見出し画像

動物として

 同じ変温動物同士なのに、見る側と見られる側、食べる側と食べられる側が生まれるのは、世界が今日も回っているなによりの証拠だと思う。
 2分もあれば探索し尽くせそうな狭いフィールドで飼い殺しにされる動物たちと、会社と自宅を週5で往復する私とは、どちらがより"動物らしい"か?

 考えてもみれば、株式会社「動物園」に所属している動物さんたちは、基本的に在宅勤務、9-17時勤務の残業ほぼ無し、営業ノルマ無し、転勤無し、3食食事つき、社宅あり、年功序列の終身雇用と、ニンゲンなら誰しもが望まんとする待遇のもとで生きているのだ。
 小学校の頃に遠足で動物園に行った。今思えばあれは、社会性動物としての上流階級にいる勝ち組たちを見学することで、今後の人生設計に役立てて欲しい、という先生たちの思いがあったのかもしれないし、なかったのかもしれない。

 今日も私は神経をすり減らしながら、なけなしのエサをもらうために、社会性動物の真似事をしている。どうせ飼い殺しにされるのなら、どうか快適な温室の中で飼い殺されていたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?