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あたし論

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インクルーシブな社会のための研究・実践をするなかで、考えたことを整理するために書きます。 ※個人の意見であり所属する組織と関係ありません。
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#教育

自分が抱くバイアスに気付くのは辛いし苦しいけどなかったことにはしたくない

自分が抱くバイアスに気付くのは辛いし苦しいけどなかったことにはしたくない

「マイノリティであるが故にどうしようもならなかった経験」を持っていないと得られない感覚はおそらくあるんだろうと思う。
ここのポイントは、社会の物差しがどうであろうと、「自分が自分をマイノリティと自覚し、それが理由でどうしようもない、頑張ってもダメだった」という経験を持っていると自分が思うかどうか。世の中や他者がどう思うかはあんまり関係ない。

「マイノリティだけどどうにかなった人」「自分がマイノ

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「助けること」が「よりどころ」になっていないか?

「助けること」が「よりどころ」になっていないか?

昔読んだ中島らもの本(どの本か忘れた)に、「誰もが何かしら穴を抱えていて、その穴を埋めることに必死になっている」と書いてあって、妙に納得した。安部公房の本にも、「1%ずつ何かしら『異常』な人がいて、全て合わせたら全員が『異常』」と書いてあって、これも納得した。
つまり、全員「なにか」に依存しているし、依存する「なにか」を常に求めている。「よりどころ」探し。

そのよりどころが社会的に適切か不適切か

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「たまたま残念な支援者にあたりました」を無くすための仕組み

「たまたま残念な支援者にあたりました」を無くすための仕組み

まだちゃんと言葉になっていないしまとまってないけれど書いてみる。

最近思っているのは、やはり対人支援職として必要な「資質」はあるということ。支援技術は身に付けることができるけれど、資質はなかなか難しい。例えば、目の前のその人に関心を持ち続けることができること。自分の正解を押し付けるのではなく、その人にとっての正解を模索し続けることそのものを楽しいと思えること。支配的になる自分に気がついた時に絶望

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「理解できないやつが悪い」は何も生まないのでは。それでいいならいいけれど。

「理解できないやつが悪い」は何も生まないのでは。それでいいならいいけれど。

まだ届いてないのだけど、とても興味深い本を見つけたので。タイトルと紹介だけ読んでなんで自分がこの本に惹かれたのかを忘れないように書いておく。

こちらの本
打浪文子
知的障害のある人たちと「ことば」――「わかりやすさ」と情報保障・合理的配慮

「ことばができる」ことに価値があるという文化や社会的風潮に対し問いを投げかけ、
社会全体で共有できる「わかりやすさ」の必要性を明らかにすることを通じて

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「選んだあなたが悪い」の残酷さ

この半年間、自分がこれまで知らなかった世界を見たいと思い、これまでの行動パターンを意識的に変えてきた。

「静岡方式」を視察に行ったり、いくつかの少年院や更生保護施設、児童養護施設を視察し、さらに少年院にて学習支援に継続的に入ることで、これまで見えていなかったことが見えつつあり、かつ自分に変化が見えてきた。

これまで私は、「選択肢が少ない人には選択肢を作ったら良い」「もし嫌だったら選択しなおせれ

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当事者の声を置き去りにした「社会課題の解決」のもったいなさ

当事者の声を置き去りにした「社会課題の解決」のもったいなさ

書くかどうか躊躇する。書くことで、余計にハードルが高くなるかもしれない。「まずは興味を持てるようにすること」が大切なのもよくわかる。でも、置き去りにしたまま進めて欲しくないから書くことにする。私はそういう役割を担っていきたいと思う。

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いろんな方から相談を受けることが増えた。

「発達障害のある人の支援をしたい」
「学校教育を変えたい」
「触法障害者の支援をしたい」

多くの方が関心

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自分の専門分野以外の言語を知る

自分の専門分野以外の言語を知る

「野口さん、なにやってる人なの?」とよく聞かれる。インクルーシブな社会をつくる、そのための教育を実現する、という目的に対して、この瞬間自分が一番役に立つことをやっているつもりなのだけど、わかりづらいのかもしれない。

目的に対し、自分の強みを活用して向かうことを大切にしている。

自分の一番の「専門」は何か?と言われると、もともとの専門はインクルーシブ教育のためのカリキュラム。特に知的障害のある子

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「海外から学ぶ」ためには日本のことを知っておかなきゃ学びが深まらないという話

「海外から学ぶ」ためには日本のことを知っておかなきゃ学びが深まらないという話

ここ5年で
・アメリカ(NY、ボストン、LA、SF)
・メキシコ
・イングランド
・スコットランド
・オランダ(×2回)
・スウェーデン
・フィンランド
に視察に行った。

以前「日本人は視察しすぎ、相手の時間を無駄にしている」みたいな記事をチラッと見た記憶があるのだけど、良いのでは?と思っている。持ちつ持たれつ。

最近は海外からの視察者が増えて、自分が視察に行った時によくしてもらったことを、P

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