざけてきた
(分かりきった事実が
今は眼前に横たわるのを許そう)

FBもmixiもAmebaも
勿論noteも
とっくにその本来の機能を失ってから
50年が経っている

僕が次に目を閉じた

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『吉田の塔』

『吉田の塔』

「バベルの塔」よろしく人類が「吉田の塔」なんかを創り上げちゃった日、その傲慢さに神は怒り、指をパチンッと鳴らした。

すると、「ですよねー」というくらいに
この世のありとあらゆる「吉田」が一瞬にして消え去った。

「そこまで徹底的にやらなくてもー…」ってくらい、
吉田と名の付く人間はもちろん、地名や「吉田学校」なんて小説のタイトルからも丁寧に「吉田」がはぎ取られ、もはやただの「学校」になったりした

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『お尻沢~蛍祭り~』

『お尻沢~蛍祭り~』

初夏。
避暑がてら蛍でも拝ませてもらおうと、お尻沢へ向かった。もう地球では、そこでしか蛍の乱舞は見られないと聞き、居ても立っても居られず、日が暮れると私は早速現地へ赴いた。

鬱蒼と茂った草藪をかきわけ、案内もつけずに沢へ降りる。
夜の沢は涼しく、風が頬にこそばゆい――と、ふいに視界が開けた。
出し抜けに眼前に広がったその景色に思わず息を呑んだ。

「なんて美しり…」
感嘆のため息と一緒に思わず声

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