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哲学の境界──あるいは個の揺らぎについて
何が哲学的で何が哲学的でないかという問いは、ある意味ではすでにそれ自体哲学的だといえるが、この問いに対して私は今までのnoteで断片的に、かつ異なる文脈から自分なりの回答を書いてきた。直近だと生活と哲学に関するあれこれや、哲学対話について書いたものなどが挙げられる。これらのnoteには当然大小の文脈の差異があるが、大枠として比較的広い意味で取った時の哲学についてのものであるということは共通してい
もっとみる岳人、加藤文太郎──あるいは世俗的孤高
『孤高の人』という、新田次郎の書いた小説がある。いわゆる山岳系小説で、加藤文太郎という実在の人物をモデルとした小説である。この小説、色々面白かったので、少し感想をば(以下ネタバレ注意)。
主人公である加藤文太郎は兵庫と鳥取のほぼ県境に位置する田舎町、兵庫の浜坂の生まれである。物語は文太郎が成長し、神戸の造船所の製図工見習いとして日々を過ごすことから始まる。造船所の友人から山歩きの仕方を教えて
最強の弱者としてのMOROHA──暗夜に躍動する生のダイナミズム
MOROHAを一言で表したら?と問われたら、私は迷わず「最強の弱者」と答える。MOROHAの歌詞には弱さを徹底的に見つめ、克服し、なんとしてでも強者たらんとするダイナミズムを描き切るという、全ての曲に通底するテーマがある。そこに私は「最強の弱者」としてのMOROHAを見出す。そこで、今回はMOROHAの歌詞を見つめることを通じて、この最強の弱者の本質に迫りつつ、MOROHAにおいてアフロとUKが
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