雨蛙

窓ガラスをつたう雨粒を見ていると
楽しいことを思い出すことはない思い出すのは
若い頃の夢はひとつも実現しなかったとか
あの時の深い後悔とか
まだ切り傷も新しい
深い悲しみとか

そうしてみるとあの雨蛙は
いつも悲しくて憂鬱に違いない
悲しくてやりきれないと
夜の田んぼで鳴き声を上げ
雨を呼ぶのだろう
今日の私は雨蛙だ
こんな日に家にはいられない

外はずいぶん激しい雨だ
傘をさして
どこかの葉かげで雨宿りしよう
雨蛙のように

今日の悲しみを堪えるには
きっとそこしかない

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