爆弾

私は座っている
自分の部屋の椅子に
ひとりで

私は座っている
クーラーの風をほんのり受けながら
ぼーっと座っている

私は座っている
座っていることに
目的はない
ほかにすることもなく
うちには猫がいないから
相手をしてくれるものもなく
ただ座っている

私は座っている
こうして座っているうちに
今日のこの時間が過ぎてゆき
今日と同じあしたが来ることを
なんの疑いもなく
ただ座っている

しあわせは
たくさんの努力を積み重ねて
はじめてやってくるのに
ふしあわせは
なんの前触れもなく
すべてをぶっこわす
でもわたしのあしたには
そんなふしあわせはやってこない
わたしは当たり前にそう信じて
部屋の中にぼーっと座っている
あした爆弾が落ちて
この家ごと焼き殺される心配はしなくていい
それだけでじゅうぶんだ

私は座っている
自分の部屋の椅子に
ひとりで

それにしてもだ
やっぱり猫を飼おうか