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誰からも美味しいと言われない美味しいごはん。

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一人暮らしなので、どんなに美味しい料理を作っても誰も喜びません。だからと言って、手を抜く料理を作り続けるのは、ちょっと残念な気がするのです。
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#我が家の秘伝レシピ

美味しいカフェオレとイングリッシュマフィン。

美味しいカフェオレとイングリッシュマフィン。

日曜に早起き。時刻は7時。

カーテンを勢いよく開けると、空は私と同じく目を覚ましたばかり。

窓を開けたら、少しだけ冷たい風が
すーっと。部屋の中に入ってきて、私の体を包んだ。

一気に目が覚める。ベランダの植物におはようを言いながら水をやり、
青白い空を眺めながら今日やることを羅列する。。。

「んー。ないな」

私がやらねばならない事は、近々だと
マイナンバーカードを市役所に取りに行くことく

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お盆休みとポークビーンズ。

お盆休みとポークビーンズ。

『今年は帰省をやめようと思う。』

実家に連絡を入れたのは2週間ほど前のことだった。

帰省をやめたからといって何処か行く場所があるわけではないし、仮に行きたいところがあってもどこにも行けないのが今年。

なにもかもを諦めて、自宅で録画した相席食堂を見ていると電話が鳴った。

『今日休み?』

ビデオ通話の画面には、いかにも休日だという格好でスイカを食べる姉が写っていた。

彼女のいる実家のリビン

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がくぶちと冬瓜スープ。

がくぶちと冬瓜スープ。

昼過ぎに電話がなった。相手は額縁屋さん。

『ご注文いただいていた額縁、出来上がってます』

先週の土曜日、
以前もらったポストカードを額縁に入れようと訪れた
美術館の二軒となりにある額縁屋さん。

ポストカードを額に入れたいんですけど。

相談すると、今度入れたい物を持ってきてください。そう言われ、

翌日ポストカードを持って足を運んだ。

では二階へどうぞ。

私より年上で、
でもお姉さん。と

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二日酔いと厚揚げの煮物。

二日酔いと厚揚げの煮物。

二日酔いの朝は起きるのが辛い。

頭はガンガンなっていて、喉の端っこもちょっとだけ痛いような気さえする。

飲みすぎちゃったな。変なこと言ってなかったかな。。。

いつも二日酔いの朝はそうした後悔で始まる。

水をコップ1杯。。。もう1杯。

何も口にしたくない。今日の夜は確実に軽いものを食べよう。

顔を洗い、服を着る。なんとか気持ちをあげようと、こないだ買った真っ赤なマキシ丈のスカートを着て家

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旧友とジュリエンヌサラダ。

旧友とジュリエンヌサラダ。

仕事を終え、商店街を歩く。

今日の目的地は非常に明確で、信号を2つこえる。

その先にある2つの商店街の重なる場所。。。

ここが今日の目的地。大学時代の友人の大野さん。

今は隣の県で農家をしているのだけれど、久しぶり。と連絡をくれた。

今日は彼女と食事をする。

わざわざ車で来たそうで、そのまま家に泊まることになった。

久しぶりの彼女は少しだけ痩せていて、少しだけ日焼けをしていた。

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細かい雨とミネストローネ。

細かい雨とミネストローネ。

細かい雨は嫌いだ。

降っているか止んでいるか、そもそもわかりづらい。

傘をさしてもビニール傘の透明なところに雨の気配はないのに

ささないと、私のメガネには水滴がつく。

だったらと再びさすと、私の横を車が通るたびに傘の中に潜り込んでくる。。。

本当に鬱陶しい。

やっぱり私は梅雨がどうしても好きにはなれない。

うつうつとしたまま仕事をこなし、うつうつとしたまま定時で職場をあとにした。

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午後3時のミートソース。

午後3時のミートソース。

日曜の午後は明日から始まる1週間にいろいろなことを思う。

仕事のこと。友人のこと。恋のこと。そして、ご飯のこと。

梅雨とは思えないとほどスカッと晴れた今日。

しっかり太陽は働いていた。

洗濯をして、コーヒーを飲んで。

昨日の残りのコールスローをパンに挟んでホットサンドに。

最高の昼ごはん。

鼻歌を歌いながらエコバックを持ち、玄関を出た。

今日はパスタな気分。

ちょっとだけ煮込んで

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絵葉書となめろうそば。

絵葉書となめろうそば。

家の目の前のスーパーで半額になったお刺身を買い、エントランスでポストを開けると一枚の絵葉書が入っていた。

消印には東京北部。。。ミカからだ。

私とミカは中学の同級生。彼女は今、東京で暮らしている。

手紙には、春からの生活のことと、コロナ禍が終われば一緒にオープンカフェに行こうという誘い。原っぱでのピクニックの誘い。そして、浴びるほどお酒を飲もう。と書いてあった。

以前は週に3回はお酒が飲め

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にんじん色のナポリタン。

にんじん色のナポリタン。

帰り道のスーパー。惣菜コーナーに売れ残ったナポリタンが2割引。

お金がなかった学生の頃。3万5千円の賃貸で300円しないような冷凍のナポリタンを頻繁に買ってチンして食べていた。

久しく食べてないな。ウインナーとピーマン。玉ねぎの甘さが真っ赤なケチャップと合わさって、一口で私を満足させる。貧しい思い出に心を奪われた。。。

ピーマンをカゴに。2つのパックをテープで1つにまとめられたウインナーを選

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雨の日のとん汁。

雨の日のとん汁。

朝。目が覚めて外を見ると、町ゆく人が傘をさしていた。

2年ほど前にこの街に引っ越してきて、雨はあまり経験したことがなかった。

もちろん毎年梅雨はやってきて、街に紫陽花も咲く。

しかし、雨が降ると言っても2日や3日 降り続くようなことはほとんどなかったし、空と相談しながら街に出れば、そこまでひどくは濡れなかった。むしろ、人が生きていく上で濡れた方がいいくらいの雨ばかりだったのだ。

重たい気分

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くすんだなすの揚げびたし。

くすんだなすの揚げびたし。

仕事が早く終わった午後3時。会社を出た。

終わりかけの5月の日差しは早くも鋭く。このままでは夏にはどうなってしまうのかと去年と同じことを考えながら歩く。

久しぶりに八百屋さんの開いている時間に帰れた。遠回りを決めて、アーケードに入ると、商店街の店がギリギリ使えるのであろう歩道のタイルの色が変わる線ギリギリまで野菜たちが並んでいた。

トマト、南瓜、きゅうり、そして…なす。

『なすび袋』と書か

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