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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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2023年4月の記事一覧

自分だけの人生を、自分らしく生きる!(六畳のえる:『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』)

自分だけの人生を、自分らしく生きる!(六畳のえる:『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』)

六畳のえるさんの『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』(スターツ出版文庫)という青春小説を読みました!

常に双子の姉と比べてしまい、自分に自信が持てない優羽と、「俊矢」という別人格になってしまう自分に悩まされている朔也。
境遇は異なるものの、どこか似たところもある2人が、お互いに刺激を受けて成長していく物語に心をぐっと掴まれました。性格とか美しいイラストを見たり描いたりするのが好きなこととか

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エンドロールの後も人生は続く(一条岬:『嘘の世界で、忘れられない恋をした』)

エンドロールの後も人生は続く(一条岬:『嘘の世界で、忘れられない恋をした』)

一条岬さんの『嘘の世界で、忘れられない恋をした』(メディアワークス文庫)という青春小説を読みました!

今作は難病を抱え、余命わずかとなった主人公・誠が映画制作を通して、彼が片想いしている女子・翼との仲を深めていく物語となっていました。
大切な人を失った悲しみを読者も驚くようなアイデアで乗り越えていくところが一条さんの作品の魅力だと思うのですが、それは今作でも健在でした。

「泣ける」系の恋物語は

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過去を変えること、本当に正解ですか?(太田紫織:『魔女のいる珈琲店と4分33秒のタイムトラベル』)

過去を変えること、本当に正解ですか?(太田紫織:『魔女のいる珈琲店と4分33秒のタイムトラベル』)

太田紫織さんの『魔女のいる珈琲店と4分33秒のタイムトラベル』(文春文庫)を読みました!

北海道を舞台にした心温まる話が多い太田さんの作品。
今作では過去をやり直すチャンスをくれる不思議な珈琲店を舞台に、様々な人の後悔と再生の様子が描かれました。

まず今作を読んで感じたのが、もし過去を変えられても、それが必ず幸せな結果になるとは限らないということです。「タセット夕暮れ堂」を訪れた人には、過去を

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バラバラとなった大切な時間を取り戻す物語。(石野晶:『パズルのような僕たちは』)

バラバラとなった大切な時間を取り戻す物語。(石野晶:『パズルのような僕たちは』)

石野晶さんの『パズルのような僕たちは』(双葉文庫)という青春小説を読みました!

体のパーツが少しずつ入れ替わり、最後はどちらかが命を落とす…という宿命を背負った月彦と糸雨。幼なじみ同士の2人が「ジグソーパズル症候群」をきっかけに、数年間失われていた心の距離を取り戻す物語が描かれました。

男女の「心が入れ替わる」物語は数多くありますが、「手や足といったパーツから入れ替わりが始まる」といった物語は

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美味しい料理と、とっておきの青春!(栗栖ひよ子:『菓子先輩のおいしいレシピ』)

美味しい料理と、とっておきの青春!(栗栖ひよ子:『菓子先輩のおいしいレシピ』)

栗栖ひよ子さんの『菓子先輩のおいしいレシピ』(スターツ出版文庫)を読了しました!雑貨のような可愛い表紙を見て、ずっと読んでみたかった作品です。

今作は「食」をテーマにした青春小説となっていて、恋愛ものが多いスターツ出版文庫の作品としては珍しいタイプの内容でした。

主人公のこむぎ(主人公の名前も可愛すぎませんか?)は人と接するのが苦手で、学校ではひとりで過ごすことも少なくありませんでした。しかし

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「間違った選択」なんてないことを感じる物語。(清水晴木:『分岐駅まほろし』)

「間違った選択」なんてないことを感じる物語。(清水晴木:『分岐駅まほろし』)

毎日を生きる中で様々な「分岐点」があります。
人生を変えるかもしれない選択を強いられた時、自分が選んだものと逆の選択をしていたら、もしかすると現実よりいい生活を送れてたかも…と後悔した経験がある人もいるかと思います。今回はそんな気持ちと向き合える作品を紹介します!

★★★

今回紹介するのは、清水晴木さんの『分岐駅まほろし』という作品です。

今作は条件が揃えば現れるという「まほろし駅」を舞台に

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