1年が経過したロシアによるウクライナ侵攻はわれわれにとっていかなる意味を持つか

今日で、2022年2月24日(木)にロシアがウクライナに侵攻してから1年が経ちます。

一見すると遠い地の出来事のように思われるウクライナ問題も、世界的な資源高の原因となっていること、あるいは世界地図を広げれば日本はロシアの隣国にあるため、日本もロシアの動揺と無関係ではないといった思惑から「有事のドル買い、円売り」が生じ、歴史的な円安となったことは、われわれの記憶に新しいところです。

その意味で、ウクライナ侵攻は日本に住む人々にとって遠い地の出来事ではあるかも知れないものの、決して日本と無関係の事態ではないことが分かります。

ところで、ここで思い出されるのが、戦中の日本の人々の軍部に対する見方を回顧した、石橋湛山の指摘です[1]。

すなわち、石橋は次のように指摘します。

「軍部というものが非常に強いと思っていた。日本の軍事力が実際にあんな程度のものと思わなかった。よほど強いと思っておったから、日本が引っ込まなければ向こうが引っ込むというぐらいに思っていた。」

石橋の発言は日本が米英を相手に開戦に至る過程で、財界が何故軍部に反対しなかったかという問いに対する答えです。

従って、当時と現在とを安易に比較することは厳に慎まなければなりません。

それでも、もし「日本」を「ロシア」に置き換え、「向こう」を「ウクライナ」とすれば、当初は短期間で終わるともいわれたウクライナ侵攻が長期化の様相を呈していることに対する、ロシアの人々の心情の一端をうかがい知ることが出来るかもしれません。

今後ウクライナ問題がどのような推移を示すかは、その後の国際社会のあり方そのものに大きな影響を与えることでしょう。

それだけに、これからもわれわれは予断を排してウクライナ問題に関心を向け続けることが重要なのです。

[1]石橋湛山, 湛山座談. 岩波書店, 1994年, 40頁.

<Executive Summary>
One Year after the Russian Invasion in Ukraine and Its Meaning for Us (Yusuke Suzumura)

One year has paassed since the Russian Invasion in Ukraine occurred on 24th February 2022. On this occasion, we examine the meaning of this issue for us.

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