マガジンのカバー画像

或る若者の思索

79
私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

春とニアミス

春とニアミス

 春の気配がする。確かな物証はなくとも、それは誰にでも感じられる。冷え込んだ週末が明け、冬を抜け出そうとする私の身体はほのかに火照っていた。

 掠れた日記を読み返すような、不明瞭な日々が続く。新たなページに書き込もうとするも、その筆が動かない。振り絞って書き出した1行や2行の言葉も、やがては掠れた単なる文字列になるのだろう。

-

 それにしても今日はかなり暖かった。インナーダウンがかなりオー

もっとみる
イヌがニャーと泣いた日

イヌがニャーと泣いた日

 2月2日は猫の日、2月22日は「スーパー猫の日」らしい。ラジオでDJが言ってた。猫の手も借りたいくらい忙しい時期だというのに呑気なものだ。

 ニンゲンとして普通に生きていくだけなのに、何事にも煩わしい手続きが付き纏ってくる。寝床を変えるだけなのに、旧い寝床を出る届出と、新たな寝床に入る届出がそれぞれ要るのだ。さらに寝床に一定期間以上居座ると、ショバ代まで請求される。土地を移ろうことくらい気楽に

もっとみる
動物として

動物として

 同じ変温動物同士なのに、見る側と見られる側、食べる側と食べられる側が生まれるのは、世界が今日も回っているなによりの証拠だと思う。
 2分もあれば探索し尽くせそうな狭いフィールドで飼い殺しにされる動物たちと、会社と自宅を週5で往復する私とは、どちらがより"動物らしい"か?

 考えてもみれば、株式会社「動物園」に所属している動物さんたちは、基本的に在宅勤務、9-17時勤務の残業ほぼ無し、営業ノルマ

もっとみる
カバンに入れたチョコレート

カバンに入れたチョコレート

 今日1日、カバンにチョコレートを入れた状態で過ごした。つくづく思うことは、「冬で良かった」ということ。だって、今がもし夏だったら、1日中カバンの中にチョコレートを入れていたのならきっと溶けてしまうから!

 "カバンの中にプレゼントのチョコレートを忍ばせている"という状態は、それだけでとってもメルヘンチックなステータスである。何かヤなことがあったとしても、(でもカバンにチョコレートあるから)とい

もっとみる
敢えて乗らなかった

敢えて乗らなかった

 3番線の列車の到着を待つ後ろで、4番線の列車が発車して行った。乗り損ねたのではなくて、敢えて後発の列車に乗る。変な話じゃないだろ?どうせ、行き先は同じなんだし、7分急いだところで世界が救えるわけでもないし。

 思えば私の人生もずっとそんな感じだ。

 駅のホームに立ってさえいれば、列車は東西南北からひっきりなしにやってくる。その列車たちの行先はどれも同じ、だけれどそれぞれ経由地が異なる。陰惨な

もっとみる
忘れた

忘れた

 自転車の鍵を忘れたことで、バスに乗ることになり、なんやかんやでマクドのひとつ110円のケチャップの味しかしないハンバーガーを食べた。風が吹けばファストフード店が儲かるのだ。
 鍵の他に今日はイヤホンも忘れた。突発的な意識の逃げ場が作れない事で、今日は余計な思索に縛り付けられてしまい、せっかくのエッセイの中身も筒抜けだ。

 急停止と急発進と小刻みな加速を繰り返す市営バスに揺られているうちに、体の

もっとみる