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生きて書いて愛する

スタンダールに思いを馳せて

ここ1ヶ月、創作意欲が著しく低下していた。環境の変化に伴って人間関係が大きく変わったり、新しい恋を始めたり、3ヶ月連続でTOEICを受けたり、虚心坦懐に取り組むことがたくさんあったからかもしれない。

本当は書きたかったのかもしれないけれど、どこか逃げてたところもある。逃げ道があって良かったのもある。言い訳があるってとても幸せなことだな。そんな、どうしようもないことに幸せを見つけられる自分って幾分成長したのかなと思う。

そして、これを同じく久しぶりの日比谷ミッドタウンのスタバで書く。エスプレッソマシーン前のカウンター席は、抽出中の音が程よいBGMになるし、豆の芳りがより想像力を挽き立てる。でも、やっぱり今回はアドレナリンが出る程の書きたい欲は湧いてこなかった。数あるスタバでも、特にお気に入りの場所なのに。

読書をしてみようにもそんなに気乗りがしないし、シーズナルのフラペチーノを飲んでみても気持ちが鼓舞しなかった。だから、これでどうだと言わんばかりに追いスタバをしてみた。格好を付けて、「To Go スターバックスラテ EXTRA HOTで」と。それが精一杯の自分の心へのオモテナシだった。少しばかり、気持ちが爛々沸々としてきたような気がした。EXTRA HOTだけに。

やっぱり、この1ヶ月で最も自分を爛々沸々とさせたのは恋愛。久しぶりにこの人だって思う人に出逢った。たぶん、1年ぶりくらいに衝動的な恋愛をした。まだ付き合ってはいないけれど、これから衝動の答え合わせをしていくって感じ。

衝動の答え合わせって、感性が問われると思う。日々、相手の言動を見て「この人にして間違いなかった」ってなるのが、スタンダード。

ミスドやサーティワンに行った時、「あの人はあれが好きだな」って何の迷いもなしに買えるのも衝動の答え合わせだと思う。相手の趣味趣向を即座に判断できる自分に、感嘆するみたいな。

あとは、電車内で相手のLINEの返事を気にしているうちに最寄り駅を過ぎていたこともあった。しかも、終電で。恋に恋してるモードMAXになると、Bananaramaの『Love in the First Degree』をそれなりの音量で聴く習性がある。だから、気付かないのも無理はない。気持ちが爛々としすぎていたな。

普段のそれとは違い、今回は凄く幸せな乗り過ごしだった。同じ出来事でも、こんなにも別の感情を味わえるなんて。これも、衝動の答え合わせかな。Bananaramaのキャンディポップが弾けるような曲調も、私をその余韻に浸らせることとなった。

そうやって、衝動の答え合わせをプレイバックしているうちに、なんだか創作意欲が沸々と湧いてきたような気がする。私は恋愛になると物凄く不器用になるけれど、書く上ではそれが長所になることもあるのだ。

きっと、『恋愛論』を書いたフランスの文豪スタンダールもそうだったんじゃないかなって、思いを馳せている。不器用な恋愛しかできないのにそれについて昂然と書き連ね、それがまた代表作になるなんて凄い。初期の頃は全く売れなかったそうだが、時代がロマンティシズムからリアリズムへ移り変わり、国を代表する文豪になったそうだ。

そんな彼の墓碑銘は、「生きた書いた愛した」 

ロマンティシズムの時代に生きた彼ならではの、儚くて美しい最期の言葉である。やっぱり、書いて恋することが1番の生き甲斐だったんだな。死ぬ直前までそう思える心があるって、とても素敵だし羨ましい。

私も彼のように、最後の最期まで誰かを一心不乱に愛し、そして書いて生きて逝きたいな。リアリズムに生きる1番のロマンティックな作家だって言われたい。"WRITING IS MY PASSION. MY PASSION IS WRITING."みたいな。

でも、結局リアリスティックに囚われて生きる毎日かな。もっと逃げ道を見つけなきゃ。右往左往しているその落ち着きのなさこそが、また私に創作意欲を与え続けているのもある。

「恋するとは、自分が愛し、自分を愛してくれる相手を見たり、触れたり、あらゆる感覚をもってできうる限り近くに寄って感じることに快感を感じることである。」

スタンダール  『恋愛論』

「恋が生まれるまでは、美貌が看板として必要である。」

スタンダール 『恋愛論』

「恋愛には四つの異なった型がある。情熱恋愛・趣味恋愛・肉体恋愛・虚栄恋愛が、すなわちこれである。」

スタンダール 『恋愛論』

「恋愛はみずから鋳造した貨幣で支払われる唯一の情熱である。」

スタンダール 『恋愛論』

「恋愛は大臣の椅子のように、簡単には手に入れることのできない一つの幸せな将来なのである。」

スタンダール 『恋愛論』

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