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短編

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フィクション、ノンフィクション、小説、体験談など。ジャンルに拘らず、何か書きたいことがあったときに投稿。
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#短編

無駄の集大成〜詩人最強説〜

無駄の集大成〜詩人最強説〜

単純に、無駄なことがいちばん楽しい。

ちなみにここでいう「無駄」とは、別にあっても無くても生活に大した問題を起こさない事・物とする。(あまりにも極論に走ると大概良いことはないので)

実生活で思い出してみると、それは山ほどある。

例えば小学校の時流行った虹色の鉛筆。
大体虹を描く時には色鉛筆7本を使うのがほとんどだし、それが1本に7色まとまっているからと言って綺麗な虹が描けるわけではない。

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砂になりたい

砂になりたい

ふとした時、無性に寂しくなる時がある。

それは、夫がいようが子どもがいようが関係なく、唐突に起きる。なにか悲しいことがあったわけでもない。家族は皆元気で、不満や多少のトラブルはあるにせよ至って穏やかである。

寂しいという気持ちは不思議で、なんの前触れもなく風が靡くように心をすり抜けていく。

今ふと、過去に下書きしたまま埋もれていた文章を何気なく読んだ。
ちなみに上記は、2021/7/20最終

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母

誰かを、殺してしまいたいほど憎んだことはありますか。
誰かを、殺してしまいたいほど愛したことはありますか。

私は、あるんだと思います。

ごくごくありふれた、普通の家庭で生まれました。ひとりっ子で寂しい思いをしたなんてよく聞きますが、父と母は私を、とてもとても愛してくれましたのでそんなことは一つも思ったことがありませんでした。

父は、真面目で子煩悩な人でした。
詳しくはわかりませんが、どこかの

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たこやき

たこやき

あたしね、たこ焼きがすっごい好きなの。
コンビニに寄るとお腹が空いていなくてもついつい見てしまうし、買っちゃう。
それで、たこ焼きを熱々にチンしちゃう。丸いのがヘニョって潰れちゃうくらい。
そこにね、ソースをかけて、その上からマヨネーズをこれでもかっ!ってくらいぶわぁってかけて。
あ、鰹節とか青のりはそんなにいらないかも。ただただマヨネーズが好きなだけなのかな。
何回食べても、また買っちゃうんだよ

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さよならの恋

さよならの恋

今日夢で見ました

なんとも心地のよい、夢でした。

あなたはわたしの肩に手を置いて、笑いながら歩いておりました。不思議といやではありませんでした。

彼女を見つけると、あなたは走って行きました。名前を呼びながら、彼女のもとへ行きました。

7年経って、やっとわたしの元から去って行きました。ようやくわたしも、あなたとさよならできました。

あなたをいちばん好きでした。でももう、哀しみも憎しみもあり

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先生

先生

先生。

わたしはあなたを、お慕いしております。

あなたからお借りした本、きっといつかお会いした時、お返しします。
それまで大切に、ずっと大切に持っております。

先生。

昨日夢に出てきてくださいました。それはそれはたくさんお話しして、その途中で朝が来ました。雨はふっておりませんでした。

先生。

わたしはきっと、生涯でただひとりあなただけを師と仰ぐでしょう。
聡明な先生は、愛だけは信じられ

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珈琲と小説

珈琲と小説

こう毎日が寒いと、温かいコーヒーが飲みたくなる。

挽いたコーヒー豆をフィルターに数杯入れ、熱湯を円を描くように注ぐ。すると湯をかけた所からむくっと膨らみ、豊潤な香りが辺りに広がる。豆から出た蒸気がふわぁっと自分の顔を覆うとき、ああこれから温かいコーヒーを飲めるんだ、と肩から少しだけ力が抜ける。

数秒も持つことができないほど熱いカップを片手に、表紙をめくる。こういう時は、決まって小説を読む。現

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