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『Ant Lion(AL)免震』。災害が発生した時、美術品を守るクッション。普及急ぐー。

こんにちは、翼祈(たすき)です。
能登半島地震の発生から、7ヵ月が経ちました。

石川県内では約6800戸の仮設住宅が必要とされていて、2024年7月30日時点で8割程度に該当する5498戸が完成しましたが、残りの一部は2024年11月まで完成までに時間が必要な見通しです。

石川県輪島市では今も仮設住宅に入居できず、ビニールハウスで避難生活を続けている人たちがいました。

輪島市に住む男性は輪島市の中心部から4kmほど離れた長井町に住んでいましたが、元日の能登半島地震の発生で自宅が全壊したため、野菜を栽培していたビニールハウスに避難しました。

すぐそばの公民館に避難することも検討しましたが、沢山の人たちが集まっていたことから、近所の人たちも含め30人程度でビニールハウスでの避難生活を続けました。

その後、市外に移り住んだり、仮設住宅に入ったりした人たちもいてビニールハウスを出ていきましたが、男性たち2世帯3人は仮設住宅への入居の順番を待ちながら今もビニールハウスで避難生活をしています。

暑さが厳しくなっているので、扇風機を使用したり、天井にシートを活用して直射日光を遮ったりして凌ぎ、夜は災害用に開発されたテントの様な小屋で寝泊まりしています。

もうしばし、男性はビニールハウスでの生活を続けることにしていますが、仮設住宅に入居できない状況が続けば避難所となっている近くの公民館に移ることも考えています。

石川県の能登地方では現在も600人程度が1次避難所に身を寄せています。1次避難所は輪島市には17ヵ所ありますが、仮設住宅の建設が進む見通しなどを踏まえ、輪島市は2024年8月いっぱいで全ての1次避難所を閉鎖する方針で、避難している人たちに退去に向けた準備を促しています。

この様に、7ヵ月が経過し、能登半島地震の被災地が、少しずつ変わろうとしています。

この記事では、災害からどう美術品を守るかー?、という取り組みとなります。

座ると深く沈み、人を包み込んで起き上がる気を奪う様な快適さから「人をダメにする」などと表現されるクッションがここ数年、人気を集めています。このクッションの中身と同じ素材で美術品を包み込み、地震の揺れから守る装置を、防災工学が専門の埼玉大学の斉藤正人教授などが開発しました。

地震の揺れを検知すると美術品をクッションに沈み込ませる仕組みで、その名も、アリ地獄を意味する『Ant Lion(AL)免震』。美術館などで普及させることを掲げています。

今回は『Ant Lion(AL)免震』が、これからの災害に備えて、どれほど優れているかを発信します。

『Ant Lion(AL)免震』は、どれだけ優れた性能がある?

動画・引用:地震が来る前に『倒して』美術品や文化財を守る!-AL免震

『Ant Lion(AL)免震』は、埼玉県狭山市にある「ナウエストテクノロジー」、東京都にある「昭電」との共同開発しました。

美術品をクッションの中身と同じ「マイクロビーズ」と言われる流動性で微細のビーズが詰まったクッションの上に載せ、実際の地震の揺れか、緊急地震速報の信号かのいずれかを検知すると、クッションを支えている台が自動で下がるメカニズムです。これで、美術品はクッションに倒れ込み、安定します。

美術品を壊さずに落下させる手法の研究や、博物館の視察などを経て構想からおよそ5年で試作品がカタチになりました。2024年3月には特許を取得しました。2024年3月末から埼玉県と覚書を結び、試作2号機を埼玉県さいたま市浦和区にある県立近代美術館に試験的に設置しています。

全国の美術館では、専用の装置を導入したり、建物全体に免震構造を採用して地震に備えているといいますが、いずれも高価で中小規模の美術館では導入することが厳しいとします。

『Ant Lion(AL)免震』は既存の装置よりも費用を抑えられる以外にも、今まで形状的に設置しにくかった壁際のショーケースにも適用できるメリットがあります。美術品の壺などを既存の装置で守るとおよそ50万円必要ですが、その数十万円を安くすることが目標です。

県教育委員会文化財・博物館課によりますと、埼玉県が運営する美術館など6館では、通常、作品を糸で固定するなどして地震対策を行なっています。担当者は「高価な装置は導入するにもハードルが高いといいます。新しい選択肢になるのではないでしょうか?」と期待しています。

参考:地震が来る前に『倒して』美術品や文化財を守る!-AL免震

元日の能登半島地震では、輪島塗などの美術品も大きな被害を与えました。斉藤教授は、「これからの課題はコンパクト化と低コスト化です。コスト的に免震にできないそれ以外の分野に拡大できないかも総合的に考えていきたいです」と説明しました。

美術品の扱い方は難しい

美術品は数が多く、展示するものを出すと、展示会が終わったものは直し、毎年の様に増える美術品の数に、倉庫が圧迫され、テレビで以前福岡県福岡市はもう使っていない地下駐車場を収納する場所にすることを検討中だと見ました。

美術品は災害に弱いです。ちょっとした火元があることで、すぐ燃え広がってしまう。最近ですと、2024年7月29日午後、奈良県安堵町窪田で枯れ草を燃やしていた火が近くにある国の重要文化財の「中家住宅」に燃え移って、かやぶき屋根などが焼ける火事が起きました。

「中家住宅」の主屋のかやぶき屋根などで、消防車など約20台が出動し、火はおよそ4時間半後にほぼ消し止められました。

「中家住宅」は、江戸時代に建てられた屋敷で、二重の堀の内側に主屋や表門などがあって、農家の住居と武士の屋敷の特徴を合わせ持っています。

火事が発生した主屋は、17世紀中頃に建てられたと言われている、かやぶきの建物で、1968年に国の重要文化財に指定されました。

具体的にどこだったかは覚えていないのですが、梅雨の時期に、特に末期に豪雨が降った時に、よく国の重要文化財が、浸水したり、屋根が壊れたりする話もよく聞きます。

美術品は価値があっても、昔のものなので、建物ですと木造ですし、壊れやすいのだと思います。

『Ant Lion(AL)免震』に使われているクッションは私の家にはかつてありました。それが美術品も守ってくれるなんて、とてもありがたいです。

値段も通常の方法より安く済みますし、もっと導入して下さる美術館の増加を期待したいです。


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