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エッセイ・コラム

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2023年11月の記事一覧

何かを評価することは意思決定に他ならない

何かを評価することは意思決定に他ならない

ある先生から情報とは「収集・分析・評価」の三段階を経るものであるという話を聞いたことがある。
簡単に言えば、集めて・正しいかどうかなどを見極め・価値判断をするということである。

最近、最後の「評価」というものが極めて重要であり、そして非常に難しいということに思いが至った。そして、上の人間になればなるほどこの「評価」をせねばならないということにふと気づいたのである。

仕事の時、したっぱの時は「こ

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隣の芝より自分の芝のほうがもしかしたら青いのかもしれない

隣の芝より自分の芝のほうがもしかしたら青いのかもしれない

隣の芝は青いとはよくいったもので、どんなに恵まれても人間は自分にないことを求めてしまう。
金持ちの人であれば「時間が欲しい」といってみたり、金がなく時間ばかりあると「金が欲しい」といってみたり、オムライスを食べながらカレーを頼んだ友人を見ると「カレーのほうがうまそうだな…」と思ったりと、人は実に気まぐれで身勝手な欲求を持っている。

私自身も気まぐれかつ身勝手な欲求を持つ人間のひとりである。
いっ

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ぴりりとした緊張感って

ぴりりとした緊張感って

記者という仕事をしていると「取材」ということでとにかく人と会うこと・話すことを強いられるものである。
記者の仕事は執筆ではなくむしろ取材にありというのは本当にそのとおりであると思うが、それだけに取材先の人がどんな人柄であるのかは記者にとっては重要な問題の一つである。

あるとき、会社の後輩が先輩に「この人って怖い人なんですか」と聞いて、「馬鹿野郎、怖い人だろうが何だろうが取材しろ」と叱られていたこ

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文字がうつす人柄

文字がうつす人柄

銀行員時代はほとんど友達を作らなかった私だが、2~3人仲の良い友達がいた。
そのうち一人は実直な仕事ぶりが経営陣に買われ、ある時会社のPRムービーに出ることが決まった。仕事をする様子を撮影したというので、先んじて見せてもらうと、なるほど彼の実直な仕事ぶりがよく描きあげられている。
ただ、最後に彼が自筆で記した自分の名前がどんと画面の中央に映ったとき、彼の文字が(丁寧なのに)下手すぎて、一緒に見てい

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AIが思考力を奪うというのなら、思考力がない我々は一体何をしていたのか

AIが思考力を奪うというのなら、思考力がない我々は一体何をしていたのか

よく、AIが教育現場に導入されることで「子どもたちの思考力が低下する」といった懸念の声がある。
一見すれば確かにその通りっぽい主張であり、どのように規制をするのかについて世の中では議論が進んでいる。

では、逆に考えてみよう。教育現場にAIなどがなかった私たちの当時の思考力は、現代を生きる子供たちより高いのだろうか。

これはあくまで個人的な実感だが、家ではゲームに明け暮れ、先生から言われたことを

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歌のカバーは邪道か――否、鉱脈である

歌のカバーは邪道か――否、鉱脈である

矢野恵子だったか、「自分で作った曲も人の曲も同じだろ」みたいな話をしていた記憶がある。いい曲であれば自分で頑張って作るのではなく素直にカバーすればいいということで、矢野恵子はたくさんの曲をカバーしている。

一部にはカバー曲は邪道であり、売れている曲をカバーしているだけであれば傍目には「勝ち馬に乗っている」ように見えるという声もある。
まあそういってしまえばそれまでなのだが、私自身は「いい曲がいろ

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