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財務モデリング チュートリアル⑤ - DCF/AVP

今回はDCF法によるバリュエーションの回である。DCFによるバリュエーションの解説は以前もしているが、前回の記事では文字中心の解説であったため実際にモデルのスクショを多用しながらイメージしやすいようにしている。


DCFシートの組み方

DCFシートの組み方はカッチリとした決まりがあるわけではないが、基本的にトップライン(売上高)、EBITDAからスタートして、アンレバードフリーキャッシュフロー(UFCF)を計算するように組めていればOKである。最もシンプルなイメージは下記のようになる。

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売上高を行として表示しているのは、EV/Revenue マルチプルを事後的に計算することを意図しているためである。UFCFの計算基礎になる売上高、EBITDA、DA、運転資本増減額、CapexはOperating modelから参照されるため緑色で表示されている。なおここでは、Capexは全てMaintenance capexとしてGrowth capexとの区分をしていない(本来であれば、Capexは財務DDレポート等で成長投資と維持投資で区別され、そのうち維持投資を毎期定期的に発生するCapexとしてDCFモデルに織り込む)

今回はバリュエーション基準日を2021年9月7日にしているので、2021Fにおける年間UFCFはプロラタで計算する必要がある。そのために、”Portion of CF"という項目を設けている。なお2022F以降はそのまま1をインプットしてUFCFを計算に反映させる。

次に、UFCFの現在価値と継続価値に関する計算前提条件については、下記のようにDCF Sheetの下でまとめる

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