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碧木和弥の詩(うた)

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碧木新令和恋愛詩『春風にそよぐ』

碧木新令和恋愛詩『春風にそよぐ』

『春風にそよぐ』

春の灰に染まった鱗雲を地べたから仰ぎ見て
夏色が彩りに添えられはじめただろう
きみの空を思い浮かべた

車が行き去る路上の横の臭い
空に手を伸ばした
きみの空に届かない

便りは届いているのだろうか
心には届いているのだろうか
春の鱗雲は灰に染まって

今年の夏はあついのだろうか
春風にそよぐきみの髪
きみのこと

“Swaying in the spring breeze”

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『川 - 夢に』

『川 - 夢に』

『川 - 夢に』

この埃だらけの街を抜け出して
川を下る

26年前に恋人がこの世から去った
23年前に君と出会った

穏やかな海へと川を下る

21年前
君に告げられなかった
「遠くに行ってしまった恋人を・・・」

川を下りはじめて26年

やっとのことで海が見えてきた

ここは河口までどれくらいだろうか

河口まで26年
河口まで23年

ずっと忘れずに川を下ってきた

今も思い出す情景

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碧木新令和恋愛詩 『炎螢 お七の如く』

碧木新令和恋愛詩 『炎螢 お七の如く』

碧木新令和恋愛詩 『炎螢 お七の如く』

水面に舞って草葉に踊る
淡い光は我が身の蛍
暑い夜に気持ち騒ぐ
その日があなたとの出会い

もしも
あなたと一つになれるのなら
祈る心に命は要らぬ

あなたの指が手が
わたしの顔と体
撫でて胸に火が燃える

あなた あなた 刹那に燃えて
あなた あなた あなたに燃えて
あなた あなた この身を燃やし
あなた あなた この町燃えて
何も残さず わたしが灰にな

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『雨の日に』

『雨の日に』

この街に雨が降る
急な雨が降れば
迎えに来てくれた
おかあさん

ちゃぷちゃぷと
水たまりで跳ねながら
『こら、おかあさんも濡れるでしょ』
ほほえんで

この街に雨が降る
急に雨が降ったら
迎えに行った
おかあさん

ぽたぽたと
汗かいて拭きながら
『ほら、あんたも濡れるでしょ』
あたま撫で

この街に雨が降る
急の雨が降ったら
迎えに行った
おとうとを

ぎこぎこと
自転車こぎながら
『ほら、あ

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秋 都会

都会はどこの国も
秋は冬への通過点
寒さが増してゆく
都会はどこの国も
木々の葉が色付いては落ちていく
木々は色付いて
葉を落とす
路上には落ち葉が流れていく
それでも
見上げれば青い空

Copyright 2023(C)Kazuya Aoki(碧木和弥)



Cities in every country
Autumn is a transit point to winter
It's ge
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碧木新令和恋愛詩 『あの夏』

碧木新令和恋愛詩 『あの夏』

碧木新令和恋愛詩
『あの夏』

君と二人で忘れられない夏になるだろう。のちのちに想ひ出にするために。この歳で忘れかけていた熱さ。君のもとには1枚の写真。
お金に変えられないこの一季。今、走っているから待ってて欲しい。
陽炎の向こうに揺れるのは、君なんだろうか。

2023(C)Kazuya Aoki(碧木和弥)
2023年7月14日(金)発表

碧木新令和恋愛詩 2023年7月9日 即興詩

碧木新令和恋愛詩 2023年7月9日 即興詩

2023年7月9日 即興詩

うす煙な24時間
幾度も越えて
漆黒
なにも見えぬ
なにも聞こえぬ
なにも感じず
ただ時が過ぎ行く
これが生きているということならば
ただ心は
闇より暗い漆黒を佇むばかり
吐いた煙
漂うのか
ただ知るは誰ぞ
ただ我は
君の白い手を探し
漆黒の森を彷徨い歩く

Copyright 2023(C)Kazuya Aoki(碧木和弥)

#碧木和弥の体調
先週の土曜日から体調が悪く、床につく時間が多く、色々とママなりません。
おふくろが亡くなったことというより、季節性のものかなんなのか判りませんが、今しばらくお待ち頂ければ幸いです。

碧木新令和恋愛詩 『恋街雨』

碧木新令和恋愛詩 『恋街雨』

『恋街雨』

キミと会える日は
朝から本降りの雨ならいいのに

大きな公園に行く途中
人に見られにくい雨の中

キミと『雨だから』って
理由をつけて二人きりになれる

二人で汗ばんでも『雨だから』
キミが涙を流したら
『雨だから』って言ってもらえる

『雨だから』二人っきりの時間を
本当の二人っきりで過ごせる

肩を濡らして
キミを放さずにいられたら
雨よ降れ
キミとボクのこの街に

Copyr

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この素晴らしき世界

この素晴らしき世界

https://youtu.be/NyCny3ifMjA

この曲は、Bob Thiele as George DouglasとGeorge David Weissが作詞作曲した。
ベトナム戦争が激化する気配を漂わせはじめた1968年に、
皮肉で、時代の雰囲気とは逆説的だが、美しい曲だ。

 

What a Wonderful World / Louis Armstrong
(この素晴らしき世界

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さいごの欠けた月

さいごの欠けた月

  まだ、指先が冷えて痛む。
 水仕事をしていたマンションから見える人通りが、描き消すように無くなった。車もごくたまに通る未明くらいの台数だ。それも、今は街の暗さで、音で分かるくらいだ。
 椅子に座って、煙草をくわえた。暖かく感じるライターの炎。一口目の旨さ。目に入った煙が染みた。
 ぐい呑みにぬる燗をいれて、舐めるように一口。ぐっと一口。
 「今年も最後の日か」
 つぶやいて、酒が体を温めるのを

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