夏の公園

こんなに暑い日の公園の
大きなクヌギの木の下には
100年も前に死んだばあさんと
50年も前に死んだイボガエルが
わがもの顔に並んで座っている
「ああ本当に暑い暑い
 こんな暑い日にはカラスも鳴かないねぇ」
「ああ、こんな日にはカラスも鳴かない」
「本当に暑くてたまらないよ」
「そんなに暑いんなら
 とっとと成仏すればいいのに」
「成仏してもいろいろ面倒くさそうだからねぇ
 極楽なんてタチでもないし
 そいういあんたは何で成仏しないのさ」
「あたしはイボガエルだから
 人間みたいに成仏しないのさ」
「イボガエルでも人間でも
 おんなじに成仏して極楽行けるんじゃないのかい」
「さあ
 どうだかねぇ」

公園に父さんと手をつないで
小さな子供がはいってくる
「きょうはだれもいないねぇ」
「今日は暑いからねぇ」
クヌギの木の上に
カラスが止まっている

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