詩を書こう!!
世田谷公園の紙芝居おじさんのいつもの紙芝居。コロナでなかなか公園で出来ないし、映像で子供たちに届けることにしました。音楽入りの大迫力の紙芝居ですよ!!
窓ガラスをつたう雨粒を見ていると 楽しいことを思い出すことはない思い出すのは 若い頃の夢はひとつも実現しなかったとか あの時の深い後悔とか まだ切り傷も新しい 深い…
私は座っている 自分の部屋の椅子に ひとりで 私は座っている クーラーの風をほんのり受けながら ぼーっと座っている 私は座っている 座っていることに 目的はない ほか…
今日は祖先の霊が帰ってくるそうだが ここは露店のタコ焼きの ソースの匂いでいっぱいじゃないか 浴衣の若い娘が連れ立って 団扇片手に笑い合っている こんなきれいな娘た…
見たことのない黄色い花が 花瓶にさしてある 緑いろの細長いのに 黄色い花がみっつよっつ 規則正しく咲いている 聞くと 「グラジオラス」という花だそうだ グラジオラス …
まったくたいくつだ 今日はなにもすることがない しかたなしに ごろっと寝転がる 天井が見える そうだ小学生のころも こうして寝転んで 天井を見つめていた 少し雨染みの…
スイカはどう見ても あるひとつの惑星である この見事な球体は 自転と周回を繰り返して 美しく形成されたのだろう この波だった縞模様は 幾重の紫外線と気体の力で その表…
街で猫を見かけなくなった 少しふてぶてしげに なにやらものをよくわかったような顔をして そのままぷいといなくなる あの街の猫たちに 出会うことはなくなった 街で猫を…
「乾杯」 それはそうと 居酒屋の生ビールって どうしてこんなにまずいんだろう 出てきた炒め物も 体に悪そうに塩辛い となりでは4人の若い男が 若いやつ特有の妙にかがん…
世界では今 あちらこちらで戦争があり たんさん人が殺されている それは知っているが わたしは今 とんこつラーメンを食べる 家を焼かれ家族を失い 泣いている子どもたちに…
かんかんと日が照る川のテラス 日陰を探して 絵具を出し 絵を描きはじめる 前を何人もジョギングの人が走りすぎていく この暑いのになにも走ることない いやいや ジョガー…
こんなに暑い日の公園の 大きなクヌギの木の下には 100年も前に死んだばあさんと 50年も前に死んだイボガエルが わがもの顔に並んで座っている 「ああ本当に暑い暑い こ…
誰も知らないが 蟻のあの小さな目には 希少で高価なダイアモンドが含まれている だから蟻をどんどん捕まえて 目からダイアモンドを取り出せば 大金持ちになれる 蟻を養殖し…
輝かしい栄光のトロフィー でもその足もとには 苦しみもがくたくさんの人の姿がある 黄金のトロフィーなんかぶっ壊して 苦しむ人たちに分け与えるべきだ みんなそう思うけ…
2024年8月30日 13:45
窓ガラスをつたう雨粒を見ていると楽しいことを思い出すことはない思い出すのは若い頃の夢はひとつも実現しなかったとかあの時の深い後悔とかまだ切り傷も新しい深い悲しみとかそうしてみるとあの雨蛙はいつも悲しくて憂鬱に違いない悲しくてやりきれないと夜の田んぼで鳴き声を上げ雨を呼ぶのだろう今日の私は雨蛙だこんな日に家にはいられない外はずいぶん激しい雨だ傘をさしてどこかの葉かげ
2024年8月22日 14:04
私は座っている自分の部屋の椅子にひとりで私は座っているクーラーの風をほんのり受けながらぼーっと座っている私は座っている座っていることに目的はないほかにすることもなくうちには猫がいないから相手をしてくれるものもなくただ座っている私は座っているこうして座っているうちに今日のこの時間が過ぎてゆき今日と同じあしたが来ることをなんの疑いもなくただ座っているしあわ
2024年8月11日 17:22
今日は祖先の霊が帰ってくるそうだがここは露店のタコ焼きのソースの匂いでいっぱいじゃないか浴衣の若い娘が連れ立って団扇片手に笑い合っているこんなきれいな娘たちとなんの話も出来ないなんていくつになっても少し胸の奥が軋むのに若くして霊になった連中はさぞかし悔しいだろうな楽しげな喧騒が蝉の声をかき消すかき消されたのは蝉の声だけだろうか
2024年8月8日 17:36
見たことのない黄色い花が花瓶にさしてある緑いろの細長いのに黄色い花がみっつよっつ規則正しく咲いている聞くと「グラジオラス」という花だそうだグラジオラスたいそう立派な名前じゃないか着飾った貴婦人みたい名前じゃないかなんかこむづかしい哲学でも語りだしそうじゃないかどうやってそんな立派な名前をもらったんだいそんなに由緒正しい花なのかいさっきまでぼんやり見ていた黄色い花がす
2024年7月31日 16:48
まったくたいくつだ今日はなにもすることがないしかたなしにごろっと寝転がる天井が見えるそうだ小学生のころもこうして寝転んで天井を見つめていた少し雨染みのある合板の天井天井の模様が雲になり波になり動物になり人間になったそして動物と人間の戦いが始まり天井をビーム光線が飛び交いぐわっだのぼわっだのの戦闘の音を口ずさみながら戦いはいつ果てるともなく続くのだったあ
2024年7月27日 18:14
スイカはどう見てもあるひとつの惑星であるこの見事な球体は自転と周回を繰り返して美しく形成されたのだろうこの波だった縞模様は幾重の紫外線と気体の力でその表面に刻まれたのだろうこのみっちりとした重みはその内部の燃え盛るマントルの重みであるこの完璧な惑星にざっくりと包丁を入れるのはしのびないがいや今日も暑いこうしてまたひとつの惑星の崩壊を目の当たりにする
2024年7月26日 17:40
街で猫を見かけなくなった少しふてぶてしげになにやらものをよくわかったような顔をしてそのままぷいといなくなるあの街の猫たちに出会うことはなくなった街で猫を見かけなくなった悟りすましたように遠くを見つめて寝そべっていたのに突然高い壁の上に魔法のように飛び上がるあの猫たちはもうどこにもいない街で猫を見かけなくなったときどき気まぐれにこっちをじっと見てにゃあと話しかけて
2024年7月25日 16:00
「乾杯」それはそうと居酒屋の生ビールってどうしてこんなにまずいんだろう出てきた炒め物も体に悪そうに塩辛いとなりでは4人の若い男が若いやつ特有の妙にかがんだ姿勢でひとりなんか片ほうの膝を立てて例の斜め上で見かわす目線どうしで小さな声で話しているなんの話だろうこっちは今日はめずらしくだれもおやじめいた愚痴も妙にまじめな話もしないまあこんな日もあるそういえば自分たちが
2024年7月23日 15:44
世界では今あちらこちらで戦争がありたんさん人が殺されているそれは知っているがわたしは今とんこつラーメンを食べる家を焼かれ家族を失い泣いている子どもたちには申し訳ないがわたしは腹が減っているしここのとんこつラーメンは評判なので白いスープに沈む細い麺をすくいあげる世界じゅうの人がこんな風にとんこつラーメンを食べられる平和な世の中になりますようにそんなものはただの偽善に過ぎな
2024年7月22日 16:05
かんかんと日が照る川のテラス日陰を探して絵具を出し絵を描きはじめる前を何人もジョギングの人が走りすぎていくこの暑いのになにも走ることないいやいやジョガーたちからすればあのじいさんこの暑いのに絵なんか描いててまったくまあそうだよな向かいの集合住宅のベランダには洗濯物や布団が干されでも誰も人陰がないきらきらと日が照り返す川の上をがんがん音楽をかけたモーターボートが過ぎて
2024年7月20日 18:24
こんなに暑い日の公園の大きなクヌギの木の下には100年も前に死んだばあさんと50年も前に死んだイボガエルがわがもの顔に並んで座っている「ああ本当に暑い暑い こんな暑い日にはカラスも鳴かないねぇ」「ああ、こんな日にはカラスも鳴かない」「本当に暑くてたまらないよ」「そんなに暑いんなら とっとと成仏すればいいのに」「成仏してもいろいろ面倒くさそうだからねぇ 極楽なんてタチでもない
2024年7月19日 17:35
誰も知らないが蟻のあの小さな目には希少で高価なダイアモンドが含まれているだから蟻をどんどん捕まえて目からダイアモンドを取り出せば大金持ちになれる蟻を養殖しても良いさ蟻で金持ちになれるなんてすごいじゃないかでも誰もそのことを知らない知っているのは蟻だけでもちろんそのことを人間に教えたりしないだから蟻は黙って歩く下を向いて目を隠しながら歩く俺たちは忙しいんだ人間たちの欲
2024年7月18日 15:49
輝かしい栄光のトロフィーでもその足もとには苦しみもがくたくさんの人の姿がある黄金のトロフィーなんかぶっ壊して苦しむ人たちに分け与えるべきだみんなそう思うけれどそうなったらそうなったで打ち砕いたトロフィーのかけらでわたしたちは引っ掻きあい傷つけあい血を流す輝かしい黄金のトロフィートロフィーはそのことを知っている誰も自分を壊せないだから平気で笑ってあんなに輝いている