鈴村裕輔

名城大学教員、法政大学客員研究員。主な専門は比較思想、政治史、文化研究。 / Dr. …

鈴村裕輔

名城大学教員、法政大学客員研究員。主な専門は比較思想、政治史、文化研究。 / Dr. Yusuke Suzumura is an associate professor of Meijo University. https://researchmap.jp/suzumura/

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大谷翔平選手の「50本塁打50盗塁」が象徴する野球の新たな段階

現地時間の9月19日(木)にローンデポ・パークで行われたマイアミ・マーリンズ対ロサンゼルス・ドジャースの試合において、大谷翔平選手が3本の本塁打と2つの盗塁を記録し、大リーグ史上初の年間50本塁打と50盗塁を達成しました。 大リーグにおいて真の長距離打者として認められるのは50本塁打です。 一方、年間に50個以上盗塁できる選手は、多くの場合において敏捷ではあっても、長打力に欠けると考えられています。 もちろん、大リーグの通算最多盗塁記録を保持しているリッキー・ヘンダーソ

    • ロベルト・クレメンテ・デーは何故9月15日の開催なのか

      去る9月15日(日)、大リーグにおいてロベルト・クレメンテ・デーが行われました。 これは、大リーグで通算3000安打を記録し、ピッツバーグ・パイレーツの中心選手として攻撃と守備の両面で活躍しながら、1972年12月31日にニカラグアで起きた大地震の被災地に救援物資を搬送する途中で航空事故により落命したロベルト・クレメンテ選手の功績をたたえるため、没後30年となる2002年に始まった取り組みです。 クレメンテ選手の逝去から50年目となる2022年にはそれまでのパイレーツによ

      • 【参加報告】ISFJ2024中間発表会

        去る9月15日(日)、日本政策学生会議の2024年度中間発表会がオンライン形式で行われ、私もコメンテーターとして参加しました。 日本のよりよい将来のために学生の皆さんが所属する大学の垣根を越えて政策を立案し、論文の形にまとめてその成果を問う取り組みにおいて私は2020年度からコメンテーターを務めており、今回で5回目の参加となりました。 私が参加した分科会では4つの大学から4つのゼミが参加し、それぞれの観点から政策の案を策定するためのこれまでの取り組みをまとめ、報告していま

        • 名城大学2024年度後期の開始によせて

          昨日から名城大学の2024年度後期の授業が始まり、今日から私が担当する講義も開始となりました。 今学期、私が担当するのは7科目です。 この中には私が監修する英語での学修を受け入れる交換留学生(MEP-E)に向けた科目群である「国際日本学科目」としては初めて開講される"History and Culture of the Chubu Area"(中部圏の歴史と文化)や、基幹科目であり、全15回のうち導入とまとめに当たる第1回と第15回を除く13回にそれぞれゲスト講師をお招き

        大谷翔平選手の「50本塁打50盗塁」が象徴する野球の新たな段階

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          【刊行3週間前】『なぜ少年は聖剣を手にし、死神は歌い踊るのか--ポップカルチャーと神話を読み解く17の方法』(神戸神話・神話学研究会、植朗子、清川祥恵、南郷晃子編、文学通信)

          去る9月10日(火)にお伝えした通り、10月7日(月)に私も著者として参加した書籍『なぜ少年は聖剣を手にし、死神は歌い踊るのか--ポップカルチャーと神話を読み解く17の方法』(神戸神話・神話学研究会、植朗子、清川祥恵、南郷晃子編)が文学通信より刊行されます。 現在、文学通信の公式ウェブサイトで本書の「はじめに」が無料で公開されています。 「はじめに」では本書を構成する12の論考と5つのコラムについて編者による概要が紹介されています。 私が担当した論文「映画『君の名は。』

          【刊行3週間前】『なぜ少年は聖剣を手にし、死神は歌い踊るのか--ポップカルチャーと神話を読み解く17の方法』(神戸神話・神話学研究会、植朗子、清川祥恵、南郷晃子編、文学通信)

          【開催3週間前】青山フィルハーモニーOB・OGオーケストラ第33回定期演奏会

          去る9月8日(日)にお伝えしたように、来る10月6日(日)、14時より私の所属する青山フィルハーモニーOB・OGオーケストラの第33回定期演奏会が開催されます。会場は太田区民ホールアプリコです。 今回はドヴォルザークの交響曲第7番、ブラームスの悲劇的序曲、そしてシューマンの『マンフレッド』序曲を演奏します。指揮は3回連続の共演となる吉田拓人さんです。 青フィルOB・OGオーケストラとしては2007年の第18回以来17年ぶりとなるドヴォルザーク、そして初めて取り上げるブラー

          【開催3週間前】青山フィルハーモニーOB・OGオーケストラ第33回定期演奏会

          トランプ候補とハリス候補による米国大大統領選挙第1回討論会はいかなる意味を持つか

          現地時間の9月10日(火)、米国大統領選挙の候補者による討論会が行われ、共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のカマラ・ハリス氏が参加しました。 両氏が直接対峙するのは今回が初めてであるとともに、ハリス氏は現職のジョー・バイデン大統領が出馬を辞退したことを受けて急遽民主党の候補者に選ばれただけに、支持者を前にした演説ではなく対立候補との討論において大統領にふさわしい振る舞いをできるかにも注目が集まりました。 そのような中で行われた今回の討論会では、冒頭に両者が挨拶して握手を

          トランプ候補とハリス候補による米国大大統領選挙第1回討論会はいかなる意味を持つか

          【開催報告】2024年度名城大学外国語学部「国際フィールドワーク(I)(英語圏)」

          去る9月1日(日)から9月11日(水)まで、私が担当する名城大学外国語学部の「国際フィールドワークI(英語圏)」が開催されました。 今回は7名の学生が参加し、シンガポールのチャンギ空港に到着後、陸路でマレーシアに入国しました。 9月1日から6日(金)の午前まではマレーシアに、9月6日の午後から11日(水)の未明まではシンガポールに滞在し、課題の解決に取り組みました。 具体的には、マレーシアのジョホールバルに所在するハード・ロック・カフェ・プテリ・ハーバー(HRCプテリ・

          【開催報告】2024年度名城大学外国語学部「国際フィールドワーク(I)(英語圏)」

          9人が立候補した自民党総裁選の持つ意味は何か

          本日、9月27日(金)に投開票される自由民主党の総裁選挙が告示されました。 立候補したのは、届け出順に高市早苗、小林鷹之、林芳正、小泉進次郎、上川陽子、加藤勝信、河野太郎、石破茂、茂木敏充の各氏です。 9人が立候補するのは、自民党の総裁選が立候補制となった1972年以来では最多です。 自由投票制であった1956年4月5日の総裁選挙では11人が1票以上を獲得したものの、現在とは制度が異なることを考えれば、現職である岸田文雄総裁の出馬辞退によって多くの野心家と立候補しなけれ

          9人が立候補した自民党総裁選の持つ意味は何か

          「つば九郎DAY2024」第2日目におけるお謝フィルハーモニー管弦楽団の演奏

          さる8月12日(月、祝)から14日(水)にかけて、明治神宮球場において東京ヤクルトスワローズのマスコットであるつば九郎にちなむ「つば九郎DAY2024」が開催され、青山フィルハーモニー管弦楽団が第2日目に出演しました。 青フィルはMrs. GEEN APPLEのメドレーを演奏し、1994年4月9日に誕生したつば九郎の30歳のお祝いを行いました。 今回は、第1日目に「つば九郎DAY」に初めて出演した東都大学野球応援団・応援指導部が登場しています。 2021年度以来青フィル

          「つば九郎DAY2024」第2日目におけるお謝フィルハーモニー管弦楽団の演奏

          【刊行1か月前】『なぜ少年は聖剣を手にし、死神は歌い踊るのか--ポップカルチャーと神話を読み解く17の方法』(神戸神話・神話学研究会、植朗子、清川祥恵、南郷晃子編、文学通信)

          来る10月7日(月)、私も著者として参加した書籍『なぜ少年は聖剣を手にし、死神は歌い踊るのか--ポップカルチャーと神話を読み解く17の方法』(神戸神話・神話学研究会、植朗子、清川祥恵、南郷晃子編)が文学通信より刊行されます。 本書は漫画、ゲーム、アニメ、映画などいわゆるポップカルチャーを対象に、様々な作品を17人の著者がそれぞれの専門から検討した一冊です。 取り上げられるのは、米津玄師の『死神』、『呪術廻戦』、『鬼滅の刃』、『美少女戦士セーラームーン』、『葬送のフリーレン

          【刊行1か月前】『なぜ少年は聖剣を手にし、死神は歌い踊るのか--ポップカルチャーと神話を読み解く17の方法』(神戸神話・神話学研究会、植朗子、清川祥恵、南郷晃子編、文学通信)

          自民党総裁選挙の問題点は何か--1956年の第2回総裁選の事例から

          自民党の総裁選挙の歴史の中でも屈指の激しさとなったのは、1956年12月14日(金)に行われた第2回目の選挙でした。 第1回目は当時の鳩山一郎総裁に対する事実上の信任投票であり、第2回目は日本の保守政党にとって初の総裁公選となりました。 臨時党大会の議長を務めた砂田重政は投票に先立ち、次のように述べました[1]。 砂田が総裁選挙を表現するために「わが憲政史上特記すべき事柄」としたのは、それまで保守政党において党首の公選は行われておらず、候補者が揃ったうえで有権者が投票す

          自民党総裁選挙の問題点は何か--1956年の第2回総裁選の事例から

          【開催1か月前】青山フィルハーモニーOB・OGオーケストラ第33回定期演奏会

          来る10月6日(日)、私の所属する青山フィルハーモニーOB・OGオーケストラの第33回定期演奏会が開催されます。会場は太田区民ホールアプリコで、開演時間は14時です。 今回はドヴォルザークの交響曲第7番、ブラームスの悲劇的序曲、そしてシューマンの『マンフレッド』序曲を演奏します。指揮は吉田拓人さんです。 ドイツ・ロマン派の手堅い構造とチェコの民族的な音楽の融合を交響曲の形で示したドヴォルザーク、間断なく展開される音楽の中に重厚な表情が色濃く描き出されているブラームス、そし

          【開催1か月前】青山フィルハーモニーOB・OGオーケストラ第33回定期演奏会

          『政治家 石橋湛山』(中央公論新社)の刊行から1年を迎えて

          本日、私の著書『政治家 石橋湛山』(中央公論新社、2023年)が中公選書の一冊として昨年9月7日に刊行されてから1年を迎えました。 石橋湛山の政治家としての事績に焦点を当てた1冊は、幸いにも多くの方が読んでくださっているようです。 執筆の機会をくださった中央公論新社の皆様や小著を手にとってくださる読者の皆さんに改めて御礼申し上げます。 それとともに、これまで言論人としての活動に比べて検討される機会の少なかった石橋湛山の政治家としての事績が、本書を通してより一層考究される

          『政治家 石橋湛山』(中央公論新社)の刊行から1年を迎えて

          【テレビ出演報告】『せやねん!』(毎日放送、2024年8月31日放送)

          去る8月31日(土)、毎日放送の情報番組『せやねん!』に私の談話が紹介されました。 今回はプロ野球における始球式について、その特徴や日米の違いなどについてお話ししました。 『せやねん!』において談話が紹介されるのは8月17日(土)の放送以来のことであり、こうした機会を提供して下さった関係者の皆さんに改めて感謝申し上げます。 <Executive Summary> TV Appearance Report: MBS' "Seyanen!" (Yusuke Suzumura

          【テレビ出演報告】『せやねん!』(毎日放送、2024年8月31日放送)

          青山フィルハーモニー管弦楽団第55回外苑祭コンサートについて思ういくつかのこと

          去る8月31日(土)、9月1日(日)に行われた青山フィルハーモニー管弦楽団の第55回外苑祭コンサートの概要については、9月1日の本欄でお伝えした通りです[1]。 そこで、今回はその他の印象的な事柄を3点ほど紹介いたします。 第1点目は、2曲目に管楽アンサンブルとして演奏されたMrs. GREEN APPLEメドレーです。 すなわち、今回は演奏に参加しない方が踊りを担当し、第1日目と第2日目に分かれて出演したことです。 これは、8月13日(火)に明治神宮球場で行われた東

          青山フィルハーモニー管弦楽団第55回外苑祭コンサートについて思ういくつかのこと