天井

まったくたいくつだ
今日はなにもすることがない
しかたなしに
ごろっと寝転がる
天井が見える

そうだ小学生のころも
こうして寝転んで
天井を見つめていた
少し雨染みのある
合板の天井
天井の模様が
雲になり
波になり
動物になり
人間になった
そして動物と人間の戦いが始まり
天井をビーム光線が飛び交い
ぐわっだのぼわっだのの
戦闘の音を口ずさみながら
戦いはいつ果てるともなく
続くのだった

あの時天井は
宇宙であり星座だった
そこに長い物語が紡がれていった

こうして寝転んで小学生のころのように
天井を見つめていても
天井は天井のままだ
なにも動きだしたりはしない
すこしすすけた石こうボードを掃除しなきゃ
などと思いながら起き上がる
窓を開けてみると
夏のむっとした空気がはいってくる
遠くでアブラゼミがむしょうに鳴いている

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