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排泄運動

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日常の速記。食べて、咀嚼して、排泄する。
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#福祉

愛とは「見えてるよ」と伝えること

愛とは「見えてるよ」と伝えること

結局このところのもやもや病の正体は自分が必要だと信じてやってること(ホームレス支援&シェアハウス運営)が、資本主義的価値観のなかでその価値が可視化されににくく、また現場での自分が使い捨て要員のように感じること。そして、そのことによって、漠然とした将来の不安に侵されたり、なぜかやってることへの自信まで奪われてしまっていたことだと気がついた。要は自分が心身削って取り組んでいることが、尊重されていないと

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博愛主義だなんていえない

博愛主義だなんていえない

救命救急の待合室で救急車で運ばれた81歳の奥さんの延命措置の選択を迫られている旦那さんをみている。数分おきに深いため息をつく彼の背中を見守ることぐらいしか私にはできない。

職業柄、突然の別れとか延命措置の選択とかお看取りとか何度も経験するけど慣れることなんかなくて、毎回身を切られるように辛い。それなのに、市井の人は親や伴侶でその辛さをいきなり経験するんだと思うと、さぞかし焦るし苦しいだろうと思う

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仕事じゃない仕事を大切にしたい。

仕事じゃない仕事を大切にしたい。

ナースコールで呼び出されたので、Kさんの部屋に駆けつける。十中八九なんともないのだけど、なんかあったら嫌だからとりあえず階段を駆け上がる。

部屋につくとKさんはすっかり癇癪を起こしていた。あーまたか、という気持ちで正直いっぱい。とりあえず怒りを受け流す。すると今度は足が痛い、頭がくらくらする、背中が痒いの怒涛の訴えがはじまる。これも共感しつつ受け流す。次に始まる病院連れてけ、救急車呼べコールに備

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福祉の現場で働き続けることの焦りと葛藤

福祉の現場で働き続けることの焦りと葛藤

たぶんまともに働けない最近の悩みといえば専ら福祉の現場で働き続けることへの焦りと葛藤だ。

たぶん、私は資本主義社会の中だとまともに働けない。新卒でちょっとだけ勤めた不動産会社では、シェアハウスの管理業務を行っていたのだが、家賃の仕組みに納得が行かなかった。何故すでに富のある大家さんのために収益をあげなきゃいけなくて、経済的精神的弱者の方の入居はお断りしなきゃいけないんだろう、大家さんは(物件提供

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不良になれなかった私のアルゼンチン門司港逃避行日記

不良になれなかった私のアルゼンチン門司港逃避行日記

不良になれなかった私物心ついたころから、何故だかはわからないが日本の教育や社会に馴染めなかった。都心にある中高一貫の私立の女子校。校則とか時間割とか部活とか意味わかんなかったし、学校にいると自分がどんどんロボットになっていく感じがした。

通学中に満員電車に乗っている大人とか観察してたら、何のために生きてるのかよくわからなくなった。MDのイヤホンでブルーハーツの1985年の『僕たちを縛り付けて一人

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優しい世界のまわしかた

優しい世界のまわしかた

豪雨明けの夜の街を散歩。雨の匂いが色濃く残っている。

住宅街の真ん中でなにか小さなものがこそこそとうごめいてるのを見つけた。月明かりに照らされてよく見たそれはなんとカニだった。

恐らく、大量の雨に流されて迷子になってしまったのだろう。足元で逃げ回るカニを捕まえて、私は近くの川へと連れて行った。川は増水してごうごうと唸っていた。大丈夫かな、ちゃんとお家に帰れますように。

商店街の道端では、びし

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