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#ロシア

ロシアによるウクライナへの侵攻開始から2年を経て思ういくつかのこと

今日、2022年2月24日(木)にロシアがウクライナに侵攻してから2年が経ちました。

侵攻したロシアの側にはロシアなりの理由があるとしても、侵攻されたウクライナの側に非がないだけでなく、武力によって他国の領土を併呑しようとする行為が到底受け入れられないことは論を俟ちません。

従って、欧州の安全保障の中核である北大西洋洋条約機構(NATO)や政治の中心である欧州連合(EU)だけでなく、NATOの

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One Year after the Russian Invasion in Ukraine and Its Meaning for Us

One year has passed since Russia invaded Ukraine on 24th February 2022.

There may be different positions on the Ukraine Issue. Ultimately, however, the crux of the issue is whether to accept “changes

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1年が経過したロシアによるウクライナ侵攻はわれわれにとっていかなる意味を持つか

今日で、2022年2月24日(木)にロシアがウクライナに侵攻してから1年が経ちます。

一見すると遠い地の出来事のように思われるウクライナ問題も、世界的な資源高の原因となっていること、あるいは世界地図を広げれば日本はロシアの隣国にあるため、日本もロシアの動揺と無関係ではないといった思惑から「有事のドル買い、円売り」が生じ、歴史的な円安となったことは、われわれの記憶に新しいところです。

その意味で

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ゼレンスキー大統領の訪米が示す外交巧者ぶり

現地時間の12月21日(水)、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が米国を訪問し、ジョー・バイデン大統領と首脳会談を行うとともに、上下両院合同会議で演説しました[1]。

今年2月24日(木)にロシアによる侵攻を受けて以降、ウクライナ国内に留まって抗戦を主導してきたゼレンスキー大統領にとって、今回の訪米は侵攻後初の外遊となります[2]。

現在、世界で最も注目される政治家の一人であるゼレ

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「ロシアによるウクライナ侵攻から6か月」に際し改めてわれわれがなすべきことを考える

昨日、ロシアがウクライナに侵攻を開始してから6か月が経過しました。

当初は短期で終結すると思われた今回の侵攻は、ロシアの企図に反する形で長期化の様相を呈していると言えるでしょう。

こうした状況の背景には、ウクライナ側の抗戦や欧米各国や日本などによる物心両面での支援などにより戦線が膠着するという側面とともに、米国が「世界の警察官」の座から降りることで国際秩序に空白が生じ、国際社会がロシアに対して

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「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請問題」は日本にとっていかなる意味を持つか

昨日、フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相が共同で声明を発表し、フィンランドが速やかに北大西洋条約機構(NATO)に加盟する意向を示しました[1]。

また、フィンランドと同様にNATOに加盟していないスウェーデンも、5月16日(月)にアンデション首相が加盟申請の方針を表明する見通しであるとされています[1]。

ロシアと約1300キロにわたり国境を接し、第二次世界大戦中のいわゆる冬戦争や継

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「プーチン大統領の対独戦勝記念日演説」はいかなる意味を持つか

昨日、ロシアの首都モスクワで第2次世界大戦における対ドイツ戦勝記念日の祝賀行事が行われ、プーチン大統領が演説の中でウクライナへの侵攻を「唯一の正しい決定だった」とする一方、具体的な戦果や「戦争状態」の宣言はありませんでした[1]。

前者についてはすでに予想された内容であるだけに、ある意味でロシア側としても演説の中に織り込むのは当然の措置であったと言えるでしょう。

一方で、後者については各国が戦

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「ゼレンスキー大統領の国会演説」は日本にとっていかなる意味を持つか

昨日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が日本の国会で演説しました。外国の要人がオンライン形式で国会での演説を行うのは日本の国会史上初のことです。

演説の中でゼレンスキー大統領は日本が米欧と協調してロシアへの経済制裁を行ったことに謝意を示すとともに、チェルノブイリ原子力発電所への攻撃やサリンなどの化学兵器の利用を用意している点などを挙げてロシアを批判しました。さらに、今回の紛争に際し

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妥協的で現実的な「ゼレンスキー大統領の日本の国会での演説」の実現

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、オンライン形式により3月23日に日本の国会で演説する運びとなりました[1]。

ゼレンスキー大統領はこれまで米英独加各国の議会でオンライン形式による演説を行っており、ロシアによるウクライナへの侵攻を巡りウクライナを支持する立場をとる日本に対しても、支持と連帯を訴えるものと考えられます。

外国の元首などが来日した際に国会で演説した例としては、200

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What Is a Problem of Cultural Sanctions against Russia?

After Russia's invasion of Ukraine, there has been a widespread movement to exclude Russia from the arts and sports fields.

Recently, the Russian athletes were excluded from the Beijing Paralympics,

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「ロシアへの文化的制裁」はいかなる意味を持つか

ロシアによるウクライナへの侵攻を受け、芸術やスポーツの分野からロシアを排除する動きが広まっています。

最近では北京パラリンピックからロシア選手団が排除されましたし、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団はロシア人のヴァレリー・ゲルギエフ氏を首席指揮者から解任し、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団も同氏との全ての関係を解消することを公表しました。

北京パラリンピックの場合は一度は国際パラリンピ

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「IPCによるロシアとベラルーシの選手の北京パラからの除外」の問題点は何か

今日、国際パラリンピック委員会(IPC)は緊急理事会を開催し、ロシアによるウクライナへの侵攻の問題に関連して、ロシアとベラルーシの選手及び役員の北京パラリンピックへの参加を認めない決定を下しました[1]。

IPCは3月2日に両国の選手と役員の参加を認めていただけに、1日と経たないうちに判断が覆ったことになります。

緊急理事会後の記者会見で、IPCのアンドリュー・パーソンズ会長は3月2日の決定後

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「ウクライナ問題」の解決のために求められる一層の外交的努力

昨日、ウクライナ各地に侵攻したロシア軍は首都キエフを包囲する一方、ロシアのプーチン大統領はウクライナとの停戦交渉を行う用意があることを表明しました[1]。

ロシア軍が軍事施設や空港などを制圧してウクライナの制空権を掌握したこと[2]は、ウクライナ政府に対する威嚇にほかなりません。

また、プーチン大統領は停戦交渉をロシア国内ではなくベラルーシで行う意向を示しているものの[1]、ウクライナ問題に関

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「ロシアのウクライナ侵攻」をわれわれはどのように考えるべきか

昨日、ロシア軍がウクライナへの侵攻を開始しました。

大国であるロシアが主権国家たるウクライナに全面的な戦争を仕掛けたという意味において、「まれにみる大国の暴挙」であり、「国際社会は第2次世界大戦後、最も深刻な危機に直面している」と言えるでしょう[1]。

今後、各国がロシアに対してどのような対応を取るのか、ロシアがどの時点で妥協するか、あるいはどのような新たな展開が生じるかは予断を許しません。

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